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翠
@noctambulist
  • 2026年1月18日
    極北
    極北
    生きるうえでの指針。それを失わずにいることは、存外に難しいのではないか。コンパスが用を成さない極北の地、終末へ向かう世界の涯にあっても、信念をつらぬけるだろうか。なぜ生きるのか、どう生きるべきかと問うてくる強靭な物語にすこし怯んでしまった。
  • 2026年1月9日
    ゴーストダンス
    ゴーストダンス
    苛政のために滅びに瀕した北の地を救うべく、シンジビスは皇帝のもとへと急ぐ。移ろいゆく世界を、ただ見つめているわけにはいかない。とはいえ、正義を為すために安易な方法を取ってしまう、未熟な魔法使いの旅路を追うのは苦しく、複雑な気分にさせられた。
  • 2026年1月6日
    ゴーストソング
    ゴーストソング
    猟師の親子や遊牧民たちを過酷な運命に追いやったクズマも、或る意味では不幸の渦のなかにいる。後日譚にあたる『ゴーストドラム』でも、奸智に長けた残忍な魔法使いとして登場した彼だが、今や力をふるうことしかできない、哀しい存在であるように思える。
  • 2026年1月3日
    ゴーストドラム
    ゴーストドラム
    金の鎖につながれた猫が語る、氷雪に閉ざされた皇国の物語。東欧の民話の要素がふんだんに採り入れられているけれど、遥かに血腥いうえに、冷然と読み手を裏切ることも屡々。心を癒やしも惑わせもする言葉の魔法は、この冷たいおとぎ話にも確かに宿っている。
  • 2025年12月29日
    ヒカリ文集
    ヒカリ文集
    奉仕に近しい恋をかさねてきたヒカリは、結局のところ、何者だったのか。答えが明かされないために、魅惑的な作品になっていると思う。〈宿命の女〉という単純なイメージに閉じ込められることのない、ひとりの〈人間〉の姿が、紗幕の向こうに見えた気がする。
  • 2025年12月25日
    献灯使
    献灯使
    多和田葉子の作品において、言葉はツールではないのだろう。物語に従属するどころか、物語を乗っ取ろうと隙を窺っているようですらある。生物でも観察しているようで面白くはあるのだが、個人的には、物語そのものに没入できる小説が読みたいと思ってしまう。
  • 2025年12月17日
    オートコレクト
    オートコレクト
    まさにフラッシュフィクションと呼ばれるにふさわしい、短い短い物語たち。奇抜な発想がいきいきと色づく、皮肉の効いた作品が目立つなかで、宇宙人が滅びかけた地球を見物しにくる「ガイドツアー」の、淋しさと温もりが手を取り合うような結末がこころよい。
  • 2025年12月13日
    この世界からは出ていくけれど
    この世界からは出ていくけれど
    他者はどこまでも他者である、という認識のもとに書かれた作品には、信頼がおける。悲観を含まないものであれば、尚更。ダンヒとジョアンでなくても、私たちはおなじ世界を生きられはしないけれど、理解ではなく親愛をもって、相手に応えることができるのだ。
  • 2025年12月9日
    光っていません
    光っていません
    社会や人生に疲弊した人々を主役に、強張った心がやわらかさを取り戻してゆく過程を真摯に綴った八篇。自分の分身を名乗る幽霊が現れる「幽霊の心で」と、人間を海月に変異させる海月が大量に発生した世界をえがいた表題作が、わすれがたく胸に沁み入った。
  • 2025年12月5日
    ほんのささやかなこと
    ほんのささやかなこと
    清廉であろうと思いさだめても、決意と実践のあいだには隔たりがある。保身に走る人々を責めたところで、高潔にはなれない。善きひとになる、その難しさをひしひしと感じる夜に、ささやかながら確かな変化を捉えたこの物語に出会えたことが、ただ嬉しい。
  • 2025年12月1日
    理由のない場所
    理由のない場所
    時制を超越した世界で為される、鋭利な対話。それは実際の会話ではなく、息子を喪った母親の、内的な体験だ。精神の苦闘に対して感想を述べるのは憚られるけれど、私にとっても書くことは抗うことで、癒すことでもある。その力を信じるほかないと、強く思う。
  • 2025年11月29日
    マーダー・ミステリ・ブッククラブ
    マーダー・ミステリ・ブッククラブ
    アリシアとリネットを始めとする読書会のメンバーには、強烈な個性が与えられており、良くも悪くも“キャラクター”といったふう。やたらと騒がしく俗っぽい人物ばかりなので、ほとほと疲れ果ててしまった。意図的な戯画化だとしても好きになれない作風だ。
  • 2025年11月25日
    スリー・カード・マーダー
    スリー・カード・マーダー
    刑事のテスと詐欺師のセアラ、とある事件のために袂を分かった姉妹が、ふたたびタッグを組んで密室殺人の謎に挑む。信頼と疑惑が入り混じった複雑な心境にいたく惹きつけられたぶん、続編ありきの中途半端なミステリ、といった仕上がりになっているのが残念。
  • 2025年11月21日
    ゴッホの犬と耳とひまわり
    事の始まりは、厖大な書き込みとゴッホの署名があるフランス製の家計簿。数多の蘊蓄がどこまでも枝葉を伸ばすので、幾度となく話の筋を見失いかけたが、ペダンティックな会話こそが本書の魅力。堪能するためにはもっと腰を据えて読むべきだったかもしれない。
  • 2025年11月17日
    リボルバー
    リボルバー
    ゴッホという画家を、物語として消費してきた自覚があるだけに、読み進めるには勇気を要した。しかし不遇の人生にも幸福はあったのだと信じる冴のまっすぐな思いにふれて、心がほぐれた気がする。勝手な感傷に過ぎないとしても、今はそれを祈りと呼びたい。
  • 2025年11月13日
    モンテ・フェルモの丘の家
    モンテ・フェルモの丘の家
    度々取り交わされる手紙は、ながい溜息のよう。かつてはそれぞれが奔放に自由を謳歌していたからこそ、もう戻らない日々への郷愁が滲んだ文面をいっそう哀切に感じる。ルクレツィアの深閑とした胸中に、喪失と断絶にまつわる普遍の悲しみを垣間見た気がした。
  • 2025年11月9日
    甘くない湖水
    甘くない湖水
    支配や独善といった言葉では、アントニアが母として引き受けてきた辛苦を掬い取ることはできないとはいえ、娘であるガイアの心情を思うと胸が詰まる。満たされない思いが募ってゆくなか、ただしずかに彼女の傍にあり続けた湖水も、もはやあまくはないのだ。
  • 2025年11月5日
    サンショウウオの四十九日
    他者の意識が流入してくる感覚を知らない私は、共有を常とする杏と瞬とは異なる状態にある。けれど、自分の身体を所有している実感はもてずにいる。他人のものではないが、みずから統御できるものでもない意識や肉体を思って、しばし奇妙な浮遊感に包まれた。
  • 2025年11月1日
    グレイスは死んだのか
    深山での遭難によって反転する、男と犬の関係性。おのれの世界から滑落してゆくさまを捉えた凄絶な物語で、嫌悪を催しつつも、魅入られたように読み耽ってしまった。アイデンティティの崩壊は、人にとっても獣にとっても、死にひとしいということなのか。
  • 2025年10月29日
    忘れられた花園<下>
    忘れられた花園<下>
    弱さや醜さを知っているつもりでも、いざそれを目の当たりにすると、打ち据えられたような気分になる。立場や状況が違えば、自分もこうして他者の尊厳を踏みにじるのだろうか。すべてを押し流してしまう時間というものに対しても、様々な思いが渦巻いている。
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