貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」
30件の記録
- 綾鷹@ayataka2025年11月28日子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、複数書籍を出している著者。病気で「高次脳機能障害」になり、どんなに頑張ってもやるべきことが思うようにできないという「生き地獄」を味わったことで、貧困に苦しむ彼らもそんな「働けない脳」に苦しみ、貧困に陥っていたのではないかと気付くーー この本は貧困と不自由な脳について書かれているが、他の病気やプライベート・仕事の環境等含めると、見えないところで努力し、苦しんでいる人は周りに多いのではないか。 何かで「自立とは困ったときに誰かに頼れること」という言葉を覚えている。 真面目であるほど自責し、自分の中に抱え込んでしまいがちだが、適度に依存できる他者の存在が大切だと思った。 近くに苦しんでいる人がいるときに、安易にその人のパーソナリティのせいにするのではなく、理解しようとする姿勢を常に持ちたいと思う。 ◾️不自由な脳当事者の共通点 ・不自由な脳当事者の共通点は、不安の心理によって、低下した認知機能が一層損なわれ、何とかできていることまでできなくなり、しまいには何もかもできなくなってしまうこと。そして自身の不自由の正体(原因症状や機序)の解釈が自身の中でつくまで、その不安はつのる一方であること。この2点。 ◾️不自由な脳という状況ゆえに人が貧困に陥り、抜け出せなくなる理由 ・人の脳は原因となる疾患や機序がどうあれ、情報処理速度の低下、疲れやすさ、記憶や注意の機能の低下等々の症状が現れる。 ・結果として、他者の言葉についていけなくなり、言葉や文字、文章の理解が困難になり、複雑な条件から正しい道を選択したり、優先課題を絞り込んだり、中長期的に課題を把持することができなくなり、その状況を他者に合理的に説明することも極めて困難になる。 ・それらの不自由は「不安の心理」があることで、一層強く濃厚になる。 ・だからこそ当事者は働けなくなり、迫る危機を把握・対応できなくなり、制度の利用にもつながれなくなってしまう。 ◾️不自由な脳当事者に伝えたいこと ・当事者自身が「ふたつの自己理解」を立ち上げることの重要性。 ・ひとつ目の自己理解とは、自分が陥っている意味不明の不自由に対して、それが脳の認知機能が低下している者には普遍的に起きる不自由であることを知ること、気づくこと。さらにその不自由を軽減させるライフハックもたくさんあると知り、実践することだ。必要なのは、まずは感じている不自由が「正体不明で抗いようのないナニカ」ではなく「あくまで症状であり、様々な工夫によって対策がある程度可能」という認識にたどり着くこと。 ・たつ目の自己理解とは何か?それは、その不自由を一気に悪化させてしまう最大の要因として「不安の心理」があり、その不安を除去するだけでも不自由の幾分かは解消することができると知ることである。 ・厳密な診断名は必要ではない。「それでも前に進みたい当事者」にとって必要な自己理解とは、それが骨折なのか捻挫なのかを厳密に断定することではなく、単に「いま自分には歩けないという不自由・症状がある」と見極め、杖を突くなりサポーターを使うなりの代償手段を習得すること。そして「もっと歩けなくなってしまう」原因のひとつが不安の心理を抱え込んでしまうことと知る。このふたつの自己理解に勝るものはないと思うのだ。 ・「できないこと」よりも「まだできること」を探す ・当事者最大のライフハック、それは、信頼できる他者への「適度な依存」だ。破局時の僕の脳内で、その情報処理力の大部分を使っていたのが「これからどうすればいいのかわからない」「自力でその状況からどう復帰すればいいのかわからない」といった出口のない不安の心理だったからだ。妻が横に存在してくれるということは、自力ではどうすればいいのかもわからない状況から、次の行動をふたりで考えられるということ。自分でなんとかしなくても良いという安堵。