救われてんじゃねえよ
86件の記録
みっつー@32CH_books2026年1月2日読み終わった不幸ってなんだろう。 僕はそれがあまり分からないまま、今日まで生きてきた。 もちろん、嫌な目に遭った日もあったし、今日はなんて運が悪いのだろうと言う日もあった。 カバンの中に虫を入れられた時、廊下を走り回って先生から怒られた時、テストのカンニングがバレた時、自転車に轢かれた時、コンビーフについている鍵の形をした道具が欲しくて友達と引っ張りあったら手のひらを深く傷つけて血まみれになった時。 情けなくて、悔しくて、自分が蒔いた種でもあって、そういうことが起こるたび、酷く落ち込んで、今も胸のどこかで燻っている。 誰かのせいにしたり、自己嫌悪に陥ったりした。 数年前に肺気胸という病気を治すための手術をした。 手術自体は滞りなく、というか問題なく終わったのだけれど、その際に胸の辺りに痺れるような痛みがあった。 「この痛みはどのくらいまで続くんですか?」と僕は先生に聞いた。 すると先生は「それはね、20年近く続きます」と言った。 さすがに驚いた。 触れるだけでビリッとくるこれがあと20年も…? 絶望している僕をよそに先生はこう続ける。 「でもね、数ヶ月で慣れます。人間ってなれるんですよ」と言った。 それから数ヶ月で、本当に胸の痺れは無くなった。 けれど今も触れてみると、そこに痺れというか、胸の内側がざらつくような感覚になる。 本当に僕は、胸の痛みに慣れしまったのだ。 これは今日までに僕が感じていた「辛かった過去」にも同じことが言える。 友達にイタズラされたことも、先生に怒られたことも、失恋をしたことも、今となってはただのざらつきになっている。 時々思い出しては少し胸の痛みが復活するけれど、そんなのは大したことはない。 毎日を生きる方がよっぽど、楽しくて、辛くて、やりがいがあるからだ。 上村裕香さんの『救われてんじゃねえよ』を読んだ。 主人公の沙智は、難病に罹ってしまった母を介護しながら高校生としての日々を送っている。 担任の教師が「お家が大変だからみんなもサポートしてやって欲しい」と言えば周りのクラスメイトからは「特別扱いされてるもんね」と言ったような嫌味を言われ、修学旅行には行かないで欲しいと母にせがまれ、障害年金が貰えるとなれば父親が勝手にカメラを買ってきたりする、散々である。 そう、この家族、母親の難病のことだけが問題なのではない。 そもそも、両親共に、性格に難がある。 そんな両親に挟まれながら沙智は母の介護に勤しみ、父のためにご飯を作ったりしているのだ。 しかし、周りから手を差し伸べられたり、心配されたりしても、沙智は両親を見捨てない。 勘違いしてはいけないのは、この小説は家族の美談を書いたものではない。 辛くて、しんどい日々は、この物語が終わった後も続いていく。 けれど、沙智はひたすらにトンネルの奥の光へと歩みを進める。 就職して、色々な大人がいることを知って、考え方を学んで、一つの結論を導き出す。 彼女を可哀想な若者と捉えるか。 自分や家族と向き合った強く気高い女性と捉えるか。 人それぞれだと思うけれど、僕個人としては「そんなの関係ねぇ」と思う。 これはあくまでも彼女、沙智自身の物語だ。 そう感じる。 最後にまた僕の話になってしまうのだけれど、僕は母子家庭で育った。 父とは僕がまだ小さい頃に離婚して離れ離れで暮らすこととなる。 と言っても、たまに会っていたし、遊びに連れて行って貰ったりもしたので、特段悲しくなることはなかった。 それでもやっぱり「父との思い出」は指で数えるほどしかない。 でも、確かに覚えている。 ゲームを初めて買ってくれたのは父だ。 トイザらスで一番下に並んでいた「星のカービィ」のソフトが今も自宅にある。 「はねるのトびら」のDVDを見せてくれた。 これが好きだと父は言っていた。 僕もお笑いが好きになった。 一緒に逆上がりの練習をした。 でも教え方が下手だったのか、教えるやる気があまりにもなかったのか、これに関してはマジで何も覚えてない。 でも、練習に付き合わせて申し訳ないな、と思った記憶だけがある。 一度だけ、母親が迎えにきて、電車に乗って自宅へと帰る時に、僕は泣いた。 今まで父とバイバイしても泣かなかったのに、なぜかその時だけは涙が出た。 特に楽しかったことがあったわけでもない。 その日だけ、いつもと違う何かがあったのか、それを思い出すことは、この先、きっともうない。 人は慣れる。 どんなに痛い思いをしても、辛い思いをしても、今がどうしたってしんどくても、時の流れは止まらない。 忘れようとしなくてもいい、ただ自分の人生を強く生きるイメージを持ち続ける。 不幸は、他の誰かのせいでもないし、自分のせいでもない。 そんな大切なことを沙智に教えてもらったようなそんな気がします。 読み終わった後の、スッキリした感じとモヤっとした感じの残り具合。 これを楽しめるのが小説の醍醐味ですね。

