犬婿入り

13件の記録
- 読書猫@bookcat2025年8月1日読み終わった(本文抜粋) “道子は自分の日本語が、坂を駆け下りるように下手になっていくのを感じたが、もうどうにもならなかった。本当に思っていることを言おうとすると、日本語が下手になってしまうのだった。” “小説を開いて読み、それについて書きたいと思って読み、読んでいくうちに何か暗い予感のようなものが、道子の本を抑える両手の指にからみついてきて、道子を下へ下へと引っ張っていくのだった。下の方では、形のない冷たく湿ったからだのようなものが蠢いていた。道子は、その仲間入りをしたくないのだった。したくはないけれども、小説を読んでいると下へ下へと引きずられていって、論文を書くどころの話ではなくなってしまうのだった。“ (「ペルソナ」より) ”なんだか、いつも、ねばつくような感じのする手のひらで、時々、耳をいじったり、もの想いにふけったりしながら、ぐずぐず箸を動かしている利発とは言えない扶希子をみていると、みつこは、よく、苛立ちと似た強い愛情が湧き起こってきて、胸が苦しくなり……(略)」 (「犬婿入り」より)
- 夏しい子@natusiiko2025年3月7日かつて読んだ『ペルソナ』も『犬婿入り』も面白かった。 多和田葉子さん自体、初めてだったけれどとても読みやすくあっという間に読んでしまった。 あれは何かを意味していてとか、あれはそういうことで等、難しい解釈は分からない。 ただ私が読んでいて好きだなぁと思ったのは、ペルソナにしても犬婿入りにしても主人公の女性が周りで起こっている変な事の割に、妙に現実的な考え方や過ごし方をしているところだ。 周りが全部おかしくて、主人公だけが現実のような。不思議の国のアリスのようなところが初心者読者の私も取り残されず楽しめた。