海とサルデーニャ
43件の記録
- powder0311@powder03112026年9月18日読み終わった石垣島へ旅行に行った帰りに読み終わった。単純な礼讃だけじゃない。喜び、落胆、怒り、驚き……この手の旅行記の中には、アウトサイダーたる自分が現地の人の本質を見抜いたと誇る密かな「俺/私は鋭い目を持っているマウント」があったりするもんだけど、ロレンスはそれをとどめる。厳しく鍛え上げられた文章。素朴に書かれた文章ではなく、素朴になった文章。だから旅の総括なんてしない。振り返ったりしない。サルデーニャを離れシチリアの自宅に戻る最終章のタイトルが「帰る」なのが、とても良い。また訳文もかなり「ひらいて(漢字で書かずひらがなで書くこと)」いるのもいい。 ふたたび自分が現実の活動的世界に、旧秩序の真珠を溶かす発泡ワインのような大気のなかにもどったことを知る。読者諸賢、この喩え、お気に召されたか。(……)人間はものの一時間で自分の魂を変えてしまう。(……)じつに堅固な僕のサルデーニャ魂が溶けだしていって、自分が水蒸気に、これぞ真のイタリアたる不確実性、瞬間性と化すのを感じた。
- powder0311@powder03112026年9月9日読んでるバスの旅はしたことないけど、いいなあ バスは峡谷を下ってゆく。ほかの道とぶつかって、休憩所を通ると、また上がる。険しい坂を、上へ、上へ、トナーラへ、きのう日の光を浴びていためざす村へと上ってゆく。村の裏側から近づいていった……前方に、白と緋色のきらめきが見えた。ゆっくり動いている遠く離れた緋色の女たちの行進。



- powder0311@powder03112026年8月22日ロレンスはマッチョ好きだねえ。 男たちは声を張りあげて、車掌に文句を言う。粗野な活気がみなぎった。なんたる荒くれどもだ! ハンサムな男は袖つきベストの前をあけて、シャツの胸ボタンをはずしている。ぼうっと見ていたので、黒い下着を着ているように見えた。だがふと気づくと、それは彼の胸毛だった。シャツの下は黒山羊のように真っ黒だ。
- powder0311@powder03112026年8月13日読んでるこういう瞳を見たことがあるような気がするけれど思い出せない。 いにしえの音を響かせる瞳、まだ魂が自意識をもたないころの、ギリシャの精神がこの世に現れる前の時代の音がする。遠い、永遠に遠い、まるで洞窟の奥深くに横たわって出てこない知性のような音。

- powder0311@powder03112026年8月11日ロレンスのぴっちりスボン好きはどこから来たんだろう たるんだイタリア人のあとで、こんなぴっちりとした短ズボンをはいた、昔の野生をいまなお秘めるひきしまった男の肉体を見る。ああ、心がうばわれる!

- powder0311@powder03112026年8月9日D.H.ロレンスだ。D.H.ロレンスが旅をしている。 僕は心のどこかで怒りを感じていた。彼らが満腔の同情をあてにしているから。偉大な軍神マルスがいくらこの地球で小さくしなびてしまったからといって、これほどの冒瀆を耳にするのは不愉快である。

- powder0311@powder03112026年8月8日30時間の船旅中。まだサルデーニャ島には到着してない。 だが僕らは、岬の先の古城をすぎ、小さな灯台をすぎ、それから港の入り口をすべりぬけて、静かに入江の中に入ってゆく。海も、もうおだやかになった。ああ、ぐっすりと眠りこんだ丸い港にあふれる午後の光の豊かさは、なんという心地よさだろう。海辺には高い椰子の木がまどろみ、水も眠りこんでいる。とても小さくて気持ちよさそうな港。

- powder0311@powder03112026年8月4日読んでるDHロレンス、文がべらぼうに良い。 ではどこへ行こう? スペインか、サルデーニャか。スペインかサルデーニャか。サルデーニャにしよう、何もない場所だから。(……)だからサルデーニャにしよう。サルデーニャに決めた。
- powder0311@powder03112026年8月4日読んでる書き出しでもうやられた。 どうしても動かずにはいられなくなる。それも、一つの方角に向かって。だから、なすべきは二つ――動きだし、そして、めざす場所を定める。

匙@sajisann2025年8月27日読み終わった昔の旅って宿は快適じゃないことが多いし食事も当てが外れることが多くて大変だ。魔法瓶とランプが心強い。 イギリスはレートでひどくがめてるとイタリア人に繰り返されて、自分個人を見てくれないと傷つくロレンスの身勝手さはきょうびのSNSでも馴染み深い。 比喩表現が素敵なセンテンスがふんだん。“蕾のこうべを垂らした紫がかった砂塵のように赤い新アーティチョークの太束”が印象的だったので、文庫の表紙の写真チョイスも良い。


Lusna@Estrella2025年5月15日読み終わったイタリアでも独自の文化を保つサルデーニャ島への旅。祭りでの鮮やかな民族衣装の娘たちが美しい。宿で山羊肉を焼きながら老人と交わす会話。人懐っこい車掌の懇願。笑ったり怒ったり、空腹を堪えたり。ロレンスの声が綺麗なので芳醇な時間を過ごせた。






































