工場日記

19件の記録
- 雨@___amadare2025年6月4日読み終わった"ひどい疲れのために、わたしがなぜこうして工場の中に身をおいているのかという本当の理由をつい忘れてしまうことがある。こういう生活がもたらすもっともつよい誘惑に、わたしもまた、ほとんどうちかつことができないようになった。それは、もはや考えることをしないという誘惑である。それだけが苦しまずにすむ、ただ一つの、唯一の方法なのだ。ただ土曜日の午後と日曜日にだけ、わたしにも思い出や、思考の断片がもどってくる。 このわたしもまた、考える存在であったことを思い出す。わたしは、自分がどんなにか外的な事情に左右される者であるかを見てとると、ほんとうにぞっとする。そういう事情のためにある日、週一回の休みも与えられない仕事に従事しなければならない境遇につきおとされれば、それでもうおしまいなのだ──そしてこのことは、とにかくいつでも起こりうることなのである──そうしたら、わたしは、おとなしい、じっと苦痛をこらえる(少なくとも、自分ひとりのためなら)、牛馬同然の人間になりさがってしまうであろう。"(p.58)
- ちはる@chiharium2025年5月19日途中まで読んだ図書館で借りたお嬢さま育ちなのに出自を隠して工場で肉体労働していたシモーヌ・ヴェイユの日記。労働に疲れ切ると、ものを考えることをしなくなる…というのは私も経験がある。
- 雨の夜@asatoyoru2025年4月16日読み終わった「そのままの形で理解された記号の組み合わせから一つの普遍的な理論を作り上げるためには記号の組み合わせにおいてかなり明晰な観念を得ていなければならないと言えよう」 「多くのものに共通なものを表象する記号」 実際と記号の乖離を理解し記号の集合を把握していなければ理論は立てられない。 だが「そのまま」も「乖離」も現物を理解して初めて得られるものだ。記号を通すことで何らかの要素は削られている。 結局不完全な理解と不確かな記号を元に理論をたてるより他はない。そうやってできた理論は結局のところ束の間条件付きで存在するしかできないのだろうなと思った。
- USA@usastreet2024年8月31日読み終わったお風呂読書 Kindle 日記の半分以上は、工場での作業記録なので、一文一文読むとしんどい。だけどヴェイユの真面目さがとても現れているのと、日々の愚痴なんかも人間臭くて良い。彼女の優しさも垣間見えて、教師の職を休んでまで労働者の現実を自らが体験し、同じ目線で物事を見、その上で判断しようとする姿勢がとても素晴らしく、非常に共感した。 2024年、読んで良かったと思う1冊だった。