

オーカド珈琲
@K7777
おじさんの読書日記です
- 2025年11月24日
ブレイクショットの軌跡逢坂冬馬読み終わった570ページありましたが三連休で一気読みでした。 濃いお話の連続でいつの間にか頭の片隅に押し流されていた伏線が、終幕間際で結びついていく手際がたまりませんでした。 一台の車と一緒に、主人公が変わりながら連鎖していくお話はどれも異なるテーマや方向性で魅せてくれます。 おそらく、プロローグからエピローグに直接跳んでも読めるのですが、その間にある様々な人の物語が記されたページの分だけ、厚く感じられるエピローグは、本を読んだ満足感を充分に感じさせてくれました。 - 2025年11月14日
アミュレット・ワンダーランド方丈貴恵読み終わった『アミュレット・ホテル』続編です。 犯罪者御用達のホテルの掟は2つ。「ホテルに損害を与えない」「ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない」。 掟を破って起きた事件に、ホテル探偵・桐生さんが挑み、スパッと解決していくのは前巻と同じ。今回は水田さんも格好いいので、眼鏡の似合うスマートなお兄さんが好きな方もぜひどうぞ! - 2025年11月8日
真実への盗聴朱野帰子読み終わった超高齢化社会における年金問題を始めとする世代格差という固い背景の上で、遺伝子治療の副作用で聴覚が異常に発達した主人公が、長寿薬の発売に反対する秘密結社に潜入する(しかもブラック企業を辞めた直後に、正社員の椅子を餌に釣られて)という荒唐無稽感漂う導入で始まります。 え? これ、大丈夫なの? 収拾できるの? と思っていたのですが、さすがに朱野帰子先生でした。いつの間にか手に汗握り読み切りました。 虚実のバランスがいいのはもちろんですが、読ませられてしまいますね。 - 2025年11月3日
謎の香りはパン屋から土屋うさぎ読み終わったとても雰囲気が優しい日常の謎系ミステリー。 主人公はパン屋さんでアルバイトを始めた女の子。小さな事件をパンと絡めて解き明かします。 親友がドタキャンした理由とクロワッサン。 器用な彼女がフランスパンに切れ込みを入れられない訳。 シナモンロールの向こうに見える青春模様。 ひったくり犯を捕まえたいチョココロネ好きの少女。 30年前に旦那さんが買ってきてくれたカレーパン。 5つの事件がやがて大きな1つの闇に…なんてことはもちろんなく、ちょっと(だいぶ?)お節介な主人公と一緒にパンの香りのする物語を存分に楽しめます。 とりあえず、お昼はパンにしよう。 - 2025年11月1日
六月のぶりぶりぎっちょう万城目学読み終わった直木賞受賞作『八月の御所グラウンド』のシリーズ作品。 京都を舞台に、過去と繋がる少し不思議な二つの作品が収録されています。 「私ほどその篇首を知られた者はいない」という台詞が、その人のイメージとピッタリで個人的に震えたポイントでした。 これで八月、十二月、三月、六月のお話が出たので、あと8ヶ月分続編があるのかな、と期待。 - 2025年10月29日
ベーシックインカム井上真偽読み終わったAI、遺伝子、VR、人間強化と、技術の進歩により少し未来にあり得るかもしれない物語四篇と、表題作の計五篇からなる短編集。 AIを描いた作品は最近書かれたものかと思いきやChatGPTが火をつける前2017年に発表されているようで感度の高さに恐れ入りました。 最後に配された『ベーシックインカム』はミステリー仕立てですが、前の四作を巧みに取り入れた構成がにくいです。 - 2025年10月19日
宙の復讐者エミリー・テッシュ,金子浩読み終わった人類140億人が地球ごと破壊された未来。銀河中の知的種族の連合体であるマジョダに対し、わずか2000人が、小惑星に反抗のための基地ガイア・ステーションを建造。主人公の少女ヴァルキアは、ガイアで生まれ育ち、マジョダへの復讐に身を捧げることを誓っている。 …という導入から、壮大な復讐譚が始まりそうですが、そうはなりません。非人道的で、思想統制が行われているガイアの呪縛から、主人公が多くの間違いを犯しながらも逃れていき、やがて様々なものを得ていくお話です。 初期の主人公の考え方が受け入れられなくても諦めずに読み進めてください。きっと快哉を叫ぶシーンが巡ってくるはずです。 - 2025年10月12日
乱歩と千畝青柳碧人読み終わった推理作家・江戸川乱歩、外交官・杉原千畝、同じ時代を生きながらすれ違うことのなかった二人がもし出会っていたとしたら。そんなifを描いた物語。 二人の出会い以外、歴史は変わることなく流れていき、乱歩は明智小五郎や怪人二十面相を生み出し、千畝は命のビザを発行します。 それでも、なかったはずの二人の交流がお互いの人生に丁寧に織り込まれて救いになっていく構成は、とても巧みで、ifであることを忘れそうでした。 - 2025年10月10日