そうして妻の手によってその不安という最大の認知機能阻害の要因がごっそり取り除かれたことで、僕の脳は一気に情報処理力を取り戻したわけだ。 ◾️周辺者や支援職にお願いしたい支援ポイント ①当事者の不安の軽減を最重視し、逆にその不安を作る言動を極力避けてほしい。 ②脳の情報処理機能が低下すると何が起きるのかを、発達特性領域などを参考に基礎的なこ とだけでも学んでほしい。 ③支援者自身が情報量過多な存在(大声・過剰なリアクションやイントネーション・多弁・早口・当事者の言葉の遮り・論旨の整理されていない発話)であることで、当事者を混乱させる要因にならないでほしい。 ④情報量が多く整理されていない場(特に病院の窓口や市区役所・公共交通機関等の生きるための社会資源の場)が当事者にとって「その場にいるだけで困難」であることを理解し、当事者が社会資源を利用できるように支援してほしい。 ⑤当事者の自己理解を支援してほしい。特に陥っている状況が普遍的な症状であって、予後の全くわからない致命的な状況ではないことの理解と、無用な不安がその症状を一層悪化させることの理解をポイントに自己理解支援を求めたい。 ⑥残存スペックや、環境や条件を整えた際に発揮できる最大限のスペックを当事者自身が発見、理解する「機会づくり」を支援してほしい。 ⑦適度な依存によって自身のスペックが上がることの体験を支援(そのような他者の発掘も含む)し、自力でできる課題と、他者の助力を仰ぐ方が効率的な課題を切り分けるためのトライアルの場を作ってほしい。 ⑧理解なき周辺者に対する自己説明力を補完、代弁する支援をしてほしい。 ⑨加害化してしまいがちなパートナーや家族に対し、当事者・周辺者それぞれに対する支援ではなく、「家族というユニット」で、双方の症状理解支援や関係性改善支援を試みてほ しい。 ⑩状況判断と理解の支援をしてほしい。あらゆる把握に時間がかかる当事者の思考を常にワンアクション待ち、複雑な条件の判断などではひとりで考えさせない支援をすること。この条件だとどうなるか、様々な選択肢を選んだ先にどんな結果が予測できるのか、現状に鑑みてどう決断していくかといった、思考の支援、判断や自己決定の支援をすること。 11 比較検討項目が非常に多岐にわたることで混乱を伴う「将来決定」において、思考の整理と意思決定の支援をしてほしい。 ◾️ 見えない障害の当事者が訴える、就労継続の困難 ①身体の麻痺など見える障害へのバリアフリーはあっても、見えない不自由への理解がない(注意障害の特性があるのに騒々しい現場に配置されるなど)。 ②水面下の努力で何とかギリギリクリアしたことで「この人はできる」と評価され、より複雑で責任ある業務や立場を求められてしまう(もちろん善意の人事で)。 ③できる仕事までできない扱いされて、単純で低賃金の仕事しか与えられない。 ④当事者にとって命綱である理解ある上司などが異動してしまう。 ⑤部署変更などで環境が変化してもそれを把握して対応することができない。

ハム@unia2025年7月1日読み終わったなんでできないの?なんでわからないの?みたいなフレーズを言わないまでも思うことは多い。 「不自由な脳」というコントロールできない状態にある人に寄り添うためにはまず知ること。 知らなければ本当にただサボってるとして自己責任を問う態度をとってしまいそう。というかとってたなと自戒の念… 著者は自らが病気にて同じ境遇に立つことで理解を深めていったけど、実際問題としてなかなか言葉だけではその感覚の理解は難しいと思う。 お互いにストレスを溜めないためにはこうした人たちがいることをきちんと受け止めなきゃなんだろうが、この手の問題が目立ってくるのもなんか殺伐とした社会であるがゆえにも思えてなんだかなぁと思う。



めめん堂@memendo_tokachi2025年4月10日読んでる面白いし社会的に意義ある本だと感じる。「すぐやればいいじゃん、どうしてやらないの?」と言われがちな人の脳で何が起こっているかがわかる本。 著者が高次脳機能障害になってくれたおかげで世に出た本だということに、なんとも言えない気持ちになりつつ読む




























