クララとお日さま
48件の記録
- 綾鷹@ayataka2025年11月18日クララというAF(人工親友)とジョジーという身体が弱い少女の物語。 AI、親・友人との関係性、格差社会などをテーマに書かれている。 「わたしを離さないで」のときも思ったが、クララの語る世界が映像のようにイメージしやすい。 ・わたしがカパルディを嫌うのは、心の奥底で、やつが正しいんじゃないかと疑っているからかもしれない。やつの言うことが正しい。わたしの娘には他の誰とも違うものなどなくて、それは科学が証明している。現代の技術を使えば、なんでも取りだし、コピーし、転写できる。 人間が何十世紀も愛し合い憎み合ってきたのは、間違った前提の上に暮らしてきたからで、知識が限られていた時代にはやむを得なかったとはいえ、それは一種の迷言だった・・・・。カパルディの見方はそうだ。わたしの中にも、やつの言い分が正しいのではないかと恐れている部分がある。だが、クリシーは違う。わたしのようじゃない。自分では気づいていないだろうが、あれは絶対に丸め込まれない。だから、クララ、君がいくら巧みに役を演じようと、すべてうまくいってほしいとクリシー自身が望んでいようと、来るべき瞬間が来れば、あれはすべてを拒絶するぞ。なんと言うか、旧式な人間すぎるんだ。自分が科学に楯突き、数学に反対しているとわかっていても、受け入れられないものは受け入れられない。そこまで自分を広げられない。一方、わたしは違う。クリシーにはない冷徹さを内部に抱えている。君の言う優秀な技術者だからかもしれない。だから、わたしはカパルディみたいな男には普通の接し方ができないんだと思う。連中がやることをやり、言うことを言うと、そのたびに、この世でいちばん大切にしているものが自分の中から奪われていく気がする。言っていることがわかるかな ・考えるまでもないよ。ぼくとジョジーは一緒に育って、二人ともお互いの一部だ。そして二人の計画もある。だから、もちろん、ぼくらの愛は心からのもので、永遠だ。一方が向上処置を受けてて、他方が受けてないなんて、ぼくらには関係ない。それが答えだ、クララ。これ以外の答えはないよ ・ジョジーとぼくは、これから世の中に出て互いに会えなくなったとしても、あるレベルではーー深いレベルではーーつねに一緒ということさ。ジョジーの思いは代弁できないが、ぼく自身は、きっといつもジョジーみたいな誰かを探しつづけると思う。少なくとも、ぼくがかつて知っていたジョジーみたいな人をね。だから、嘘じゃなかったんだよ、クララ。当時の交渉相手が誰なのか知らないが、その人がぼくの、そしてジョジーの心の中をのぞけたら、君がだまそうとしたんじゃないとわかってくれるはずだ ・カパルディさんは、継続できないような特別なものはジョジーの中にないと考えていました。 探しに探したが、そういうものは見つからなかったーーそう母親に言いました。でも、カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それはジョジーの中ではなく、ジョジーを愛する人々の中にありました。だから、カパルディさんの思うようにはならず、わたしの成功もなかっただろうと思います。わたしは決定を誤らずに幸いでした



ばるーん@ballo____on2025年10月25日読み終わったいろんな読み筋があっておもしろかった。 ジョジーを近未来(あるいは現代)の文学(小説)、つまり小説全体を文学(人間性?)の回復として読めた。(ジョジーを世話するクララの構図が、これからの文学の主題としてテクノロジーを取り入れて更新せざるを得ないのか?という意味での回復?) あと、ひどく不気味な話。怖かった。 初のイシグロということもあって、こんなに物語してるんだ、となった。


犬川@nekoiruyo2025年4月9日読み終わった誰かを友達と思うとき、その相手には親切にしてもらうだけでいいのか、それとも心を砕いてもらったと思える何かが必要なのかということをこの小説を読んでずっと考えている。AIとは「友達」になれるのだろうか。






Kanako.H/燈花書房@kanakopk2025年4月6日読み終わった読書会課題本信仰、翻弄、純真無垢、自己的利己的、自己犠牲、格差いう単語が思い浮かんでは消えていった。何か起こるのではないか、という緊張感からページをめくる手が止まらなかった。クララに幸せになってほしい、と願わずにはいられない。 初めて読むカズオ・イシグロ。設定について細かい説明がなく進んでいくのでわからないまま身を委ねていき、読み進めるうちにわかってくる書き方。文章(翻訳)が美しくて、わかりやすくて、品があって。


ほしの@starfield2025年3月6日かつて読んだ「わたしを離さないで」と同じ路線かも。 当たり前のように淡々と語られていく、決してハッピーエンドでもない、此処とは全く違う世界の話。 表紙の可愛さで買う人もいるかもしれないけど、この中に浸るにはちょっと体力が要る。
彼らは読みつづけた@findareading2021年12月10日かつて読んだ電子書籍*読書で見つけた「読書(する人)」* 《本人はわたしの背後にある革のソファに寝転がり、黒い本棚からとったペーパーバックを読んでいます。両膝を立て、そこにお日さまの光模様を浴びながら読書にのめり込んでいて、わたしの言葉も聞こえているのかいないのか、あいまいな反応しか返してきません。つい先ほどまでいらいらと緊張しきっていたのに、よく落ち着いてくれました。》 — カズオ・イシグロ著/土屋政雄訳『クララとお日さま』(2021年3月Kindle版、早川書房)




- 村崎@mrskntk2021年8月3日この作品のことを思い出すとたちまちせつな愛しい気持ちになります。クララはほんとうに、愛すべき存在……。クララのことはずっと忘れたくない……。もしこれから読むというひと、今からはじめてクララに会えるのがうらやましいです。何度読み返しても色あせない作品だとは思うけれど、やっぱりはじめて出会うときの気持ちは代えがたいものだと思う










































