

Satomi
@satomiww
2023.03.01𓂃 ✍︎
- 2024年11月11日
いえ小野寺史宜読み終わった買った[ひと」「まち」に続けて「いえ」読了。もし自分の妹が、彼女の恋人でもあり、自分の親友でもある男のせいで一生付き合っていかなければならない後遺症を背負ってしまったら、どうするだろう。 登場する地名に自分の出身地やその周辺が出てくると、荒川の河川敷や、平井駅の様子が自然と脳裏に浮かんできて、そこに本当に傑や若緒、瞬一達が歩いているような気がする。仕事での葛藤も、お酒の失敗も、家族を大切に想いながらも接し方に悩んでしまう様子も、過去作と比較するとかなり人間味があった。 完璧な人なんてどこにもいなくて、未熟なままでも、未完成なままでも、この世は可能性に満ちている。他者の人生が自分のそれに重なって、触れ合って、人生が織り上げられていく様子を主人公を通じて教えられるような、優しい物語だった。 わたしも田野倉部に入りたい。 - 2024年11月8日
月の立つ林で青山美智子読み終わった買った月に纏わる題名が名付けられた章のそれぞれに年齢・性別・職業どれも異なる語り手達が登場するのだけれど、彼らの唯一の共通点が「ツキない話」と言うポッドキャストを聴いていること。偶然なのか必然なのか、そのポットキャストをきっかけにして語り手達は「月」と自らを重ね、人生を見つめ直し前を向いていく。 作中の語り手達は間接的・直接的に繋がっているけれど、彼らは最後まで互いを認識せず、読み手だけがその事実を知っている。多少の歯がゆさを感じることはあったが、人と人の巡り合わせの美しさを改めて感じることが出来た。月に関する雑学もいくつか紹介されていて、個人的にはその点もかなりポイントが高い。 友人でも、知人ですらないけれど、人生の中で刹那的に繋がった誰かが(例え相手が意図していなくても)手助けをしてくれているかもしれない。月は満ちていても欠けていてもそこにいて、見守ってくれている。そんなメッセージを受け取れるような、読了後には心に月の光のように優しい温もりが広がっていく心地好さがあった。 「好きとか嫌いとか、そういうことじゃない。ただ誰かの力になりたいって、ひとりひとりのそういう気持ちが世の中を動かしているんだと思う」 - 2024年10月31日
まち小野寺史宜読み終わった買った「ひと」から「まち」へ。主人公も舞台となる町も前作とは変わるけれど、砂町商店街とおかずの田野倉が出てきたり、同じ空の下で彼らが生きていることを感じられる瞬間がとても嬉しかった。 前作の主人公とはまた異なるが、過酷な過去を持つ瞬一が生まれ育った町から離れ、新たな地で人と交わり繋がることで居場所が出来ていく。この作品のおかげで「歩荷」と呼ばれる職業の存在を知ったけれど、100kgもの荷物を担いで山小屋へ運ぶじいちゃん、控え目に言ってかっこよすぎる。じいちゃんの愛情と想いが瞬一に受け継がれ、強く、優しく成長していく主人公の姿に胸を打たれた。 読むだけで心が温かくなり、人として当たり前だけれど忘れてしまいがちな大切なことを教えてくれるような、素敵な物語。人を守れる人間になろう。 - 2024年10月18日
天官賜福 3墨香銅臭,日出的小太陽,鄭穎馨読み終わった買った仕事をきっかけに本作を知り、とりあえず3巻まで読みました。人面疫、てめえだけは許さねえ。 最終巻までは購入したので、(積読をある程度減らしたら)最後まで駆け抜けます。 - 2024年10月17日
天官賜福 2墨香銅臭,日出的小太陽,鄭穎馨読み終わった買った - 2024年10月16日
天官賜福 1墨香銅臭,日出的小太陽,鄭穎馨読み終わった買った - 2024年10月9日