禁忌の子山口未桜読み終わった一冊前に読んだのが「恋と禁忌の述語論理」で今度は「禁忌の子」。“禁忌”なミステリー繋がりですが、全く関係のない作品です。 しかし読む方としてはどうしても影響を受けてしまうわけで、探偵が論理的であればあるほどに脳裏をよぎってしまう論理記号。。。 自分と瓜二つの死体、真相を探る内に遭遇する密室の中の遺体。魅力的な謎だけでなく、特に後半の重たい話を読ませる見事な筆捌きに脱帽な一冊でした。 (それだけに、先に読んでおけばノイズなしに読めたのにと…) - 2025年10月3日
恋と禁忌の述語論理井上真偽読み終わった以前読んだ「アリアドネの声」の井上真偽さんのデビュー作。 全3章+エピローグの構成で、各章ごとに、名探偵がすでに解き明かした事件について、論理学を駆使して検証を行なっていくという筋立てです。 結果、意外な真実が、となるわけですが、検証の手順がとにかく格好良い。記号と演算子だけで事件が解き明かされていく様子なんて、きっと他では見られません。 続編がないらしいのが残念… - 2025年9月24日
- 2025年9月21日
一次元の挿し木松下龍之介読み終わったヒマラヤ山中で発見された200年前の人骨のDNAが、4年前に失踪した妹のDNAと一致した。 非常にキャッチーな謎で始まるお話ですが、冒頭の謎に対する回答は、比較的早い段階で予想できます。 しかし、「誰が」「何のために」と畳み掛けてくる謎と、終盤に向けて高まるスリラー色が、ページを捲る手を途中で止めさせません。 秋の夜長に一気読みしたい本でした。 - 2025年9月18日
これが最後の仕事になる五十嵐律人,呉勝浩,宮内悠介,小川哲,秋吉理香子,講談社読み終わった「これが最後の仕事になる」の一文から始まる6ページの物語を24人の作家が綴った短編集。 読んだその人のその時の気分でお気に入りは変わると思いますが、きっと一つはいい出会いがあるはず。そう思わせてくれるような、ジャンルも方向性も色とりどりな詰め合わせでした。 個人的には青服さんと魔法少女と離婚届の3本が好きでした - 2025年9月17日
喪服の似合う少女大久保洋子,陸秋槎読み終わった1930年代の中国(中華民国)のある街が舞台のハードボイルド。 街の有力者の姪であるお嬢様から、行方不明になった友人の女学生を探してほしいと依頼された女探偵のお話。 派手さはないけれど、ずっと低音が鳴っているような渋さが心地いい。 タイトル回収が沁みますね。 - 2025年9月10日
屋上のウインドノーツ額賀澪読み終わった引っ込み思案の少女が高校で吹奏楽部に入って成長する話。主人公がドラムなのが吹奏楽部のお話としては珍しいかも。 入部から夏のコンクールまでのお話なので、もっと長いスパンで読みたくなる良作でした。 - 2025年9月6日
明智恭介の奔走今村昌弘読み終わった「屍人荘の殺人」の明智恭介が! 謎を! 解く! これだけで落涙必至のシチュエーションです。 日常の謎に全力で探偵している明智&葉村コンビを見ているだけで嬉しくなりますね。 - 2025年8月30日
カフネ阿部暁子読み終わったとどのつまり、人生が行き詰まってしまった女性が立ち直っていくお話というただそれだけなのですが、美味しそうな料理と主人公二人の関係性と素敵に軽妙な会話に引き込まれて、いつの間にか読み終わってしまいました。 どうであれ、きっと幸せなのでしょう - 2025年8月27日
屋上の名探偵市川哲也読み終わった姉大好きな高校生男子が、遭遇した事件に同級生の名探偵女子と共に挑む連作短編集。 この地味で大人しい女子が、「名探偵の証明」シリーズの蜜柑花子の高校生時代という、名探偵の前日譚となっています。 高校生たちの事件なのでミステリ色は薄めですが、その分青春の空気感が堪能できます - 2025年8月22日
元年春之祭稲村文吾,陸秋槎読み終わった前漢を舞台にした小説というだけでもなかなか読んだことがないのだけど、さらに本格ミステリという取り合わせ。これがハマる。 詩経をはじめとしてガンガン引かれる漢籍に煙に巻かれ、犯人も動機も分からないまま解決編に突入し、しっかり感嘆させられました。 ただ、主人公の性格が…おじさんにはついていけなかったです - 2025年8月17日
お梅は呪いたい藤崎翔読み終わった戦国時代から封印されていた呪いの人形・お梅が現代に甦り、出会った人々を次々に呪い殺そうとする。 のだけれど、というお話。 お梅の武器は「瘴気」と「負の感情の増幅」なのですが、瘴気の正体がちょっと好き。なるほど、それはなかなか効かないね
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