

しき
@syiki
世に本はたくさんあるけれど、あせらず一つずつ、出会って読んで感じて考えたい。でもいちばんは楽しみたい。読書はエンタメ。
- 2025年8月20日自転車泥棒呉明益,天野健太郎読み終わった台湾を舞台にした長編小説。主人公が探す一台の自転車、そこから幾つもの物語が呼び起こされる。戦時の過酷な行軍、父と子、戦時の動物園、自転車の価値、戦時の友情と死。時を行き来しつつ進められる物語は複雑に絡みあっていて、何度もページを戻った。それだけに一つ一つ入り込み、一兵士ではどうしようもない戦争や、ゾウたちの境遇にふかい悲しみをおぼえた。 すべての物語に現れる鉄製の自転車はそれぞれに何人分もの歴史をもち、ふるびて静かなたたずまいで現代に立つ。「時間は多くのものを盗んでいき、そして多くのものを手放していく。」
- 2025年8月8日遠い町から来た話ショーン・タン,岸本佐知子読み終わった家の中から、日常から、ふと踏み出した先が・・・思いもよらない空間。こんなに非現実的な光景なのに、どうして自分の感情が揺さぶられるんだろう。旅路の果てに手に入れた指輪や、夜中に現れるトナカイ。いとしいものたち。 詩のカケラが集まり、さまよい、ばらばらになる『遠くに降る雨』が好き。
- 2025年8月4日文房具を深める100のことば高木芳紀読み終わったミニサイズの図鑑、いまやあちこちの出版社が出しているけど、どれもかわいい。新しく始まったこちらは翔泳社。ペンやノート、紙、文具メーカーの歴史に始まり、いま流行っているもの、進化してきたもの、手書きの喜びや沼の様相まで100項目。知らなかったことも色々あって面白く読んだ。
- 2025年8月3日そぞろ各地探訪 panpanya旅行記集成panpanya読み終わった2010年代に描かれた旅のエッセイ、マンガをまとめた一冊。拾ったものや食べたもののラベルのスクラップ、写真と絵の混在、フィクションと思しき要素の乱入・・・なんというか変で面白い本。字が小さくても、隅から隅まで読んでしまう謎の引力。それがpanpanya作品。ハトヤの話や鍾乳洞の話が楽しかった。それにしてもサイズや種類の異なる紙がいろいろ入っているこの本、製本するの大変だったのでは・・・。
- 2025年7月27日ほたるいしマジカルランド寺地はるな読み終わった遊園地で働く人たちの群像劇。働くことや誰かと交流することは生きていく中で大きなウェイトを占めていて、だからこそ悩みも尽きない。夢いっぱいで楽しい遊園地という、お菓子のような存在が舞台なので、甘くて苦い、みたいな味わい深い物語。社長の息子、佐門くんがなかなかに難しい立場で、いい道を見つけてほしいなぁ、なんて応援したくなった。
- 2025年7月26日
- 2025年7月19日屋上物語北森鴻読み終わった観覧車やベンチが語り手となる謎解き物語。1章ごとに事件の中心人物は変わるけれど時間軸は共通の一本で、一つ前の事件が次の謎を呼ぶような構成に読む手が止まらなかった。人の心の動きにしんみり・・・したかと思えば軽快な会話が続いたりと、リズム良く読みやすい。悪意や考えの足りないことで色々起こってしまうので、後味は「人間ってどうしようもないなぁ・・・」という感じになっちゃうけど。
- 2025年7月4日アンソロジー 料理をつくる人千早茜,深緑野分,秋永真琴,織守きょうや,西條奈加,越谷オサム読み終わったおもしろいテーマのアンソロジー(雑誌「紙魚の手帖」の特集を書籍化したもの)。プロの料理、家庭の料理、愛ゆえの料理。それらと、作り手の背景とが絡みあって展開する。 深緑野分『メインディッシュを悪魔に』が愉快だった。比喩じゃなく悪魔が出てくるんだけど、ぜんぜん怖くなくて軽快なお話。悪魔の敵は神ではなく退屈らしい。 越谷オサム『夏のキッチン』は、思いがけずしんみりしちゃった。