あんこちゃん@anko2025年12月6日読み終わった借りてきた読んでいてめちゃくちゃ辛いことばかりなんだけれど、主人公のスタンスが悲観的過ぎず、かといって笑い一辺倒でもなく、ギリギリのバランスを保って読み進められた。 正解を見せてくれるわけではなく、そもそも正解なんてないってことと、ヤングケアラーの切実さがグサグサ刺さるように入ってきた。









植月 のぞみ@nozomi_uetsuki_r4102025年11月24日積読実はわたし、上村裕香氏がある文芸サークルに所属していた頃に顔を合わせたことがある(オンラインミーティングの場だったが、話を交わすことがなかった)もちろん当時無名。 ある日、NHKラジオ「マイあさ!」の「著者からの手紙」に上村裕香氏が登場し、大手出版社からデビューしたことに衝撃を受けた。 書店へ行き手に取り読んだ。表題作「救われてんじゃねぇよ」は著者がヤングケアラーだった経験をもとに書いた小説だが、ヤングケアラーの深刻より、どこかユーモラスな情景を表現豊かな文体で書いていたのが新鮮で面白かった。 上村氏の活躍、わたしは楽しみにしている。



なつめ@natsu_10212025年11月22日買った読み終わった読書日記特に冒頭の数ページのインパクトが、すごい。 本屋で立ち読みをしただけで、その日の夢に出てきました。 作者の家庭環境をずっと心配しながら、一気に読みました。作者の家庭環境が心配になるのは、小説としていいか悪いかわからないけれど、人の弱々しい部分を生々しく捉える力が、すごい

momoka oba@momoka2025年10月22日読み終わった構成と文章が上手くてするっと読める。内容はとても辛い。わたしだったら親を捨てて自分の人生を生きるだろうから、この主人公は優しすぎるなと思った。

はぐらうり@hagurauri-books2025年10月20日読み終わったR-18文学賞受賞作。3つの連作。タイトルがめちゃめちゃ良い。 ヤングケアラーとして母親の介護をし、父親に幻滅し、どうしたってしんどい。でもこの家族にユーモアがあり、主人公がふとしたことで笑ってしまったりするところに、読んでる側は救われる。と思ったところでこのタイトルが刺さってくる。 家を出て仕事を始めて、ようやく自分の人生を歩もうとしているあたりで少しほっとするものの、これで本当に救われてるんだろうか。まだまだケアラーであることに変わりはなさそう。 しかし文章が上手い。なんだか大物になりそうな予感。





- kumiko@dokushorireki07152025年9月12日読み終わったヤングケアラーの話。読んでて辛い。 でもどうしようもない状況で笑いが出てくるのはわかる。 もう読みたくないけど、読んでよかった。






黒糖まんじゅう@hyo-1232025年8月22日読み終わった一気に読んだ。面白かった。 ところで表紙の少女のイラストはあった方がいいのだろうか。沢山の人が手に取りやすいのだろうか。若者が主役の物語は人物イラストの表紙が多いよね、最近は。







みー@mi_no_novel2025年8月3日読み終わった@ Cafe FUJINUMA Oyama Yuen Harvest Walkずっと読みたかった本! 休日に、お気に入りのカフェのフカフカのソファでゆったりと……読んだけど、内容は全然ゆったりじゃない!🫣 「元・ヤングケアラー」の沙智と、「難病」のお母さん、酒飲みのお父さん。 歪な家庭環境ながら、なんだかんだ言って愛情深く、支え合う家庭。 親って、なんか憎めないよね。どれだけ酷い扱いを受けても、自分を愛してくれている側面が一瞬でも見えてしまったなら、結局何かにつけて縋ってしまう。 そんな「縋っていた」沙智は、就職と同時に上京し親元を離れ、自分で生計を立て、自立する。精神的にも、経済的にも。そこまでの心の変遷が描かれていた。 私にも共感できるところが多かった。実家の、臭くて汚い感じとか、嫌悪感とか。でも、何となくたまに帰りたくなってしまう気持ちとか。






- SATOKO@satoko10572025年7月16日読み終わった借りてきた読書日記いやあ、かき乱された 揺さぶられすぎてしんどかった でも一気に読み切ってしまった 現実味を感じるからこそのやるせなさ 共感できることがほぼ無いのに、引きずり込まれた いや、疲れた そしてすごかった