水車小屋のネネ津村記久子読み終わった買った主人公である姉妹と一羽の喋る鳥(ネネ)が出会った1981年から始まり、2021年までの彼女達が生きた40年を辿っていく物語。鳥類には長命種がいることは知っていたけれど、ヨウムって50年も生きるらしい。愛犬達にもそれくらい生きてほしい。 18歳で8歳の妹を養う決意なんて、そう簡単に出来るものじゃない。姉妹の年齢差がほぼ我が家と同じこともあり、彼女達と自分が同じ立場だったら、といつも以上に感情移入してしまった気がする。 表紙の柔和な印象とは裏腹に、母親とその婚約者との確執が姉妹に重く圧し掛かり心がざらつく感覚を覚える度に、「現実」や「人生」を感じる。けれど、姉妹は互いを支え合う道を選び、それをネネと周囲の人が優しく見守ってくれている様子にゆっくりと息を吐き出すように安堵した。 お金がたくさん無くても、結婚をしなくても、子供を授かれなくても、同性を好きになっても良い。「人生」において、他者と自分の現状を比較して優劣を決めたがる人はたくさんいるけれど、幸せの価値観は誰のものでもなく、自分のものなのだから。 - 2024年10月4日
存在のすべてを塩田武士読み終わった買った二児同時誘拐事件から始まり、一つのミスで人命を奪われかねない警察と被害者家族が抱く緊張感や苛立ち、焦燥に手に汗を握るが、ただの警察小説ではないところが筆者の最高傑作と称される理由だと思う。 「空白の3年」を過ごした男児に何があったのか。登場人物たちが過ごしてきた30年の人生を辿りながら、愛情とは? 絆とは? 果たして血の繋がりだけが家族なのだろうか。この物語には性別と年代、思考までもが様々な登場人物が登場するのだけれど、彼らが抱く愛情や悲哀などの複雑な感情を筆者の圧倒的な筆力で言語化されているので、読み手の感情に深みを与えてくれる気がする。 本作では写実絵画が重要な鍵となるのだが、スマートフォンで誰でも簡単に目の前の風景を切り取れるようになった時代で、「写真のような絵」を描くことにどのような意味があるのか。読了後に思わず写実絵画について調べてしまう程には興味が湧いてしまい、次のまとまった休みで写実絵画専門の美術館に行くことを決意。 自分の「存在」を考えさせられる物語だった。 来年映画化するらしくてめちゃくちゃ楽しみ!!!!! - 2024年9月25日
アリアドネの声井上真偽読み終わった買った災害大国である日本に住んでいるからこそ、登場人物達の緊張、焦燥、不安、恐怖を我が事のように追体験できる作品だった。 命のタイムリミットが迫る中で、音も光も届かない要救助者をどのように救うのか。それだけでも十分過ぎる題材だと言うのに、同時に発生していく数々の疑惑に読み手は完全に翻弄されてしまうし、手に汗握る展開の中で要救助者が地上に向かうに連れて真実にまた一歩と近付いていくような感覚。ミステリとしての要素もあまりにも優れていると思う。 ドローンやスマートシティ構造、暴露系ユーチューバーの登場など、今の時代を象徴した話題を主軸にしているからこそ明日は我が身と言うか、いつ降り注ぐかもわからない「もしも」を想像してしまった。 - 2024年7月31日
ひと小野寺史宜読み終わったもらった読書家の伯父からいただいた本② 自分が主人公と同じ境遇になったら、と考えるだけでも心が苦しくなるような精神的・経済的に深刻な状況の中で、ひとつのコロッケをきっかけに彼の運命が大きく動き出すお話。 少年漫画の主人公のようにドラマチックな展開ではないし、大きな事件に巻き込まれるでもない。登場人物達は読み手と同じように普通の「ひと」で、だからこそ眼前の壁を自分なりに、一つ一つ向き合って決断する姿に胸を打たれた。 舞台である砂町銀座商店街は昔に何度か行ったことがあったけれど、この本を読んだ後にたまたま友人達と行く機会があって、思わぬ聖地巡礼にテンションが爆上がりしてしまった。「もしかしてあそこのお惣菜屋さんがモデルなのかな」なんて思いつつ、良い大人がコロッケとメンチカツを買い食いしたのも今では大切な思い出のひとつです。 聖輔のように、劇的ではなくても穏やかに、小さな幸せを諦めず人生に立ち向かっていきたい。 - 2024年6月5日
