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@tpfish
  • 2025年7月7日
    街とその不確かな壁
    『街とその不確かな壁』は、久しぶりに手にした村上春樹作品。その文体は相変わらず好みが分かれるかもしれませんが、気がつけばどんどんページをめくっていました。 作品全体を通して流れているのは、どこか静かで澄んだ空気感。不思議で、曖昧で、でもなぜか心地よい。その世界に浸っている時間があまりにも気持ちよくて、読み終えるのが少し寂しくなるような読書体験でした。 そして村上作品ではおなじみの、「ちょっとした料理とお酒」の描写も健在。今回は冷えたシャブリが登場し、まんまと飲みたくなって買ってしまいました。何気ない食事のシーンが、登場人物の静かな感情や空気をふわっと引き立ててくれるのも、春樹ワールドの魅力のひとつです。 現実と幻想のあいだをゆったりと漂いながら、「心の深い場所で何かが動く」そんな読書体験を味わえる一冊。春樹作品を久々に読みたい人にも、初めて手に取る人にもおすすめです。
  • 2025年6月20日
    猫町
    猫町
    『猫町』は、詩人・萩原朔太郎が描いた幻想的な小説。少し昔に書かれた作品だけあって、今の感覚では語彙も文体もなかなか難解。でも、それが逆に心地よく、今回、子どもに「読んで」と頼まれて音読してみたところ、読み進めるうちに不思議とクセになるような読書体験になりました。さすがは詩人の文体、といったところ。 ストーリーは練りに練られた展開があるわけではなく、どこか夢の中をさまようような、不安で美しい雰囲気が全体を包んでいます。小学生にはちょっと難しい内容かもしれませんが、ほぼすべてのページに不思議な雰囲気の挿絵が添えられているので、子どもも世界観に引き込まれていた様子でした。 幻想文学や詩的な文体が好きな人にはきっと刺さる作品。雰囲気に身をゆだねて読むのがおすすめです。大人が音読しながら楽しめる、静かで奇妙な“文学体験”が味わえる一冊です。
  • 2025年6月19日
    シチリアを征服したクマ王国の物語
    シチリアを征服したクマ王国の物語
    『シチリアを征服したクマ王国の物語』は、イタリア文学界の“カフカ”とも称される作家ディーノ・ブッツァーティによる異色の名作。代表作『タタール人の砂漠』が静かな絶望を描いた哲学的文学なら、こちらはぐっと親しみやすく、子どもから大人まで楽しめる“寓話仕立ての冒険譚”です。 可愛いクマたちのほんわかストーリー……かと思いきや、その実態は、勇敢なクマの王レオンツィオに率いられたクマたちが山を降り、シチリアの人間たちと戦い、そして“勝利のその後”を描く物語。戦い、統治、そして変化――ほのぼの一辺倒では済まされない、深く鋭いテーマが潜んでいます。 漢字にふりがながふってあり、カラーの挿絵も豊富なので、小学生中学年以上であればじゅうぶん読めます。私も子どもに読み聞かせるつもりで手に取りましたが、気づけば自分が引き込まれていました。まさに、大人が読んでも考えさせられる一冊。 寓話好きな方、親子で一緒に楽しめる良書を探している方、あるいはちょっと変わった“戦うクマの物語”に惹かれた方には、ぜひおすすめしたい名作です。
  • 2025年6月13日
    出かけ親(5)
    『出かけ親』は、「伝染るんです」でおなじみの吉田戦車が、散歩したり、帰省したり、何気ない日常の“外出”をテーマに描いたエッセイ風コミック。サブタイトルの「漫画家 野外活動覚え帳」が示す通り、特別な事件が起きるわけではないけれど、ゆるくて、味わい深くて、なんだかクセになる一冊です。 2025年6月時点のシリーズ最新刊(最終刊?)にあたるこの作品も、肩の力を抜いて読めるのに、ページをめくる手が止まらない面白さ。街の風景や家族との会話、移動中のどうでもよさそうで妙に気になる観察眼――戦車ワールド全開です。 子育てエピソードを中心に描いた『まんが親』シリーズも合わせて読むと、吉田戦車という人のユーモアと優しさがさらに立体的に見えてきて、どちらも強くオススメ。派手な笑いではないけれど、しみじみとした幸福感が味わえる、大人のための“日常系”コミックです。
