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ふまそん
ふまそん
ふまそん
@fumason
  • 2026年8月12日
    決壊(下)
    決壊(下)
    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ”赦すっていうのはね、結局、終わらせることじゃない? 忘れることが出来ないなら、赦して終わらせるしかない。──赦しという行為に、崇高な価値が与えられている のは、どう考えても赦される側の人間のためじゃない。赦す側の人間のためだよ。生存の秩序維持の観点に立つなら、社会は殺人からひとつの歴史的教訓を得て、被害者の死 を無駄にせずに済むと納得出来たなら──その損害に相当する何がしかを回収出来たなら、赦しを与えるだろうね。それで、個人の実存的な不安も一緒に鎮められる。犬死にというのはないんだ、とね。規律からの逸脱に対するルサンチマンは、罪に見合う罰と いうものが与えられれば、晴らされてしまう。被害者への共感は? そんなものは、放っておいても勝手に終わるよ。”
  • 2026年8月11日
    決壊(上)
    決壊(上)
    ⭐︎⭐︎⭐︎ ”そうだな、……俺は、外国にいた頃から、言葉についてよく考えるようになってね。それは結局、自分自身について考えることなわけだけど、・・・・・・言葉っていうのはね、どうも、不自由にしか遣いこなせない時よりも、巧みに易々と遣いこなせている時の方が、本当に痛烈に人を裏切るものなんじゃないかっていう気がする。これは呪わしい実感だね。……俺は、自分の言葉が形作っている世界──自分自身を拘束して、自分の周りの 人間まで巻き込んでいるその世界のことを考えるとね、体中が内から張り裂けてしまう みたいな痛みを感じるんだよ。それは、俺の意志の力では、どうにもならなくなってる。……どう考えてもね、俺という人間の能力の中で使いものになりそうなものといったら、 言葉くらいのものだよ。他には何もない。だけどね、その唯一の能力が、俺には時々、 吐き気がするほど厭わしく感じられるんだよ。……”
  • 2026年8月8日
    これがニーチェだ
  • 2026年8月8日
    エキストリーム・センター
    エキストリーム・センター
    ⭐︎⭐︎ ”セルナの言葉を借りれば、「硬直したイデオロギー」にしがみついては、よいファシストにはなれない。それよりも、ファシストに必要な資質は、「状況への適応力によって立場を変転させる柔軟さ」であり、風向きしだいで「意見を変える」しなやかな知性である。こうして、このファシストの言明が示唆するのは、ポストモダニズムとネオリベラリズム、中道的態度、そして極右ポピュリズムとが、一見そうでないようにみえながら、現在のように共鳴できるのか、その理由である。 かつて筆者は、現代日本の状況を「ウルトラエキセン」という言葉で表現したことがある。これはなかば冗談だ が、日本社会の問題は、政治過程のみならず、社会文化の隅々にまでエキセン的心性が深く浸透しきっている点にあることを示そうとした。それゆえその状況も相対化できないままである、と。このようなエキセン的心性の浸透は、あらゆる領域で、この社会の内側からの崩壊に拍車をかけている。”
  • 2026年7月26日
    とるに足りない細部
    とるに足りない細部
    ⭐︎⭐︎ “こんな風に仕事に没頭するのは、生活にしがみつきたいという欲望の反映だと思われるかもしれない。あるいは、占領が破壊を試みている生活への愛かもしれないし、"この地には生きるに値するものがある”ということへの執着なのかもしれないと。まあいい。私にはほかの人たちを代弁することはできない。”
  • 2026年7月23日
    成瀬は信じた道をいく
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている”
  • 2026年7月16日
    罪と罰(3)
    罪と罰(3)
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “それ、それ、胸くそ悪いってやつですよ! あなたは人が信じられなくなった。だから、わたしが、荒っぽいお世辞でごまかしているみたいにお考えなんです。でも、ラスコーリニコフさん、あなたはどれだけ生きてこられたっていうんです? どれぐらい物事を理解してらっしゃるっていうんです? たしかに理屈は考えだしました、でもすぐに恥ずかしくなった。それがみごとに失敗し、なんとも凡庸な結果に終わったからです! たしかにみじめな結果に終わりました、それは本当です。といっても、どうにも救いがたい卑怯者っていうわけじゃない。ぜったいにそんな卑怯者じゃない! いつまでもぐずぐず自分をごまかせず、一気にどんづまりまで行きついてしまった。あなたという人を、わたしがどう見ていると思います? 腸えぐりとられようが、毅然として立ち、にこやかに笑みを浮かべて迫害者どもを見返す、そんなふうな人間だと思ってるんですよ。むろん、信仰か、神が見いだせればの話ですがね。ですから、見いだすんですよ。そして、生きることです。あなたはだいたい、とっくの昔に空気を変えなくてはいけなかった。たしかに、苦しむのもいいことです。ですから、苦しむんです。ミコールカが苦しみたいと願っているのは、ひょっとすると正しいことかもしれない。信仰がもてないのはわたしにだってわかりますが――要するに、変にこざかしく考えないことです。あれこれ考えず、人生にすなおに身をまかせることです。心配はいりません。岸までそのまま運んでくれますから、二本足で立た せてくれますから。どういう岸、ですか? いや、それはわたしにもわからない。わたしはただ信じているだけです、あなたはこれからもまだたくさん生きていくべきだって。今のこのわたしの言葉を、丸暗記してきたお説教と思っておられることも知っています。でも、ひょっとして、あとから思いだしてくれるかもしれませんし、いつかお役に立てるかもしれません。だからこそお話ししてるんですよ。あのばあさんを殺しただけですんでよかった。べつの理屈でも考えついていたら、一億倍も醜悪なことをやらかしていたかもしれないんです! これはひょっとして、まだ神に感謝すべきことがあるってことかもしれませんよ。だって、わかりませんよ、神は何か理由があって、あなたを守ってくれているかもしれないでしょう。ですから、あなたも心を大きくもって、あまり恐がらないようにするんです。怖気づいて目の前の大きな義務が果たせないっていうんですか? いや、この段階になってひるむなんて、それこそ卑怯ですよ。あれだけの一歩を踏み出したからには、しっかりなさることです。それこそが 正義なんですから。いまこそ、正義が求めるものを実行なさるんです。信じられないのはわかってますが、なあに、人生が運びだしてくれますとも。そのうちに自分でも好きになります。いまのあなたに必要なのは、空気だけです。空気です、 空気なんです!”
