

万願寺
@manganji_
読んだ本について書いていきたいです。人文の一般書が多めかもです。
- 2025年11月26日
クリスマス・イヴの聖徳太子瀬戸夏子読み終わったこれもまた買ってから時間をかけて読んでしまったが!瀬戸夏子さん!好きだ!と思っている人はもう全員読んでいるだろうからとくにここに書くことがない気がする。瀬戸夏子さんは歌人で、頭の中に物凄い、すざまじい数の本とか歌とかが入っていて、文章がとてつもなくおもしろく、端的にいうと私は瀬戸夏子さんのファンである。はつなつみずうみ分光器でその存在を知り、この人の知らない短歌ってこの世にあるのだろうか、と思った。歌集も好きだが諳んじられるほどではないのが悔しい(私の頭の悪さのせいである)。塚本邦雄、穂村弘、瀬戸夏子という見えない線でむすばれた星座がさいごに明かされ、批評の3冊を教えてもらったのがかなり嬉しかった。これからも私淑します。 - 2025年11月21日
東京都同情塔九段理江読み終わった2024年1月に買った本だから、約2年かけて読み終わったことになる。読み心地の良い本で、今日は2年前に読んだと思われる前半は読まずに後半だけ読んだが、面白かった。言葉とはなにかというものを真摯に、しかして回りくどくぐねぐねくるくると螺旋階段を下に下っていくような感覚で捉えようとしているようなイメージ。AIの文章の挿入があるのだが、その部分は圧倒的に読む気が起きない。九段理江の文章が面白すぎて。中心人物2人も魅力的で、なんというか、これ以上になく東京のしかもおしゃれなほうの東京の話だなあと思う。いい匂い(価格の高い匂い)がする、中心人物2人から。しゃらしゃらしてて面白い文。私の頭が良くないため、特に何かを得たとかはなかったが、面白い文なのであと何回か読みたい。こういう小説を批評的に読むと一体どうなるんだろう。そういう勉強もしてみたい。 - 2025年11月18日
母性のディストピア 2宇野常寛読み終わった『庭の話』でその著作を初めてきちんと読んだ宇野常寛さんの、戦後論、戦後アニメーション論。最終章の理解がたいへん難しかったが、最後の宇野さんの決意や富野由悠季監督とのインタビュウ、またこれからの展望(『遅いインターネット』計画に続く)を読み終えて、ひじょうに明るい清々しい気持ちになった。なっている場合ではなく現実はさらにヒートアップし、インターネットはさらにしょうもなくなり、宇野さんは今も闘っているのだが、このネットワーク社会を生きる上で考える道筋のようなものをもらえた本だった。愚直に、正攻法で、現実をよくしていくしかないのだと、そう思わされた。 - 2025年11月17日
きみを嫌いな奴はクズだよ木下龍也読み終わった2016年に出た本を、2025年の今読み終えました。若者の短歌ブームのおそらく立役者というか火付け役となった著者の(違ったらすみません)、有名な歌集。前半はユーモラスな歌が続くなと思ったけれど(こんなのどうやって思いつくのだろうという発想の妙が多い)、中盤から徐々に著者の切実な思いが溢れてくる。どの歌が良かったとかはとくにないが、とにかく最近の現代短歌のあらゆる種類全部盛りという感じで、この人はたしかに流行るな、と思った。なんというか、情から景から網羅している。ユーモラスから悲観まで、生の静かなよろこびもあれば、死に近づく危険な歌もたくさんある。そして、こんなにも57577って守らなくてもいいんだ、と驚いた。リズムが全然57577じゃないものが半分以上あって、ええ〜!?これ短歌でいいのかよ!と驚いた。短歌というより一行詩のようだった、というのも多い。どちらにせよ、あとがきは完全に現代詩のようになっているし、木下さんは詩人だな、と感じた。 - 2025年11月16日
友達じゃないかもしれないひらりさ,上坂あゆ美読み終わった上坂さんの豪速球を、打ち返すとかじゃなくて、今のは時速156km!みたいにひらりささんが観測したり手を叩いて喜んだりしているような印象。ひらりささんには前から人間としてかなり揺らいでいて、とくに人間関係でクラッシュを繰り返す人だな…と感じていた。それに対して上坂さんは、人間関係も落ち着いていて、でかいテーマを持ってどん!と生きているルフィみたいな人という印象。上坂さんが思わずひらりささんへの加害性を心配してしまうのもわかる気がした。しかしひらりささんはしなやかでしたたかなロボットなので、上坂さんの心配するようなことはなく、気ままに生きる猫のようだと思った。最終的に、この2人、どこまで行っても平行線だろうから、逆に相性いいんだな、と思った。出会ってから5年という歳月で2人とも変化しながら付き合いを続けているというのもいいと思った。友情の「中身」ってなかなか他人のそれを覗けないけど、こういうあり方があるんだな、と普段けして見せて貰えない部分を晒してもらった感じで、「友情」をわざわざ全ベットした真剣勝負の往復書簡って、初めて見たな、と思った。これは本当に取っ組み合いだな…、よくここまで危機を恐れずに友情を俎上に乗せてくださったな、という感じだった。おそろしい本だったが、心温まった。 - 2025年11月6日
