坂の中のまち
19件の記録
田口為@naseru_taguchi2025年10月18日読み終わった借りてきた図書館に行く夫に「何か読みたいから借りてきて欲しい」と依頼したところ、借りてきた一冊。 不思議な読後感だった。物語は、大学進学のため主人公が上京し、下宿先の女主人に挨拶するところから始まる。この女主人が非常に個性的な人物であり、私は「なるほど、主人公の大学生活に関わってくる人物なのだな」と思った。大学生活を通して変化していく主人公の話にのかと予想していた。 しかし、私の予想に反して主人公の大学生活の描写は全編を通してみるとそこまで深くはなかったと思う。本書は六話構成だが、例えば一話で出てきた大学で出会う友人は、二話以降では登場回数が減ってしまう。同様に、固有名で出てきた人物がその後出番なし、ということもちょくちょくあった。 この本は、六話分の読み切り短編集のような印象だった。もちろん主人公に変化がないわけではない。六話を通して恋をしたり、バイトをしたり、帰省をしたり、その度に色々な人に出会い、色々なことを考える。 その中で、下宿先の女主人が関係してくるのである。主人公自身も、彼女がいないところで彼女の愛読書達を思い出すなど影響を受けていく。一話一話は大学生活の中で起こる出来事を切り取り、そこに女主人も絡んでいく。 しかし、女主人の存在によって、六話を通して主人公に劇的な変化が起こるかというと、そうではないように思った。 主人公には恋人ができるのだが、その進展やすれ違いという過程も本書のメインでは内容に思った。 本書は、タイトルの通り東京の坂がメインなのだ。坂を取り巻く物語は日本に沢山ある。主人公を通して「坂」を描く作品なのだ、と思った。 読了後、淡々とした本だった、という感想だった。エピローグも登場人物達はどうなった、という一文が並ぶようなあっさりしたものだと思う。 坂はただそこにある。たまたまそこの坂に文豪が住んだり、たまたまそこの坂を舞台に物語が生まれた。そうしたことを表現しているような気がする本であった。



kaidandance@suyasuyakinako5112025年5月5日読み終わった大好きな中島京子さん、しばらく寝かせていたのをGWに一気に読む。読み始めて軽く驚き、職場の近くが舞台だ!(帯の文豪、坂、でピンとくるべき?)最近夜ご飯に出向いたばかりの播磨坂の描写もあり、絵がより鮮明に広がる。ラスト近くで触れられた、焦燥感の中でふとエアポケットのように感じる悟り、あの頃私も持っていたと思い出した。
saki@53hon_to2025年4月13日読み終わったかわいらしい装丁に一目惚れして購入した一冊。 大学進学を機に上京した真智は、祖母の古くからの友人である志桜里の家で下宿生活を送る。文豪ひしめく坂だらけの街、祖母たちの壮大な秘密、不思議な邂逅、そして恋。 摩訶不思議な中島京子ワールドに引き込まれ、読み始めたら一瞬だった。つまり、かなり好きな作品だった!この本を片手に、小日向へ行ってみたくなった。 選ぶのは、自分自身──その結末を知ることになるエピローグがかなりあっさりしていたのが、なおよかった。

彼らは読みつづけた@findareading2025年3月24日かつて読んだ電子書籍*読書で見つけた「読書(する人)」* 《女子大進学者といえども、男子が隣に腰かけたくらいで、うろたえることはない。 しかし、その男子がこう、しゅっとしてて、清潔感があり、几帳面な雰囲気の白いシャツとグレーのズボンみたいなクラシックな格好をしていて、開いた文庫本に目を落としていて、ページをめくったり、さっと前髪を搔き上げたりする指がピアニストみたいに繊細で、まつげがとても長く、少しふっくらした唇がとてもきれいな桜色をしていたりすると、ややうろたえるというか、落ち着かなくなる。》 — 中島京子著『坂の中のまち』(2024年11月Kindle版、文春e-book)
涼元風花@suzu_fuuka2025年2月7日読み終わった今回の中島さんも好きだったー!文豪たちと縁のある坂で巻き起こるちょっと不思議な物語、愉快。坂を舞台にした日本の文学がたくさん登場して、いろいろ読みたくなった。











