
ふじこ
@245pro
のろのろ読書
- 2025年7月9日ルック・バック・イン・アンガー樋口毅宏読み終わった実在するアダルト本出版社をモデルに書かれた群像劇。傷ついて、傷つけられて。血を流さないと雑誌を作ることができなかった、あの頃の不器用な男たち。どこまでがリアルで、どこからがフィクションなのか。『凡夫』と合わせて読むと異常さと恐ろしさがより現実味をもって迫ってくる。樋口節に翻弄され、酩酊状態のまま一気に読み切った。男も女も、必死に今を生きていた。本作に書かれていることが生きているということならば、私はまだ今を生きることができていないのかもしれない。
- 2025年7月3日爆弾犯の娘梶原阿貴読み終わった映画『桐島です』の脚本家が自身の半生を綴ったエッセイ。彼女の父も爆弾犯として指名手配され、逃亡生活を送っていた。父を匿うため、少女の日々はたくさんの嘘に塗り固められていく。登下校の際は交番の前を避けて通り、ボストンバッグには大事なものを入れていつでも逃げられるようにしておく。重い話をさらっと書いているところに彼女の防衛本能が透けて見えて、胸が苦しくなる。最後、梶原さんの言葉を読んで自然と涙が流れた。幼い頃の私はこうやって抱きしめてもらいたかったのだ。今度『旅立ちの時』を見よう。
- 2025年7月2日銭湯福田節郎読み終わった酔っぱらいの夢の話をずっと聞かされているような、真面目に聞かなくてもいいのになんだかんだで最後まで付き合ってしまった。全ての受け答えが適当で、でも人の話なんてそんなにちゃんと聞かなくても世界はどこまでも続いている。バツイチ男の哀愁と中途半端な諦念はぐだぐだと身体に纏わりついてくるようで始末が悪い。でも、長い人生の中で時には同じところをぐるぐるすることがあってもいい。ぐるぐるしていたらいつの間にか知らない場所にたどり着いている、そんな旅がしたくて私は本を読んでいるのかもしれない。すべてを捨てて僕は生きてる。
- 2025年6月26日
- 2025年6月14日
- 2025年6月3日あたらしい散歩 専門家の目で東京を歩く大北栄人,林雄司読み終わった専門家と一緒に東京の街を歩く。今までこんなにたくさんのものをスルーしていたことにただただ驚かされる。接着剤、植物、化石、タクシーなど新しい視点が加わると散歩はこんなにも楽しい。ムクドリが駅前の木に群れて騒ぎがちな理由は思わず「へ〜!」と唸ってしまった。
- 2025年5月15日ルポ 中年童貞中村淳彦読み終わった女性と一度も性交渉を持ったことがない男性たち。様々な事例を読んでいく中でわかったのは、彼らはみんな思考の中に生きているということだ。自分を受け入れてくれる若くて可愛らしい処女を求めている。自身が女性に相手にされないことは省みず、受け入れてくれない女性が悪いと主張する。リーマンショック以降中年童貞が増えたこと、中年童貞は未だに母親の羊水に浸かっているという話がとても興味深かった。今後ますます中年童貞は増えていくのだろう。鈴鹿イチローが来世ではきっとセックスできますように。
- 2025年4月20日ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス栗田シメイ読み終わっためちゃくちゃ面白かった!!理事長が定めた大量の謎ルール、25年以上にも及ぶ独裁体制。一時たりとも落ち着くことのできない監獄から平穏を取り戻すべく、立ち上がった勇者たちがいた。とにかくレジスタンスメンバーたちの情熱と執念が凄まじい。ここで倒れたら負けるという気合と根性、それに押されて少しずつ増えていく友軍。ちょっとでも何かが欠けていたら、何かが噛み合わなければ、この戦いに勝利することはできなかった。思考に囚われたモンスターも元は人間で、目的は同じ場所だったのだと気付かされる。
- 2025年4月12日アサイラム畑野智美読み終わった〈わたしの人生なのだから、最優先するべきは、わたしなのだ。〉スミレは大学生のときに性暴力に遭い、とあるきっかけからその出来事がフラッシュバックして日常生活がままならない状態まで追い込まれてしまう。仕事を辞めて『被害者のための街』に移り住んだスミレ。そこで自分自身とゆっくり、少しずつ向き合っていく。読みながらずっとズキズキと胸が痛んでいた。深い傷を負ったという事実をできるだけ見ないようにして封じ込めてきたスミレの中に私がいる。読み終えて光が見えた。今もどこかで苦しんでいる誰かにこの物語が届くように願う。
- 2025年3月20日潤一井上荒野読み終わった猫のようにするりと懐に入ってきて、ふと気付くといなくなっている。潤一はそういう存在だ。留まる場所を持たず、波のあいだを揺蕩うように生きていく。自分の中に残された爪痕をなぞりながら、彼の不在をゆっくりと受け入れていく9人の女たち。もしかしたら私も潤一と束の間一緒にいたことがあったかもしれない。彼が本当に求めていたのは愛だったのではないだろうか。潤一は愛にたどり着いたのだろうか。いつの日か潤一のことを思い出す日が来るような気がする。彼がどこかで元気にしてくれていたらいい。頬に春の風を感じながらそう思った。
- 2025年3月17日ハイパーたいくつ松田いりの読んでる
- 2025年3月14日潤一井上荒野読んでる
- 2025年3月14日だめになった僕井上荒野読み終わった男と女が出会い、惹かれ合うようになるまで。時系列を遡っていくだけで、どうしてこんなに胸が苦しくなるのだろう。彼と彼女が出会った画廊。ブッラータ。井の頭公園のボート。まるで自分がそこにいたかのような錯覚を覚える。不在の喪失感は年月を経る毎にどんどん大きくなっていき、取り返しのつかないところまで膨らみ、事件は起きる。純粋にお互いを求めていた頃が懐かしく、とても遠い日々のように感じる。時間が経ったからではなく、心がすれ違ってしまった分だけ遠いのだと気付いて、もう一度胸の奥がしくしくと音を立て始める。
- 2025年3月10日アサイラム畑野智美読んでる
- 2025年3月9日
- 2025年3月6日だめになった僕井上荒野読んでる
- 2025年3月6日
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