読み終わった東畑さんの非常にわかりやすい書き口で、この分厚い本も一気に読めてしまった。そのためには、この裏にどれだけの慎重さと緻密さと努力があるのかと思うと目眩がした。作戦会議としてのカウンセリングと、冒険としてのカウンセリング、そしてカウンセリングの「終わり」、古い物語を終わること、現在カウンセリングを受けている自分としてはさまざまに思い当たるところがあった。カウンセリングについてここまで一般向けにまとまって書かれた本、かつ、臨床心理学を見渡そうとした本は過去にも中々ないように思われる。帯に今後30年読み継がれる本にしたいとあったが、たしかにそのくらい寿命を持つかもしれない。これだけ臨床もして研究会もして執筆もして、東畑さんてどれだけ体力あるんだ…と思った。 - 2025年11月6日
- 2025年8月26日
- 2025年8月1日
ラーメンと瞑想宇野常寛読み終わった宇野さんの新刊!そしてT氏との友情の軌跡!最終章ではかなり胸が熱くなってしまった。ラーメンと瞑想の世界で修行を終えた2人は立ち上がり、次のステージへと歩き出す…そしてそれがまさに今日開店の宇野書店であったり、宇野さんのさまざまな「庭」の実践なんだと思うと、かなりアツい…!! - 2025年8月1日
ドキュメンタリー詩誌 詩あ 01マーサ・ナカムラ,山﨑修平,山崎修平,杉本真維子,松下育男,石松佳読み終わったドキュメンタリー詩誌「詩あ」創刊号。今回は「詩の教室」についての特集!今の私にはまだ教室に通うほどの体力はないけれど、まずはさまざまな詩人の詩集を読みたいと思った。特集も連載エッセイもすべてが「詩」の世界で、嬉しくなってしまった。寄稿詩はまだ1回しか読んでいないので、再読してそれぞれの詩の感想を書き留めたいと思う。詩集の編集についての対談も勉強になった。現代詩の最前線を知りたいけど何から読めばいいのか分からない、という方はぜひ「詩あ」から!おすすめです。 - 2025年7月11日
実力も運のうち 能力主義は正義か?マイケル・サンデル,鬼澤忍読み終わった読了しました!こんな分厚い本を!こんな体調の中!というだけで自分に拍手です。文章はよみづらかったものの、言っていることはわかりやすかったので、私のような無学なものにもすらすらと読めた印象です。もともとアメリカ史やアメリカ思想論(というものがもしあれば)が好きなので、かなり充足しました。アメリカの両党派の動きとヨーロッパの動きをつねに並列してくれるくらいの勢いなので、とても親切だと思いました。マイケル・サンデルはどこまで何を把握しているんだ、というくらい広範な知識が歴史的に参照されて、わくわくしました。労働に対する尊厳が失われている問題は、日本でもまさにそうで、賃金の低い仕事は価値も低いと考えられがちだが全くそうではないということを改めて思いました。アメリカン・ドリームの元となった光景、どんな人も、自由に己のために本を閲覧することができる図書館。そして一人一人が民主主義の実現のために、市民同士で熟議できる環境、それは今の日本にとっても理想のひとつと言えるなあと思いました。 - 2025年7月1日
実力も運のうち 能力主義は正義か?マイケル・サンデル,鬼澤忍読んでるまだ読んでる2025年の7月にまだ読んでるの!?と言われること請け合いのマイケル・サンデルだが5章まで来た。同じことだが微妙に違うことを何度も重ねて言う、みたいな語り口にやや疲れる(だからこんなに分厚いんだ!)し、文章がうまくないので読みづらいのだが、アメリカにとってのキリスト教予定説由来の能力主義の歴史を今のところ辿っていて面白い。アメリカ史やアメリカの価値観を知りたい人におすすめです。「そうか、アメリカって戦争で負けたことがないんだ(純朴だ)」ということを今更思い至ったりした。 - 2025年3月31日
こうしてあなたたちは時間戦争に負けるアマル・エル=モフタール,マックス・グラッドストーン,山田和子,川名潤読み終わった2021年の新刊の時に買って、やっと、4年かけて読み終わった。この4年、私は小説を、本を読むことがほとんどできなかったように思う。この本を読んだ友人からまだ読み終わらないのかと言われつつも、読みさしていた。小説を書き始めたこの数日間でいきなり今日手に取って途中から読み始め、読み終わったたのは、答えだと思う。友人の回復を願って。 - 2025年3月20日
ここはすべての夜明けまえ間宮改衣かつて読んだ@ 三省堂書店泣いても泣いても仕方がなく、自分のきずぐすりになる本というのがあると思う。私にとってはこの「家族の小説」は自分の根幹を揺さぶられてしまい、何十年もしてからも、手当してくれるような本だった。最後の主人公の決断も、新しい、地平をどこまでも進むような、そんな解を自分に与えてくれた。得がたい小説だった。 - 2025年3月20日
安全に狂う方法赤坂真理読んでるまだ読んでる赤坂真理さんの壮絶にして誠実な、アディクション(固着、固執)への寄り添いの本。娘と母という文脈はここでも出てくる。まだ中盤だが、すでに1冊読んだくらいの質量感がある。シリーズケアをひらくは、どこまでも実践的で、ケアのための本を出し続けていて心から感嘆する。 - 2025年3月20日
- 2025年3月10日
- 2025年3月10日
- 2025年3月9日
- 2025年3月9日
読み込み中...
![SFマガジン 2025年 04 月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/41yU9MFLVeL._SL500_.jpg)

