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Miyuki
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@miyuki_i
海外文学が好きです
  • 2026年11月1日
    遠きにありて、ウルは遅れるだろう
  • 2026年10月30日
    10:04(白水Uブックス266)
    10:04(白水Uブックス266)
    一度読み終えたのに、あまり内容が理解できていない気がしたので、最初に戻ってふたたび読んだ すると不思議なことに、文章のひとつひとつが素晴らしくて、心が喜びに打ち震えた 一度目と同じものを読んだのに、なぜ最初は気づかなかったんだろう 私はこの人の文章がすべて好きだ プロットらしいプロットはなくて、繰り返される日常的な内省と、目から見える景色の変化……だから最初は何の話なのかついていけなかった だけど、ふたたび読むと、そのなんてことのない風景を描くのがなんて巧みなんだと驚かされた 嵐(ハリケーン)の上陸が予想された日に、街中が興奮に浮き足立ち、共通の話題に見知らぬ人同士親しみを感じる様子、ガラガラのスーパーで手に取ったいつものインスタントコーヒーが急に奇跡的に手元に届いたように見えること、電気を消して嵐に備えながら暗い部屋で観る『バック・トゥ・ザ・ヒューチャー』、隣で眠る親友が映画の光に照らされいつもよりも近くに感じること……結局嵐が上陸せずに過ぎ去ると、感じていた親しみや特別感が遡ってなかったことになったように感じる どうしたら日常をこんな風に描けるんだろうと胸が締めつけられた このように「起こったけど起こらなかった出来事」が繰り返されるモチーフとして、いくつも散りばめられている 発見されたけど、間違いだった恐竜 惑星だったのにそこから外された冥王星 勇気を出して言ったのに電話が切れていて届かなかった言葉 父の血が流れていると思っていたのに継父とわかった娘 半麻酔にすると麻酔をかけたことさえ忘れてしまう歯の治療 また過ぎ去った嵐…… 主人公は作者のベン・ラーナー本人と重なるし、主人公が書いている短編の中の主人公も重なるので、何が現実で何が虚構なのかも曖昧になっていく 自分の体の中で大動脈解離の可能性が芽生えると、主人公が街を歩くときも地下鉄の振動を感じたり、街の脆くなっているところにも気づくようになる 自分や家族の身に起こったこと、過去に観た映画、芸術作品、そんな積み重ねで人間はできていて、見える景色が変わるんだと、遊歩(フラヌール)する物語の中で腑に落ちる 私がこの小説を二回読んで、大好きになったのも、起こったけど起こらなかった出来事なのかもしれない……とふと考えてしまった 作者のベン・ラーナーは詩人らしい だからなのか、言葉がきらめいて感じる だからといってわざとらしさもなく、ユーモアもあり、主人公も情けないエピソードが満載で人間らしい これを日本語で届けてくれた翻訳者の木原善彦さんも素晴らしいですね 最後に、もうひとつ好きだった描写 p.173 『マンハッタンブリッジを渡るときはいつも、ブルックリンブリッジを渡る自分の姿が頭に思い浮かんだ』 『三人称で橋を渡ったという間違った記憶がーー生まれ始めていた』 これを読んで、描写の素晴らしさに、またぐっときてしまった
  • 2026年10月29日
    アガサ・クリスティを訪ねる旅
    アガサ・クリスティが暮らした町や、作品の舞台にした町を巡る クリスティの生きた跡を辿り、作品の描写と照らし合わせ、当時の面影を探る……クリスティファンとしてはなんとも羨ましい理想の旅! 著者のあとがきによると、カズオ・イシグロの研究が先で、そこからクリスティに行き着いたとのこと 『日の名残り』にも登場しそうな風景を想像することもできた
  • 2026年10月16日
    文学少女対数学少女
    文学少女対数学少女
  • 2026年10月16日
    文学少女対数学少女
    文学少女対数学少女
    エラリー・クイーンの関連本を読んで、この本が『後期クイーン的問題」を扱っていると聞いて、ハヤカワまつりで購入したまま積んでいたのを思い出し読んでみた 推理小説好きの少女が書いたミステリーを数学の天才少女に読ませるところから、推理の無矛盾性などを談義する連作短編集 ふたりの関係も微笑ましく、どれだけの推理が成り立つか、ミステリーにどんな穴があるのか、面白く読めたんだけど、私に数学が理解できないために陸秋槎さんの意図した半分しか伝わっていないんじゃないかと不甲斐なく思ったのでした……
  • 2026年10月11日
    コンパートメントNo.6
    コンパートメントNo.6
