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ふじこ
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のろのろ読書
  • 2026年7月10日
    真珠とダイヤモンド 下
    時はバブル。福岡の証券会社で出会った佳那と水矢子。東京に出る夢を抱える者同士仲を深めた2人は、バブル景気に呑み込まれ、運命を狂わされていく。バブルを舞台にした物語はどれも後味が悪い。それをわかって読み始めたはずだった。多すぎる金は、人の判断力をいとも簡単に奪ってしまう。あのときこうしていれば、を何度思い描いてもそれはいっときの好景気に浮かされた人間の絵空事でしかない。金のために人が生きるのではない、人のために金があるのだ。 2人の最後を見届けたあと、よかったねと声をかけたくなった。
  • 2026年7月10日
    真珠とダイヤモンド 上
  • 2026年7月10日
    本を読むのが超速い人の頭の中ってどうなってんの殺人事件
    いやあ、やられた。そういうことか。本自体が文庫よりも小さいことがちゃんとトリックにも関連していて、これはこのサイズの本じゃないとできない試み。この短さでちゃんと満足感ある白井節を堪能できる。
  • 2026年7月1日
    審美
    審美
    戦後を生き抜いた美容家・輝山菊男の壮絶な人生を描いた物語。焼け野原の中を妹と必死に生き延び、美容家の輝山千代子に拾われ、養子になってからはその才能をめきめきと表していく。人は美に固執する。美に食われて死んでいく者もいる。菊男は戦争で残った痣を完全に隠せる化粧品に拘り、母の千代子と対立する。全てを失った菊男に残ったものは、変化していく自分自身を受け入れるという彼独自の美学だった。美とは見た目だけではなく、所作や生き方そのものに表れる。私も菊男のように美しいまま駆け抜けたい。「美しくないな」と嗤われないように。
  • 2026年6月25日
    けんちゃん
    〈助けてやってますみたいな態度で接するの気持ち悪いじゃないですか〉支援学校に通うけんちゃんと彼の周りの人々を描いた連作短編集。寄宿舎近くのコンビニで勤務する光くんの言葉が鋭くてやさしい。ペプシが大好きで、新聞を書いていて、シクラメンを一生懸命育てているけんちゃん。彼が日々を全力で楽しみながら生きているのを見て、私も元気をもらう。障害があるから誤解されてしまうこともあるし、それで傷つくこともある。私たちはみんな違う。違うからこそ、お互いに理解し合うことを諦めたくない。けんちゃん、ありがとね。
  • 2026年6月22日
    多類婚姻譚
    多類婚姻譚
    この本に出会うのが10年早かったら、刺さりすぎて痛すぎて発狂していたかもしれない。特に『Position Talk』における入籍直前のふたりのやりとりが精神的にめちゃくちゃくる。どこにぶつけたらいいのかわからない痛みを、人は往々にしていちばん大事な人にぶつけてしまう。他者と完全にわかり合うことはほぼ不可能であるとわかっていても、誰かと共にいることを求めてしまう。幸せってなんだっけ。どうして結婚したいんだっけ。そんな迷宮に迷い込んでしまう連作短編集。たくさんの問いを腕いっぱいに抱えながら、私は迷宮の奥へと進んでいく。
  • 2026年6月15日
    イン・ザ・メガチャーチ
    推しへの中毒を加速させ、物語に没頭し、自分を消費し尽くす。リアリティがありすぎる物語に、吐き気を催すほどの嫌悪感を覚える。愚かだなと思うと同時に、こういうふうに生きられたら幸せなのかもとも思う。本当は存在しない"物語"というものに踊らされて、それを生きている実感だと勘違いする。これを"物語"に溺れる人間が読んで、どう感じるのだろうと純粋に興味が湧いた。自分を直視したくない人にブッ刺さる劇薬小説。他人に自分の人生を預けて生きるのって、楽なんだよね。
  • 2026年6月11日
    斜め45度の処世術
