穢れた聖地巡礼について(1)

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- 甘夏@Amanatsu_072025年3月20日読み終わった「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うけれど、ただの枯れ尾花がノイズをまとい、恐ろしい怪異へと変質しちゃった、って感じの話。そのノイズは、心霊スポットを飾り立てたい人間による脚色だったり、その地域の因縁だったり、あるいはゼロ磁場のような不思議な現象が起こり得る特殊な地点そのもの、そして人間の思い込み。そうした要素が積み重なって、登場人物たちは知らず知らずのうちに六部殺しのくりかえしの構造に巻き込まれていく。それも、特定の誰かが意図して仕掛けるものというより、積み重なったノイズにより自動的に再生産されてしまう構造なのがまた恐ろしい。幽霊も生きている人間も怖い。 モキュメンタリー形式ならではの「現実味」があるからこそ、実在と虚構の境界が揺らぐ感覚に惹き込まれる。物語の序盤では意味不明だった出来事や現象が、ページを進めるにつれて徐々に形をなし、明確な恐怖となって迫ってくる不安感がたまらない。背筋さんの作品はどれも伏線の張り方が蜘蛛の巣のようで、一見関係なさそうな怪談が少しずつ繋がり、やがて背後に潜む“大きなナニカ”が明らかになっていく構成が面白い。