ナイルパーチの女子会
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amy@note_15812025年11月8日読み終わった感想フェミニズムジェンダー柚木麻子さんの『ナイルパーチの女子会』を読んだ。もともとはドラマ化されたものを見て、正直想像していたストーリーと違っていたので驚いたし、同時にすごくおもしろかったので原作の方を読んで、もっと登場人物が何を考えているのか知りたくなった イメージとしては『あまからカルテット』などの柚木麻子さんお得意の女性同士の連帯の話かと思いきや、どちらかといえば『BUTTER』寄りの作品だ 人間の内部に深く潜り込んだような、ゆらめく情動が文章にみっちり詰まっている。SNSなどの台頭で世はまさに大共感時代である 共感がビジネスになる。それだけ共感を人は求めている。わかりあうことに重きが置かれると、わかりあえないことが罪深く思えくるし、わかりあえなさが社会てに適合できないことの証左になってしまう 共感によってつながりが生まれることはあるが、共感だけがすべてではないし、人間関係に共感のみを持ち込んでしまうとどこまでいっても自分の物差しを持ってきて、逐一他者を測るしかなくなる そのことを柚木麻子が鋭利に書いている。女性同士の連帯や力強い友情を描くことに定評のある柚木麻子だからこそ、同時に友情とは何か、女性同士の人間関係とは何をもって構築されるのかを時に冷酷にも思えるほど、たしかな筆致で書いてくれた 人間は決してわかりあえるわけではなく、またわかりあえなくても生きていける。大切なことはいかに自分をわかってもらうか、相手をわかるかではなくて、尊重するかということだ 金原ひとみの『ミーツ・ザ・ワールド』でも人とのわかりあえなさがテーマだった。『ナイルパーチの女子会』では女友達に焦点を絞ったことで、より共感を重視することの功罪が濃厚になっている。 わかってくれた!に縋ってしまいたくなるときがあるからこそ、そこに価値があると見なされる今だからこそ、読むべき小説だった



たびたび@tabitabi2025年6月18日読み終わった出会った瞬間にいろんな偶然を必然と感じ、この人が運命の友達だ!と舞い上がった経験がある。さらに、この物語のように少しずつそのメッキが剥がれてきて、心が立ち行かなくなったという経験も。 結局自分の理想像を勝手に組み立てて、それをできたばかりの友達に当てはめていたのかと。 初めは作中のストーカーじみた行動やセリフ達を、あるあるー、と思いながら面白半分で読み進めてたけど、ふいに当時自分もこんな必死感で生きていなかっただろうか、とうすら寒い気持ちになった。- kimmy@kimmy2025年6月12日読み終わった30歳。出会って意気投合して自転車2人乗りして、それがだんだんと自分が理想とする親友像を押し付けるようになり、その悩みが形を変えて次に侵食していく。人間関係を描いた小説なのに、とてつもなくグロテスクだった。

なみだめ@nmdm2025年4月16日読み終わった序盤から最後まで「いったいどうなってしまうんだー?!」と心の中のトムブラウン布川が叫んでた。そんな行動ありえないの側面に共感してしまう信念がある、でもありえないが振り子のように行ったり来たりする登場人物ばかり。目が離せない。


夏しい子@natusiiko2025年3月22日かつて読んだこれは凄い作品だ。 主人公が精神的に壊れてきたら、そこで終わりになるのが大抵の小説だろう。 けれどこの小説は、壊れてからが本番のように進んでく。 そんな壊れた女である主人公の栄利子、そして被害者のようで、どこか栄利子に似ている翔子。 この物語は栄利子こそが純真で誠実な人間で、後の人たちは薄っぺらな不誠実な人ばかりのようにも感じさせる。 社交辞令という名の嘘を日常茶飯事に吐く人たちこそが 栄利子のような狂った女では無い普通の人たちなのだ。 この物語は、それをひしひしと感じさせる凄まじい小説だ。






