  • 2026年7月10日
    罪と罰(2)
    罪と罰(2)
    ⭐︎⭐︎ “おれは一刻もはやく踏み越えたかった……おれは人を殺したんじゃない、主義を殺したんだ!”
  • 2026年7月10日
    罪と罰(1)
    罪と罰(1)
    ⭐︎⭐︎ ”なぜって、極貧ってことになれば自分でまっさきに自分を辱めにかかりますからなあ。で、行きつく先は酒場通いってことになるわけです! ”
  • 2026年7月5日
  • 2026年7月1日
    アルプス席の母
    ⭐︎⭐︎ “本当は女の子のお母さんになりたかった。”
  • 2026年6月20日
    全国厄除け郷土玩具
    東京の笊冠り犬と大分の福獅子がかわいい。機会があれば手に入れたい。
  • 2026年6月19日
    おんぶにだっこ
    おんぶにだっこ
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “私は今でも時々乳母車に乗りたいと思う。歩くのと同じ速度で、あの高さから街路樹や空を眺め、そのまま揺られて眠ってしまいたい。仕事に追われている時は、特にそう思う。”
  • 2026年6月13日
    帰れない探偵
    帰れない探偵
    ⭐︎⭐︎ “この島に来る人は皆、なにかを探しに来るが、それが彼らを待っているわけじゃない。彼らは、似たようななにかを『これが自分の探していたものだ!』と自分に信じ込ませて、帰りの船に乗るんだ”
  • 2026年5月29日
    白痴
    白痴
    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ “私は然し、この女の不具な肉体が変に好きになってきた。 真実というものから見捨てられた肉体は、なまじい真実なものよりも、冷めたい愛情を反映することができるような、幻想的な執着を持ちだしたのである。私は女の肉体をだきしめているのでなしに、女の肉体の形をした水をだきしめるような気持になることであった。”
  • 2026年5月20日
    Schoolgirl
    Schoolgirl
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “「ねぇ、ちょっとよくわからないんだけれど」私は頭の凹みに中指を置く。「こういうことで合っている? 今、現実ではとてもひどいことが起こっていて、苦しんでいる人がたくさんいる。小説やフィクションで現実逃避をしている場合ではない。テレビをつけてニュースを見て、現実と向き合うべき、ということでいいの? でも、どんなニュースだろうとドキュメンタリーだろうと、それがひとつの小さな説である点では、小説とたいして変わらないんじゃないの?」” #収録されている短編「悪い音楽」のほうがおもしろかった
  • 2026年5月15日
    叫び
    叫び
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “お前は今、自分の軽さを持て余している。何をしようにもお前の中の 天秤がいつまでも揺らいで、後先がつけられないでいる。それ自体は珍しいことではない。むしろありふれたことである。そのことがまたお前の存在を希釈する。それはお前が認める認めないにかかわりがない。そのことがお前の存在を無力にする。お前が大洋の一滴であることに、お前自身はかかわりを持てない。そのようにしてお前はお前を見失う。お前が掬った水はお前の手のひらから零れていく。 騙し騙しにしていた積年の負い目を見抜かれた気がして、 「せやけど実際問題」と何とか反発しようとした声は、しかし既に縋っていた。 「どないしたらええんでしょう」 男は待ち受けていたように笑った。「せやし言うてるやろ。お前には重さが必要なんや」”
  • 2026年5月3日
    アラート
    アラート
    ⭐︎⭐︎⭐︎ “大国に操られるふりをして、自国に利するための策謀を巡らせてこそ、本物の閣僚じゃないの?”
  • 2026年5月2日
    対馬の海に沈む
    対馬の海に沈む
    ⭐︎⭐︎ “一連の疑惑を晴らすため、私が伝手もないまま対馬の地を踏んだのは、二○二三年一一月のことだった。過去の取材で明らかにしたJAグループが腐敗していく構造上の問題を、さらに深いところまで知り得るのではないかという気持ちに突き動かされてのことである。西山による不正が明るみに出てから、すでに四年近い歳月が流れていた。 やがて古い壁がボロボロとはがれ落ちるようにしてさらけ出された真相は、巨大組織の闇だけにとどまらなかった。 いま振り返れば、この時の私は、人間とその社会の恐ろしさがまるで分かっていなかったのである。”
  • 2026年4月28日
    ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前
    ⭐︎⭐︎ “(わたし)は、隣の個室に入って耳を澄ました。 乾いたパンをネズミのように前歯でポリポリ噛じる音がした。ネズミの化身かもしれない、などと思っていると、今度はすすり泣きが聞こえた。ネズミの出す細い高い声ではなく、人間の女性のすすり泣きだ。皺ひとつないスーツに身をくるんで、拾ったパンのかけらを噛じりながら、涙を流す女の姿を思い浮かべた瞬間、(わたし)は感傷的な気分に襲われて、個室から逃げ出した。が、その時はもう遅かった。洗面所の鏡の前を通る時に目まいがして、(わたし)は哺乳ビンの乳首に変身していた。”
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