  • 2025年5月30日
    トレーディング・ゲーム
    トレーディング・ゲーム
    『トレーディング・ゲーム』は、貧しい家庭に生まれたギャリー・スティーヴンソンが、シティバンクでトップトレーダーに上り詰め、やがてその世界を離れるまでを描いたリアルで痛快な回想録です。金融の知識がなくてもスラスラ読める平易な文章とテンポのいい展開で、ストーリーとしても抜群に面白い一冊です。 私はトレーダーではないけれど、近い業界にいることもあって内容にグイグイ引き込まれ、気づけば空き時間を見つけては読み進め、2日で読んでしまいました。特に後半、舞台が東京に移ってからは、著者の視点で語られる東京の風景やカルチャーへの素朴なコメントが新鮮で、また違った面白さがありました。 金融業界の裏側やトレーディングの現実がリアルに描かれていますが、専門知識がなくてもまったく問題なし。ストーリー性が強く、よくできたドラマのように楽しめます。 金融に関わる仕事をしている人、多額の報酬をもらうトップトレーダーの世界に興味がある人、面白い回想録を読みたい人におすすめできる一冊です。
  • 2025年5月15日
    動物たちは何をしゃべっているのか?
    動物たちは何をしゃべっているのか?
    『動物たちは何を喋っているのか?』は、サルの研究者・山極寿一さんと、シジュウカラの研究者・鈴木俊貴さんによる共著。霊長類と鳥類という一見まったく違う動物を追いかけてきた二人が、それぞれの知見を持ち寄りながら「動物たちの言葉」について語り合います。 本書は会話の書き起こし形式なので、とても読みやすく、まるで二人の対談を横で聞いているような感覚で読み進められます。ただの動物観察の話ではなく、「動物は仲間に何をどう伝えているのか?」という具体例から、「そもそも動物は世界をどう認識しているのか?」という深い問いへと自然に話が展開。そして最後には、人間の言語やコミュニケーションとは何か?というテーマにも踏み込んでいきます。 動物好きはもちろん、言語や認知、コミュニケーションに興味のある人にも刺さる内容。会話形式の気軽さと、内容の奥深さが絶妙にブレンドされた一冊です。
  • 2025年3月25日
    一億年のテレスコープ
  • 2025年3月25日
    世界の「住所」の物語
    世界の「住所」の物語
  • 2025年3月25日
    ペルディード・ストリート・ステーション
    ペルディード・ストリート・ステーション
  • 2025年3月17日
    翻訳者の全技術
    翻訳テクニックの細かいノウハウを解説する指南書…ではなく、「翻訳ってそもそもどう考えるべき?」という視点から語られている一冊。著者・山形浩生が、翻訳の現場でどんなことを考え、どんな基準で言葉を選び取っているのかが語られるだけでなく、読書論や積ん読論(!?)にも話が広がり、まるで雑談を聞いているような軽妙な語り口でスラスラ読める。さらに、他の翻訳者や作家について褒めたりツッコんだりと山形節が炸裂しているので、本文に登場する翻訳者・作家・作品を知っているほど面白さが増すと思います。終盤には、著者の本業であるコンサルタント業の話も登場し、翻訳だけにとどまらない広い視野を感じさせる構成。タイトルは堅いですけど、気軽に読めます!
  • 2025年3月12日
    バッタを倒すぜ アフリカで
    「バッタを倒すぜ アフリカで」は、サバクトビバッタ研究者の前野ウルド浩太郎さんが、アフリカで奮闘する姿を描いたノンフィクション作品。バッタの生態研究という一見マニアックなテーマながら、ユーモアあふれる語り口で、専門知識がなくても楽しめる一冊です。舞台はモーリタニアを中心に、モロッコ、フランス、アメリカへと広がり、研究だけでなく、現地での生活、文化の違い、論文執筆の苦労、個性豊かな人々との交流など、多彩なエピソードが満載。前作を読んでいなくても問題なし!研究者のリアルな日常と、未知の世界を冒険するようなワクワク感を味わえる、読みごたえたっぷりの一冊でした。
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