    めっちゃくちゃに面白かった。レジの人に意思を奪われたくなくて月見バーガーを注文しなかったり、脳内を悟られたくないからカレーの材料にフェイクのブロッコリーを加えたり、SF作家による共感できない話のオンパレード。特に巻末の「感謝人狼」が最高すぎて声を出して笑ってしまった。すっかり小川さんのファンになってしまったので、ちゃんと小説も読みます。SFだからって食わず嫌いしてしまってごめんなさい。エッセイも書き続けてくれるととても嬉しいです。
  • 2026年6月9日
    あの子が火山で待っている
    前作『這々の体で、愛について』を読んですっかりファンになってしまった中島とう子さんの新刊。怒りとはどこから生まれるものなのか。自分の攻撃性に対して、私はここまで客観視することができているのだろうか。とう子さんの日記を読めば読むほど、この人の愛がどこかに消えてしまわないように、抱きしめたくなる。幸せにたどり着くまでに、人よりもたくさんの時間がかかってしまう人がいる。私も、とう子さんも、きっとそう。生きていて大丈夫。とう子さんの文章にそう言ってもらえた気がして、胸の奥がほかほかしている。
  • 2026年6月7日
    言語化するための小説思考
    直木賞作家・小川哲さんによる小説とは何かを突き詰めた一冊。小説法の違い、情報を出す順番の重要性、コミュニケーションとしての小説、小説の見つけ方。どの章も抜群に読みやすくて、めちゃくちゃに面白い。小説を書きたい人のためだけではなく、人と人がどうコミュニケーションして生きていくかという本質に限りなく近づくための本になっている。自分のための文章は独りよがりで、誰にも伝わらない。これから文章を書く上で何度も読み返していく本になるだろう。巻末の短編小説『エデンの東』も皮肉が効いていて最高。
  • 2026年5月31日
    感情労働の未来
    ものすごくいい本だった。私は普段、感情をフルに使っているつもりで使えていない。SNSが広く普及し、人の感情を自分の感情と勘違いし、自分の本当の感情が何なのかわからなくなってしまっている。万人がAIを使うようになった今、私たち人間にできることは何なのか。わかりやすい刺激に反応するのは簡単だが、私たちはそれに飛びつくことで何を失ってきたのか。SNSやAIに頼らず、自分の感覚のみで感情を出せるようになりたい。人間としての原点に還るという観点で、とても素晴らしい一冊だった。
  • 2026年5月31日
    這々の体で、愛について
    恋人と別れ、自分と向き合いながら書かれた一年二ヶ月分の日記。傷ついたことを認めるのは、苦しい。でも、傷ついたことから目を逸らすのは簡単で、それをしないとう子さんは、すごくカッコよくて素敵な女性だなと感じた。カウンセリングの内容を書いた文章が衝撃で、私も孤独を感じたときにこれをやってみたら安心できることがあるのかも、と思えた。お守りのようにずっと持っていたい日記。文フリでわざわざサインを書いていただいて、とても嬉しかったです。この世界で、ともに生きていきましょう。
  • 2026年4月26日
    今世紀最大の理不尽 それでも、結婚がしたかった
    なぜ結婚がしたいのか?という疑問に鳥飼さんがとことん向き合った一冊。読んでいて胸がシクシクしてきた。私も自分を大事にできないあまり、付き合っていた相手とうまくいかなくなったことがある。相手が自分を下に見ているという感覚に、少しずつ自分自身が削られていく。現行の婚姻制度への違和感、令和になってもアップデートされていない価値観。鳥飼さんの憤りと、それでも結婚したい思いがビシビシ伝わってくるエッセイだった。
  • 2026年4月24日
    そんな気がする
    砂鉄さんの文章がとても好きだ。あ〜そうそう、私もそう思ってたの!という重箱の隅の隅に追いやられた言語化できていないものを拾い上げて文章にしてくれている。日焼け報告の謎、回し読みの嬉しさ、実質の正体、繰り返すと名言ぽくなる法則。砂鉄さんのような観察眼が欲しいけど、ともするといちいち気にするめんどくさい奴になってしまって、加減が難しい。砂鉄さんの文章を読んでいると、世界にはまだまだ遊ぶ余地がたくさんあるなと、わくわくしてくる。とにかく読んでいてずっと楽しかった。既に砂鉄ロスになってる。