新! 店長がバカすぎて早見和真読み終わったもらった読書家の伯父から「店長がバカすぎて」シリーズ二冊を同時にいただいた。 本を愛する書店員の鬱憤を追体験するように日常の出来事を描写しているかと思いきや、彼女の周囲に浮上する謎、伏線を経ての表題の回収までがあまりに完璧で痛快。 一話で完結する短編集のようかと思いきや、すべての物語に共通するミステリ的要素があって、その中でも最大の謎が「この店長は何者なのか?」である。けれどこの物語のテーマは最初から最後まで本と書店員(書店業界全体)に対する惜しみない愛情と、主人公の頭に何度も過る「なぜこんな苦しい思いをしてこの業界にいるのだろう」と仕事を頑張るすべての人に共通した形而上的な疑問だと思う。 わたし自身も自分の仕事と業界が大好きだからこそ悩むことが多々あって、主人公の抱く仕事に対する想いに何度も首を縦に振ってしまった(心の中で)。 恋愛要素もあるのだけれど、唯一主人公の選択に納得できなかった場面でもあった。バカすぎて。 本を愛するすべての人に読んでいただきたい。本がもっと好きになった! 第三弾も発売していると知り、近いうちに書店へ行くことを決意。 - 2024年6月4日
店長がバカすぎて早見和真読み終わったもらった - 2024年3月1日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わった買ったサイエンス・フィクション好きとしては筆者に対する信頼はかなり厚かったけれど、この作品は良い意味でこちらの期待を無重力で飛び越えて行くような、間違いなく傑作と呼べる作品だろう。 就寝前と通勤中に読書の時間を取るのがルーティンなのだけれど、この本を読み進めている間は何度も駅を降り過ごし、乗り換えを間違え、自宅でも読書に集中し過ぎて夫の話を右から左へ流してしまうこともあったので「Is your soul in space?」と言われてしまい反省する場面が多々あった(もう読むなと言われなくて良かった)。それくらい時間を忘れてこの物語に没頭してしまったし、上巻を読み終え、下巻を読む手が進むに連れて減っていく頁に寂寥感すら覚える程に。 孤独な「主人公達」が置かれた理不尽な状況を持てる知識と技術を駆使し、決して諦めずに進んだこの物語の結末が船の名と重なったとき、あまりの衝撃に肌が粟立った。 映画化してくれて本当にありがとうございます!!!! - 2024年2月29日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わった買った - 2024年2月1日
われら闇より天を見るクリス・ウィタカー,鈴木恵読み終わった買った自分自身を「無法者」と呼ぶ少女の周囲に起こる悲劇の真相を読み解いていく中で、彼女とまだ幼い弟が祖父を始めとした様々な人々に出逢い、温もりに触れていく。わたしは登場人物に深く感情移入をしてしまうタイプなので、まだ13歳の少女が抱くには痛々しさを感じる程の肌を突き刺されるような怒りと悲しみに、息苦しさに似た感覚を覚えた。 ミステリーとしても上質な翻訳小説だと思うけれど、どちらかと言えば旅物語のような、決して人前で涙を見せない少女が運命に立ち向かう姿に胸を熱くしながら真相想像して読み進める楽しさが新鮮だった。 どれだけ他者を拒絶しても、遠ざけても、愛してくれる人はこの世界に必ずいる。少女の心がゆっくりと解けていく描写の愛おしさや、別れの残酷さに涙が溢れた。 すべての真相に辿り着いたとき、この物語の最後の一行に彼女の光が見えた気がした。 - 2023年9月20日
