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翠
@noctambulist
  • 2026年4月24日
    蛇行する川のほとり
    死者を心に住まわせて生きることの、果てしなく、あまやかな痛み。神殿を築くように少女時代をえがく作品は、徐々に嗜好に合わなくなってきているのだけれど、大人になってから読んで良かったと思う。羨みも苛立ちもせずに、物語だけを追えるから。
  • 2026年4月20日
    ののはな通信
    ののはな通信
    野々原茜と牧田はな、横浜のミッションスクールで出会ったふたりの二十七年にもわたる交流が、往復書簡の形式で綴られる。熱情を抱くにも曝けだすにも強さが必要で、それを得難いものだと思うが、恋愛を友情より高く位置づける考えには首を傾げてしまう。
  • 2026年4月16日
    昏き目の暗殺者 下
    昏き目の暗殺者 下
    駆り立てられるように頁を繰った。アイリスが書いた、或いは書かなかったことは、刃となって彼女自身をも苛んだ。それでも、書き残すという行為にはかすかな希望が込められている。言葉のあらゆる性質、その恐ろしさと美しさに、あらためて心を揺さぶられた。
  • 2026年4月12日
    昏き目の暗殺者 上
    昏き目の暗殺者 上
    老女アイリスが回想する、釦工業で財を成した名家の繁栄と衰退の歴史。墜死した妹ローラが遺した小説のなかで語られる、惑星ザイクロンの物語。あまたの謎に取り巻かれてはいるものの、どちらも“舌を抜かれた女”の話として読める。胸騒ぎを覚えながら下巻へ。
  • 2026年4月8日
    湖畔荘 下
    湖畔荘 下
    出来過ぎた結末だとしても、この充足感はなにものにも代えがたい。コインシデンスもそう悪くはないと思う。『リヴァトン館』や『忘れられた花園』で感じた、滔々と流れる時間に対する畏怖と寂寥に、今はあたたかな感慨が加わって、心の奥底を満たしている。
  • 2026年4月4日
    湖畔荘 上
    湖畔荘 上
    嬰児の消失と母親の失踪。過去と現在のふたつの事件がたがいに呼びあい、行きつ戻りつしながら、ゆっくりと核心に近づいてゆく。早熟で気取っていて思い込みが激しいアリスを好ましく感じるのはなぜだろう。物語への陶酔じみた傾倒に、覚えがあるからか。
  • 2026年3月22日
    わたしを離さないで
    わたしを離さないで
    残酷な運命を前にしてもなお、希望を抱かずにはいられない。人間はそうした美しく哀しい性質をもつからこそ、数々のかけがえのない瞬間を生きられる。記憶が人生の意味に成り得るのか、答えはでないが、少なくともそれはキャシーたちの生を証明するだろう。
  • 2026年3月17日
    鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)
    鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)
    愛嬌のあるベス、邪悪なベッツィ、がめついベティ。エリザベスの別人格たちが相争うさまが、毒気たっぷりにえがかれる。解離性同一性障害について多少の知識を得ていながら楽しく読めてしまい、ばつの悪い思いをした。ジャクスンの物語にはとても敵わない。
  • 2026年3月14日
    白夜/おかしな人間の夢
    白夜/おかしな人間の夢
    孤独な夢想家のはかない恋物語のほか、宗教観がつよく表れた思索的な作品なども興味深く読んだ。私は信仰をもたないけれど、理想はことのほか重んじているので、“他者を己のごとく愛す”という不可能事を、それでも目標として掲げる思想には感じるところがある。
  • 2026年3月11日
    ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)
    若さと美しさへの執着が、時間への拒絶、生からの逃避だとすれば、ドリアンが成長できないのは必然だろう。しかしその呪いが今なお私たちを蝕んでいることを思うと、口を閉ざすほかない。悪徳に染まった後の方が却って生を謳歌しているように映るのも哀しい。
  • 2026年3月6日
    天使の蝶
    天使の蝶
    化学者でもあったというレーヴィの知識と想像力が混淆し、奇怪でアイロニカルな物語がかたちを成してゆく。架空の発明品にまつわる騒動をえがいた一連の作品など、なんともユーモラスなのだけれど、気味が悪いほど予言的なので、心からは笑えなかった。
  • 2026年3月3日
    リデルハウスの子どもたち
    金色の草原の果てに佇む、白亜の寄宿舎。ラヴと呼ばれる特別な生徒たちと、彼らに与えられるギフト。幼い時分に読み耽ったピアスやバーネットの著作が、時を経てこの愛らしい物語の扉をひらく鍵になってくれた気がして、あまやかなノスタルジーに満たされた。
  • 2026年2月28日
    いずれすべては海の中に
    いずれすべては海の中に
    大胆な発想に目を奪われ、一心に頁を捲るうちに、ごく個人的でひそやかな物語であることに気がつく。奇想はあくまでも舞台装置。避けて通ることのできない“喪失”について語り、悲哀も含めて、人間とその営みを愛おしむ。これはきっと、そういう作品なのだ。
  • 2026年2月23日
    わたしに無害なひと
    わたしに無害なひと
    読書とは、他者の傷をたどってゆくこと。時には自身の痛みを呼び覚ますことでもある。この七篇ともまさにそうした時間を過ごしたが、苦しいばかりではなかった。誰かを懐かしく思うときに感じる、光とも風ともつかない、やわらかな波のような短篇集だと思う。
  • 2026年2月20日
    唾がたまる
    唾がたまる
    不安と焦燥と疲労がくろぐろと滲みでたエピソードにも、どこか可笑しみがある。そのせいで却って泣けてくることもあるけれど、後味は悪くない。その時々で泣いたり笑ったりしながら生きてきた、という淡々とした実感、ささやかな自負を感じるからだろうか。
  • 2026年2月17日
    逃げ道
    逃げ道
    主役となるのは何かから逃げている人物で、他者とのすれちがいに由来する孤独感というテーマもあるようだが、妙に捉えどころがない。「ネズミ捕り」三部作の他は、味わい方さえ分からずただ呑みくだしてしまった。時間をおいて再読すべきかどうか迷っている。
  • 2026年2月14日
    惑星語書店
    惑星語書店
    翻訳モジュールでは解読できない本だけを販売している書店でのひと幕と、カメラで撮影できないスタースモッグを記録しようと筆を執った人々の姿を、心に焼きつけた。学ぶことと描くことの意義を、何度も自分に問うてきた私にとって、贈りもののような作品だ。
  • 2026年2月11日
    派遣者たち
    派遣者たち
    個人の個人たる所以とはなにか。自我とはどこまで独立したものなのか。人間そのものへの探究心からうまれる物語は、いつまでも色褪せないと、つくづく思う。他者とともに生きることの難しさを痛感させられる今だからこそ、探りあてるべき言葉がある、とも。
  • 2026年2月6日
    シュレーディンガーの少女
    様々なディストピアを生き抜く、女たちの短篇集。いずれもライトでポップな調子で書かれているため、少々切実さに欠けるきらいがあるものの、数学や量子力学といった難解な分野を身近に感じさせ、自然と向学心を高めてくれるような、魅力に溢れた作品だった。
  • 2026年2月3日
    少女七竈と七人の可愛そうな大人
    台詞が醸しだすとぼけた雰囲気のせいで、どこまで真剣に捉えるべきか迷ったけれど、振り返ってみると生傷のような物語だと思う。異質であること、平凡であること、少女であること、少女でなくなることに、苦しまなくてもすむ世界をいつか見られるだろうか。
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