  • 2026年4月18日
    たびたび
    たびたび
    著者が編集長を務めた雑誌『富士山』に掲載された旅に関するエッセイ集。オランダまでディック・ブルーナに会いに行ったり、京都や大阪、福岡で美味しいものを食べまくったり、静岡で茶摘み体験をした記録。肩に力が入っていない文章はするすると読みやすく、どれも漏れなく面白い。特に潰れかけている新潟ロシア村でマトリョーシカの絵付け体験をしたあとの展開がザ・さくらももこという感じでめっちゃ好き。世界を楽しむって、こうすればいいんだな。私も茶摘み体験、ちょっとしてみたくなったかも。
  • 2026年4月3日
    これがそうなのか
    ことばを諦めない、永井さんの強さが好きだ。ことばと生きてきて、ことばに立ち向かって、問いを持ち続ける。私もいつしか問いを持って生きることが当たり前になって、毎日問いプードルを抱えて過ごしている。問いプードルは常に私たちのそばを駆け回っている。でも、大体の人は存在に気づかない。私は、存在に気づける人でありたい。問いはまた新たな問いを連れてくる。あなたも、私が来るのを待っててくれたんだね。出会えて嬉しいよ。問いプードルの頭をわしゃわしゃと撫でる。
  • 2026年3月23日
    べつに怒ってない
    気にしなくてもいいことが、気になってしまうことがある。武田砂鉄の本を読んでしまったからだと思う。読みやすい長さのショートエッセイが123本。ガムテープがなくなるタイミング、体育をなぜか「たいく」と言ってしまう不思議、カレーを連続で食べるのを避ける現象。言われてみればそうだな、ということが気になってしまったらもう武田砂鉄ワールドから出られない。どうでもいいことを立ち止まって考えること。これが対話の第一歩なのかもしれない。今日も私の中のサテツが何か喚いている。
  • 2026年3月6日
    童貞の研究
    童貞の研究
    日本の童貞率がそんなに高いわけがない。憤りから始まった研究は、日本の童貞率の高さを裏付ける結果となってしまった。4人の男性のケースを通して多角的に童貞を研究した一冊。読みながら、まさに見えない霧の中をずっと歩いているような感覚があった。この本はいったいどこに着地するのだろう。どうやったら童貞を卒業できるかは書かれていない。だが、最後まで読み通せば光はきっと見えてくるはずだという確信がたしかなものになっていく。ぐんぴぃさんのあとがきも含めて素晴らしかった。
  • 2026年3月4日
    良い子でいたら幸せになれるんじゃなかったのかよ
    周囲から押し付けられる良い子が苦しくて、良い子から抜け出したいという感情を認めて、自分なりの良い子になっていく白瀬さんのエッセイ集。良い子であればあるほど、家族とわかり合えないという事実をなかなか受け入れることができない。良い子ゆえの思考回路はその人をがんじがらめにして、ぎゅうぎゅうに締めつけてしまう。兄弟みんなで集まって心の裡を話した夜が、とても眩しい。これからは白瀬さんが自分らしく生きていけますように。
  • 2026年2月24日
    試みの地平線 伝説復活編 (講談社文庫 き 15-22)
    「ソープへ行け!」ホットドッグ・プレスで連載されていた人生相談を厳選した一冊。「アソコが小さいことで悩んでいる」という悩みを一刀両断する気風の良さ。男らしさを言葉ではなく行動で表す。真の男らしさというものを、様々なお悩みを通して学ばせてもらった。適当にその場限りで答えているのかと思いきや、どれもこれも絶妙に本質をついている。本質にたどり着くには思考は邪魔だ、行動で示せ。そんな北方謙三の低音ボイスが聞こえたような気がした。時代が変わっても人の悩みはそんなに変わらないのも興味深い。
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