古事記転生サム(アライコウヨウ)読み終わった買った仕事の合間にふらっと立ち寄った書店の店頭に並べられていて、何となく手に取ったのがこの本との出会いでした。小説なのに漫画を呼んでいるような、コミカルにお話が進んでいくので普段文章を追うのが得意じゃない人でも読みやすそう。 「古事記」って、知っているようで知らないことが多い。日本人だし、少なからず興味はあるけれど、でも調べたら五万と書籍が出てきて諦める……を繰り返してきた自分にとっては、正しく巡り合わせだった。 バーテンダーが転生したらナムチ(大国主)でした、なんて良くあるようであまり期待ができないライトノベルのような粗筋を見て、古事記を題材にしつつオリジナル設定が組み込まれたファンタジーかな、なんて考えは甘かった。 現代編と古事記編を交互に行き来していきながら、主人公は(生き返るために)史実の通りに日本建国を成し遂げていくのだけれど、関連する神様の話もしっかりと辿ってくれるので自然と古事記を学べる点が最もおすすめのポイント。 主人公の心の成長を見守りながら、自分の心にも語りかけられているような気付きがたくさんあって、これからの自分や大切な人達の人生、もっと言えば地球のことまでも読了後に沈思に耽ってしまった。 あくまでもこの物語はひとつの考察ではあるけれど、筆者の考えるような八百万の神々が本当に日本を創造し、今もどこかにいてくれたらいいな。 「自分の中にある“見たくない陰の部分”に気づいて受け入れていくことが大切やねん」 - 2023年9月14日
読み終わった買った仕事の関係で展示会に参加させていただけることになり、もちろん幼少期から先生のお名前は存じ上げていたけれど、恥ずかしながら「ゲゲゲの鬼太郎の作者」「高名な漫画家」程度の認識しかしていなかった(隻腕であることも知りませんでした……)。偶然社内に水木しげる先生の大ファンがいたので、同僚に薦められたこちらの漫画を上・中・下すべて読了。 上巻だけで500頁近くあるので、漫画としてはかなり読み応えがある。何よりもご本人がご自身の半生をあの稀有な筆触で描かれていることや、戦前から戦後までを駆け抜けたこの時代の人々の日常が記されていて、戦後80年以上経った現代では貴重な記録文学だと思う。 幼少期から妖怪に魅了され、実際に遭遇されていらっしゃるらしい。今よりも「死」が身近なものとされていた激動の時代では、怪異は本当に存在していたのかもしれない。 これを読むと、ゲゲゲの謎がもっと面白くなります。 - 2023年9月14日
完全版水木しげる伝(中)水木しげる読み終わった買った - 2023年9月14日
完全版水木しげる伝(上)水木しげる読み終わった買った - 2023年9月13日
吾輩は猫である夏目漱石読み終わった買った夏目漱石の名前や作品名は知っていても、かの有名なワンフレーズしか知らないまま人生を終えるのは勿体無いなと思い立ったが吉日。終始猫の視点で語られていくこの物語は、人間が如何に滑稽な行動をしているのかを良く教えてくれる。 決められた時間に起床をして、決められた場所に詰め込まれ、今にも死にそうな顔で帰宅し、また決められた時間に朝を迎える。人間は裸で外に出られないので着物が必要だが、何着も箪笥にしまい込んでいても新しい物を欲しがる。毒(酒と煙草)を自ら口にして寿命を縮め、何人もで集まっては日頃の鬱憤や不平不満を垂れ流す。 数十年前に書かれた作品なのに、現代でも人間は変わらず欲望に塗れて生活をしていると思うと虚しいと言うか、憐れと言うか。想像以上の面白さと、天晴な猫の最期だった。 太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。 「人間というものは到底吾輩猫族の言語を解し得るくらいに天の恵みに浴しておらん動物である」
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