マイ(カルガモBOOKS)@karugamobooks2025年7月11日読み終わった@ 紀伊國屋書店 笹塚店これは救いのない現実の中の喜劇、なんだろうなあ 浪費を咎められたお父さんが起こしたアクションに、えー!って思わず声が出た これは予想できなかった 彼女しか書けない物語だ 次作はどのような作品になるのだろう



ちゃーりー@charlies_books2025年7月7日読み終わった暴力。ぶん殴られて、抉られた。泣いて、笑った。 読んで良いんだろうか? そしてこの感想は正しいんだろうか? って書いて救われてんじゃねえよ、と思う。


雫@sukinamono2025年6月4日読み終わった今まで読んできたヤングケアラーものとはまったく違う。 なんだろう、なにが違うんだろう。 笑いか。笑いがあるだけでこんなにも泣けて愛おしくなるんだなぁ。 テストで不正して両親と一緒に学校で怒られた後、セブンティーンアイスを食べながら「明日も食べんさい」って200円握りしめてくるシーンが忘れられない。 母が母としていてくれることに紗智だけじゃなくわたしまで心からほっとした。 1人でトイレに行けなくても、年頃の娘が寝ている横でセックスをしても、娘のボーナスを当てにしてても、アイスは食べさせてあげたいし、就職がうまくいってるかは気になるし、高いカメラだって買ってあげちゃう。お金もないくせに。 どうしてもやっぱりダメな親だとは思うし、紗智が心から嫌いになれないのがもはや苦しい気持ちもわかって苦しい苦しい。 だけど、読み終わった後はなんだか爽やかな気持ち。 紗智の選択が強くて大好き。


yt@yt2025年5月17日読み終わったつらい。 貧困と親の介護で修学旅行に行けない子ども。 大人は頼りにならない。 しかし。 思ってたのと違った。 思ってた「救われてんじゃねえよ」じゃなかった。 こんなポジ転、意味わからん。 絶対読んだらびっくりするよ。 表題作と、変な大人に関係なく育っていく子どもの続編が2篇。 芸人文化が基礎教養になっていて良い。 セブンティーンアイスの思い出だけ集めて、岸政彦に本を作ってほしい。









もん@_mom_n2025年5月14日読み終わった心に残る一節@ 図書館文学フリマで上村さんから直接購入した本。 私はヤングケアラーではないけれど、周囲の人たちから「自分だったら耐えられない」と言われる家庭環境で生活しており、家族に不満を持ちながらも心の底から嫌いにはなれず余計に孤独を感じている。 沙智の気持ちがちょっと分かる気がするけれど、でも安易に「分かるよ」とは言いたくなくて、ただひっそりと沙智の幸せを願っている。 p.18 お父さんのこともお母さんのことも、心の底から嫌えたら楽だ。でもわたしは中島みゆきのファイト!を聞いて泣いた一時間後にBL漫画の濡れ場をかじりついて読んだりする。 p.27 いっそ、赤ちゃんならいい。弱いことは希望だ。でもお母さんの弱くなっていく姿に希望を見出すことはできなかった。 p.83 お母さんの介護のことを書くのは、同情してほしいからじゃなかった。ヤングケアラーって下駄を履きたいからでもない。あの瞬間に見た光を、笑いを、形にしたかったからだ。

- 村崎@mrskntk2025年5月4日読み終わった難病を抱える母、金遣いが荒くだらしない父、「ヤングケアラー」の沙智。 表層だけを見ると、不幸や同情、つらい、心配、そんな言葉がつい過ってしまうけれど、そんな言葉を口にした瞬間、たぶん「殺傷能力の高い文章」に刺されてしまうんでしょう。 沙智の環境は重く受け止められがちで、いや社会全体で重く受け止めることなんだけど、でも彼女を取り巻く一つひとつ、すべてが不幸なわけじゃない(当然だけど)。くだらなくて、おもしろくて笑うというのは、どんな状況でいても等しい行為だと思う。 表題作「救われてんじゃねえよ」「泣いてんじゃねえよ」「縋ってんじゃねえよ」どれも画面を通して見る、見せる/見られるという構図があり、この「見る」という行動が沙智の成長によって少しずつ視点が変わっていく構成がとてもいいなと思った。立場が変化して、受け取る言葉や自分自身に対しても沙智が見ることができているのかなと思った。 そして読み手は傍観よりももっと近しいところで「見る」ことができる気がする。 突き刺してくる作品なのは間違いないのだけど、ただ尖っているだけじゃなくて、ふっとやわらかい部分もある。 家族の駄目な部分も好きだった部分も忘れていく部分も、内向的ではなくぜんぶ外に向かっているから、きっとこの作品にはパワーがあるのだと思った。 読み終わってから自分自身にも返ってくると思う、「救われてんじゃねえよ」。この作品が読まれることでもまた、変化していくものがあると思います。











































