    シベリア鉄道で大陸横断旅の道中、同室(コンパートメントNo.6)になるフィンランドの考古学研究をしている女子大生と、ロシアの労働者の中年男。ずっと酒に酔い、下卑た話をし続ける男と、ほとんど口をきかない少女。こんなおじさんと同室でふたりきりだなんて、身の危険を感じるわ、と少女のお母さん目線で心配してしまった…… 少女は男に嫌気がさしつつ、自分の人生や愛する人に思いを馳せる 時代背景の知識も薄く、あまり感情移入できなかったけれど、風景描写の文章は美しく、最後には旅による混沌のなかで内省がなされる様がうまく描かれていたんだなとじんわり感じた
  • 2026年10月11日
    劇場という名の星座
    帝国劇場を愛する観客や、案内係などの裏方を描いた連作短編集 どれもいい話だったけど、小川洋子さんらしさが薄かったかな 死の香りが漂う幻想的で静かな美しい雰囲気が小川洋子さんの魅力だと思うのだけど、この作品は作者を聞かずに読んだら小川洋子さんのものとわからなかったかも知れない 加納朋子さんの作品のようなほのぼのと心温まる感じ きっと小川洋子さん自身が演劇が大好きで、取材をしっかりして書いたのかな その分「現実」を描いた感じがして、小川洋子さんの世界に浸れなかった
  • 2026年10月7日
    異邦人 (エクス・リブリス)
    異邦人 (エクス・リブリス)
    語り手(著者が自伝的に書いている)の人生が脈略なく断片的に語られ、気づけば、場所、言語、身体、貧しさ、様々な点で異邦人となっている。聾者の両親の存在が彼女の思考に大きく影響し、さらに読者は「何がふつうか」「どれが真実なのか」もわからなくなっていく。 訳者あとがきが親切だった。 翻訳家でもある著者の「翻訳とは、詩的な過ちをめぐる物語でもある」という文章や、「私たちが生きているのは、形式、正当性、言葉の正確さ、意味の完全な一致に誰もが囚われている時代です」……「彼女(誤訳だらけのビヴァーノ)の翻訳には、テキストにたいするひどく美しい親密さがあった」という言葉が印象的。 過ちを美しいと捉え、正解のわからないまま読むことを許されている気がする。翻訳も素晴らしかった
  • 2026年10月4日
    邪悪の家
    邪悪の家
    久しぶりの再読 エラリー・クイーンの『災厄の家』を読んだら、読み返したくなった どこか禍々しい雰囲気の家、その家の主人である女性が命を狙われているらしいということが共通する まだ起こらぬ事件を調査するという設定がもう引き込まれる 多くの登場人物に裏があって、それぞれ怪しいけど、決定的な動機がない、と思ったら……見事などんでん返し いやあ、さすがクリスティ ヘイスティングズが登場すると、ポアロとの軽口の応酬でほんわか味が増しますね さすがに訳が古いかなと思ったら2011年に新訳が出ているのか、そちらでぜひ読みたい
  • 2026年9月30日
    エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年
    エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年
    エラリー・クイーンの作者フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーが創作について議論を戦わせた往復書簡 『十日間の不思議』と『九尾の猫』を生み出す背景で、ふたりの間でどんな揉め事があったのかがわかり、裏側を覗き見ることができて興味深かった プロット担当のダネイと、小説化担当のリーはお互いに譲れないことを主張し合って、どうやって折り合いをつけたのだろうと思うほどに相手への非難が止まない お互いが嫌いなんじゃと思うほどの激しい言い合いに、読んでいるこちらも胃が痛くなりそうだった チームで創作することの大変さが垣間見えるとともに、当時手紙でやり合っていたという事実にも驚かされた そんなに苦労して完成させた作品が見事に名作になったことが感慨深い
  • 2026年9月26日
    荒涼館(4)
    荒涼館(4)
    ようやく読み終わった 色々な人物が登場し、最後まであまり成長するということがないのだけれど、善い人は天使のようにとことん善い人で、他の人のことばかり考えているのだった とにかく描写が必要以上に長くて読みにくいと感じたことも多かったけれど、しつこいくらいに繰り返される人物描写はユーモラスであり、思わず笑ってしまうことも多かった アガサ・クリスティがディケンズ作品の中で一番好きと言われているだけあり、ミステリー要素の絡んだ作品で、出生の秘密や、謎の死が物語の大きな要素になっていたけれど、貧困や階級社会、複雑すぎる裁判などの社会問題も描かれれ、最後は愛の物語だった 3巻で裏のあらすじを先に読んで盛大にネタバレをくらったので、4巻では本編を読了してから裏を確認した やっぱり盛大にネタバレしていた あらすじには気をつけてほしい
