山梔 (ちくま文庫 の-18-1)

38件の記録
Anna福@reads--2503092025年10月30日読み終わった読書への渇望や思春期の柔らかい心が、これほどまでに「罪」と見なされた時代があったのか。 兄嫁・京子の冷たい眼差しは、当時の社会規範そのものの監視の目であるように感じる。 女学校を出ても家で夢想しているだけの阿字子に対し、彼女の「結婚もしない、身を立てることもしないで親同胞の厄介になろうというのか」という言葉は、女性に課された「役割」という当時の重圧を映しているが、そこに関しては京子さん正論だ、と感じた。 しかし父や兄が阿字子に「貴様」と言い放つ言葉、そして父による「拷問に等しい折檻、打擲」は、あまりに衝撃的。 家父長制の絶対的な権威の下で、阿字子の魂は有無を言わさず押し潰されようとしている。 「好い子」か「いけない子」かという二極的な評価基準が度々主人公の口から出てくる。 個人の内側の生と外側からの暴力的な抑圧の息詰まるような闘いを描いた記録であり、その生きづらさは現代にも通じるテーマ。 『女が、ちゃんと食べて行けさいすれば、結婚なんぞするものではありませんね』母、『あなたのような人は、もう一世紀、おそく生まれたらばよかったのね。』姉。

- yh@yh2025年9月30日少し読んだ職場昼休みp.236まで。阿字子が変わってしまったのか、阿字子の周りが変わってしまったのか。空(くう)さえも、自分の意志を引っ込め、母と京子の意向に自分を合わせようとする。 今朝読了した009ノ1でも、精神だけ老いてしまったサイボーグ(アイアンなんとか)が出てきたのを思い出した。
- yh@yh2025年9月29日少し読んだ職場昼休みp.196まで。若さ故か、すぐに出家することを考えたり、焦って玉砕を望んだりする。そういう考えや望みを内内にもてあそんでいる。 運命の力強さ、人間の運命に対する無力さを、思い知る阿字子。『ベルリンアレクサンダー広場』なら、ズンタカターズンタカターと音が鳴るところ。
- yh@yh2025年9月26日少し読んだ職場昼休みp.184まで。そもそもこの本を読もうと思ったのは、AJICOとの関連を探りたい思いがあったからだが、p.182~183あたりの沈む太陽を前にしたシーンは、何かの楽曲を連想させる。再聴しなければ。
- yh@yh2025年9月25日少し読んだ職場昼休みp.155まで。昼休みに銀行用事に出たので、少ししか読む時間が取れず。 宅の女性のお手伝いさんを、”婢(おんな)”と書くのは、前日読んだ永井荷風『地獄の花』でも同じだった。
- 村崎@mrskntk2024年4月9日ガチガチの家父長制のもと暮らす阿字子、結婚に対する嫌悪感や嫁いでいってしまった姉や憧れの人たちへの哀愁が美しい文章で綴られていて、胸にくるものがある。こちらあみ子が好きな人は好きだと思う(ちくま文庫だし…)にしても婢でおんな、すげー字だわね



























