利他・ケア・傷の倫理学

37件の記録
- torajiro@torajiro2025年8月1日読み終わった『世界は贈与でできている』の近内さんの二作目。前作も気になりつつ未読なんですが、「利他」「ケア」「傷」と関心のど真ん中にいるキーワードがこれだけ並ぶとどうしても気になってしまって先にこちらを。 利他とは、自分の大切にしているものよりも、他者の大切にしているものの方を優先すること。 傷とは、大切にしているものを大切にされなかったときに起こる心の動きおよびその記憶。そして大切にしているものを大切にできなかったときに起こる心の動きおよびその記憶。 ケアとは、他者の大切にしているものを共に大切にする営為全体のこと。 3つのキーワードを他者との関係において定義しながら、そのの考察をウィトゲンシュタインの言語ゲームを軸に進めていくという構成。 言語ゲームは続けることそのものに意味があり、他者との関係を断つというのはその他者との言語ゲームから降りてしまうということ。 ウィトゲンシュタインはこれまであまり触れてこなかったので、利他・ケア・傷についてこれまで考えてきたことと重なりつつも異なる角度から考えられたので読んで良かった。
- ふるえ@furu_furu2025年3月5日読み終わった「利他」と「ケア」の違い、「道徳」と「倫理」の境界線について書かれていて面白い。 経済学者の宇沢弘文が唱えた自動車の社会的費用の論に触れられていて、そんな考え方で費用について論じられているのとてもいいな、優しいなと思って嬉しかった。 「偽善」と「ケア」の違いみたいな話から、「心」はどう捉えるのかみたいな話があって面白い。「信頼」と「社会不確実性」の話が個人的には興味深く、この人は「信頼」できるのかみたいな状態から「信頼」状態?に移行して関係性を築いて、そこからまた「社会不確実性」が高まった関係性は改めて「信頼」を感じる状態に戻ってこられるのかということを考えている。