  • 2026年9月21日
    ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)
    再読 排他的な田舎の村で起きる殺人事件 容疑をかけられたのは「よそ者」の男 集団的な差別が「正義」の名のもとにどうやって生まれるのか、見た目が違う言語が違う、それだけでいかに目が曇ってしまうのか、ひとたびある考えにとらわれると理性的な話し合いがいかに難しいかを考えさせられる 戦後を舞台にした物語だけれど、まるでいまの世の中を写しているよう ミステリだけど、感動してしまう作品
  • 2026年9月21日
    ダブル・ダブル〔新訳版〕
    ダブル・ダブル〔新訳版〕
    再読 マザーグースの童謡に見立た殺人 エラリイが過去の失敗を反省して、常に「ダブル」で表と裏の推理をして、自分を過信しすぎないようにしているのが面白い こんなに次々殺されるまで犯人わかんないのかいって思わずつっこんでしまうけど(私でさえ途中でわかる)、「どうして見立てる必要があったのか」がうまいなぁ 野生児みたいなのに、教養のあるヒロイン、リーマに振り回されるエラリイも楽しめる ライツヴィルの「その後」が見られるのも楽しい
  • 2026年9月19日
    十日間の不思議〔新訳版〕
    十日間の不思議〔新訳版〕
    再読 エラリイの挫折のきっかけとなる、後期クイーン的問題が有名な作品 聖書の概念のとっつきにくさ、これはフェアなの……? とぎりぎりのところはあるけれど、やっぱりストーリーの面白さと、犯人のこしゃくさがズバ抜けている
  • 2026年9月17日
    フォックス家の殺人〔新訳版〕
    フォックス家の殺人〔新訳版〕
    再読 大好きなアガサ・クリスティの『五匹の子豚』を彷彿とさせる12年前に解決した事件をエラリイが捜査しなおす物語 最後のエラリイの判断も、ポワロっぽい ライツヴィルシリーズ、やっぱり好き
  • 2026年9月12日
    災厄の町〔新訳版〕
    災厄の町〔新訳版〕
    大好きな作品で読むのは4回目くらい 昔、エラリー・クイーンを途中で挫折したことがあったのだけど、このライツヴィルシリーズで好きになった クリスティ好きの私は、パズル重視のミステリよりストーリー重視のミステリが好みらしい この作品は事件が起きるまでのストーリーがしっかり描かれていてバランスがよく、クリスティ作品を思わせる 訳者のあとがきと飯城さんの解説が魅力的で翻訳についても勉強になった
  • 2026年9月9日
    荒涼館(3)
    荒涼館(3)
    病気になったエスタがどうなったのか エスタの出生の秘密と、それにまつわる不穏な動き エスタとジャーンディスとアランの関係は…… 物語が動き出す
  • 2026年9月1日
    荒涼館(2)
    荒涼館(2)
    1巻で話がなかなか見えず、読み進めるのがつらくなったけど、「最初はつまらないけど、その後がものすごく面白い」と知人に言われたので、改めて登場人物を整理してから2巻を読んだら、ようやく話が入ってきた 様々な人物が登場するので、自分や知り合いに重ねられる人がいそう 国も時代も違うのに、「こういう人いるよね」という普遍的な人間性を描けるのはディケンズのすごいところ(だいぶデフォルメされて癖が強いけど……) 自分はキャディと母親(慈善活動家でアフリカのことで頭がいっぱい)の関係に、自分を重ね合わせて、胸が苦しくなった 毒親と言ってしまうのは簡単だけど、母親も善意で行動していて、自分が正しいと信じているんだろうなと思うと、わかり合えないのが悲しい そしてエスタがどうなってしまうの〜
  • 2026年8月28日
    溺れる少女
    溺れる少女
    精神病を患うインプによる回顧録 嘘をついたり、記憶が曖昧だったりする上に、薬を飲んでいない時に書いた記録は混迷を極め、乱れた筆で読者をその精神世界に取り込んでいく 亡霊はミームで、亡霊を描いた芸術作品を鑑賞した者がまた亡霊に取り憑かれてしまうというように、この作品を読んだ者もまたこの作品のことで頭がいっぱいになってしまうような感覚に陥る 訳者の鯨井さんによるあとがきも詳しく面白かった インプを憑依させて訳したのがよくわかる脱帽の訳だった
  • 2026年8月18日
    溺れる少女
    溺れる少女
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