- 2025年6月14日
- 2025年6月7日ざらざらをさわる三好愛読み終わった三好さんのやわらかい雰囲気のイラストをそのまま言葉にしたような、ですます調のエッセイ。しずかで、ひとりごとみたいでもある。冷凍庫で眠りについているご飯、とか、新婚旅行というあからさまな幸せを受け止めきれなさそう、とかおもしろい。
- 2025年6月6日つまらない住宅地のすべての家津村記久子読み終わったご近所づきあいが避けられない狭い路地に集まる10軒の家。それぞれに視点を移しながらじわじわと話が進む。ゆっくりすぎる上に一家族ごとの話が短いのでどこにも入り込めず、ほんとに「よく知らないご近所さん」の様子を外から見ているみたいだった。後半から脱獄した女性の話が入ってスピードアップ。少しだけ乱される路地の日常。でもその「ほんの少し」が意外となにかのトリガーになっていたりするのがおもしろかった。
- 2025年6月1日胃が合うふたり千早茜,新井見枝香読み終わった食べものエッセイ、ではあるんだけど、それと同じくらい友情というものについて二人は考えている。ドライで、でも固い結びつきを得たふたり。我を通すことと相手を思いやることを、ユニークな考え方で両立している感じが興味深い。 自分の友達にはちょっと勧めづらいけど、SNSとかでは声を大にして勧めたい本。
- 2025年5月31日黄金旋律村山早紀読み終わった優しすぎるあまり疲れてしまった現代の少年の心情を描く前半から一転、後半は思わぬ世界に飛び込む。とても寂しくて、つらい世界。でも、未知の状況でも前に進むこと、誰かを信じようとする心がきらめく。 少年たちは旅立ったばかりで、続きも構想されているようだけど、今のところ出ていないみたい。
- 2025年5月23日夜間飛行・人間の大地サン=テグジュペリ,野崎歓買ったどちらも新潮文庫のを持っていて、人間の大地はとても良かったなあという記憶がうっすらある。野崎歓さんの新訳ということで、もう一度読んでみようと思い購入。訳が違うと言えど同じ本を買ったのは初めてかも。しかし表紙が渋いな。
- 2025年5月23日
- 2025年5月15日
- 2025年5月10日さくら〔小学館文庫〕西加奈子読み終わった愛が暴走してる。 家族の中の愛が、適切な量や方向を見失って、太ったり投げたり隠したり逃げたりという暴挙に長谷川家の面々を走らせる。そんな中でサクラ(犬)は変わらない存在、港みたいだなと思う。 死んだ兄ちゃんは帰ってこないしミキは多分これからもちょっと変わり者のままだけど、でもサクラがいたから、みんなの止まってしまった時計はまた動きはじめたのかな。なんだか嵐のような勢いで通り過ぎる物語だった。
- 2025年5月3日世界の郷土ごはんパイ・インターナショナル,青木ゆり子読み終わったアフリカ料理とかは馴染みもなくてへぇ〜こんなのがあるんだ👀などと思いつつ読む。アジア圏もフィリピンとか知らない料理がたくさん。写真もきれいで楽しい本だった。
- 2025年5月3日神と王 主なき天鳥船浅葉なつ読み終わった前半はゆっくりじんわりという感じだったけど、半分過ぎたあたりから展開が加速。ひとの欲望の多様さ、果てしなさを目の当たりにしながら読み進んだ。神や信仰することへの疑いという問いかけはこの巻にもある。 しかし最後のシーン・・・そうくるか・・・と思った。古代みのあるファンタジーとして好きな場合は、ちょっと先を読むのを悩んじゃいそう。
- 2025年4月29日
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