パンラビ
@pan_rabi
- 2026年3月11日
- 2026年3月9日
箱男安部公房読み終わった最初に読んだときは、箱をかぶって街を歩く主人公を「よく分からないけど、一人の世界に浸りたいことはあるよね」 そのくらいに思っていた。 けれど再読して、印象が変わった。 物語の終盤、駅で主人公らしき人物が倒れ、「救急車のサイレンが聞えてきた」という一文で終わる。 そして作中の新聞記事には、その人物の所持品が「125円の小銭と新聞紙数枚だけ」と書かれている。 文中で何度も登場していたはずのダンボール箱は、そこには記されていない。 ……こわい。 ただ一つ、「空気銃」で肩を撃たれたことだけは、もしかすると現実の出来事だったのかもしれない。 - 2026年3月9日
空間の詩学ガストン・バシュラール,Gaston Bachelard,岩村行雄かつて読んだ家、屋根裏部屋、地下室、巣、貝殻――。 そうした空間の比喩を通して、人の記憶や感情がどのように形を持って立ち上がるのかを詩的に描いた一冊。 読んでいると、「放課後の自宅」や「教室の片隅」のような、自分の中で忘れていた感覚が静かに呼び戻される。 哲学というより、感覚の奥に眠っている記憶を見つめ直す本。 - 2026年3月9日
細雪谷崎潤一郎かつて読んだまた読みたい旧家である蒔岡家の四姉妹を中心に描かれる物語。 台詞はほぼ関西弁だが、小気味よく読み進められる。 封建的な価値観が当たり前だった時代の話だが、三女の 妙子 のように現代的な感覚を持つ人物もいて、今の価値観で読んでも不思議と違和感がない。 古い時代の物語なのに、意外と身近に感じられる一冊。 - 2026年3月9日
サバルタンは語ることができるかガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァッ,G.C.スピヴァク,上村忠男かつて読んだサティー(夫の火葬の際に妻が焼身する行為)は、インドの立場からは聖典に基づく「伝統」とされ、西洋からは「野蛮」とされてきた。 しかしそのどちらの視点も、サバルタン女性自身の声を聞いてはいない。 文化や宗教、知的な枠組みのどれを通しても、当事者の声が抑圧されてしまう構造を問う一冊。 SNSやニュースで誰かの出来事が語られるとき、その声が本当に届いているのかを考えさせられた。 - 2026年3月9日
仮面の告白三島由紀夫かつて読んだ - 2026年3月8日
リア王シェイクスピアかつて読んだまた読みたい誰も幸せにならない一冊。 4回読み返したが、誰にも同情できない。 それぞれが自分を物語の主人公だと思っている様子が、どこか滑稽だった。 それでも面白いのが不思議だ。 - 2026年3月7日
内的体験ジョルジュ・バタイユ,江澤健一郎読んでる心に残る一節教室の空気学校の教室という空間が苦手だった。 みんなに馴染もうとした努力で辛かったわけではなかった。 『内的体験』の「神」の章を読んで、ゆっくり腑に落ちた。 「神について語るあらゆる可能性が人間から奪われるのは、人間が疲労していて、眠りと平安を渇望する限り、人間の思考において、神は、必然的に人間に適合したものになるからである。」 あの密度の高さ、ヒエラルキー、みんなが枠組みの中で必死になる光景。 とくに中学の教室では、それが空気のように当たり前になっていた。 あの空間全体が、「人間に適合した神」のような秩序だったのかもしれない。 息詰まりの正体が、ようやく言葉になった気がする。 - 2026年2月25日
ライ麦畑でつかまえてジェローム・デーヴィド・サリンジャー,野崎孝主人公ホールデンになぜか強い共感を覚えた。 解説にこんな一文がある。 「主人公ホールデンの言葉や行動が誇張にみちて偽悪的なまでにどぎついのは、大人が善とし美としている因襲道徳や、いわゆる公序良俗なるものの欺瞞性を何とかしてあばこうとする彼の激情の所産である。」 この一文を読んで、自分が感じていたものがはっきりした。 彼の粗暴な言葉ではなく、世界の構造を見抜いてしまう視線に、自分は似たものを感じていたのだと思う。
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