愛蔵版 国宝 下 花道篇

10件の記録
- 岡本悠@oka_tfc82025年9月30日映画との違いはより後編の方が如実に現れたという印象。 ラストに向かっていく中で喜久雄の歌舞伎への姿勢が狂気的になっていくのだが、そこのイメージがし辛くて、ちょっともやもやした。 なんか、いきなり狂気じみだすといえば良いのか難しいんですけど。 もう少し歌舞伎に対する想いみたいなところを描いてくれた方がより感情移入できたのかなと思いました。
- azul@senora882025年9月16日映画だと春江がなぜ、俊坊と出奔したのか謎だったけど、下巻で納得。 喜久雄は優しくしてくれていたけれど、自分を大事にはしてくれない人だった。そして絶対に同じところを向いて行かれない人だとわかった寂しさがあったんだな。 喜久雄の置かれた状況も、映画とはちがう辛さだった。俊坊が発見される芝居小屋の設定は面白い。そして自分はボンボンとして生まれ育ったのに、我が子は貧乏な木賃宿のようなアパートで死んでいく。その怒号が行間から溢れるようだった。 そこまでして落ちて、それでも役者になっていくとは修羅しかない。 喜久雄もまた、修羅しかない。 私は最後、喜久雄は我にかえりまたとぼとぼと歌舞伎座にもどると思った。 魂を売り渡しても芸の道しかない喜久雄。この世の幸せはなにも手にできない。幻のような雪の中で、喜久雄は演じるしかなかったのだと思う。