舌の上の階級闘争 「イギリス」を料理する

23件の記録
- 斜視@moreshi2025年7月12日読み終わったイギリス料理の話から歴史や文化を学ぶ 人種、移民、音楽、漫画、スポーツとか色んな話が出てきて面白かった 「嗜好品と呼ばれるものの原材料はほぼすべて、それが大量消費のために商品化され市場規模が拡大すればするほど必然的に、奴隷かもしくは奴隷に近い労働条件のもとで作業する一定人口の、それも使い捨て可能だと思われる人間たちの肉体労働によって供給源を確保されてきた。歴史的にも、また現在でも。」p222 「かつて、コーヒーには必ず砂糖を入れて飲むという人物に出会ったことがある。虫歯や糖尿病をまったく気にしていないということが問題なのではなく、その人は奴隷制時代の人々の痛みや、それを飲むことの罪深さを忘れないようにするためだと言っていた。格好つけすぎである。偽善である。鼻持ちならない形而上的思想である。しかし、もはやそうではないものがあるだろうか?絶対に砂糖を入れてコーヒーを飲む行為を警句にしなければならないのではないか。口にするもの、身につけるもの、身に施すもの。その原料はどこから、誰の手によってもたられているのかを考えずして、そして考えた末に頭を抱えずして、享受できるものなどないのではないか。」p222~223
- 斜視@moreshi2025年7月9日読んでる「そこにやってきたウォルタースは、肌の色=外見が「黒い」チョコレート色で、レンジャーズの選手ということで中身はプロテスタント=オレンジ。つまり「ジャッファケーキ」というわけなのだ。」p111 「その歴史を、セルティックサポーターたちは逆手に取って、ウォルタースを揶揄するあだ名をつけ、試合のたびごとに彼を野次ったのである。「このジャッファケーキ野郎め。外見は黒いくせに一皮むけばオレンジじゃねえか!」と。」p111 「アイルランド系の労働者階級の男たちが、イングランドからやってきた事情のよくわからない黒人の若者に「ジャッファケーキ!」という言葉を投げつける。これは黒人に対する人種差別なのか、プロテスタントに対する憎悪の表現なのか。同じような比喩に「バウンティ」というものがある。これはココナッツフレーバーのヌガー生地をチョコレートでコーティングしたお菓子で、肌の色は黒いけれど振る舞いや考え方、価値観などが白人のような黒人に対して向けられる嫌味な表現だ。」p111~p112
- bocca books@littlesummer2025年3月11日気になるかの有名なフィッシュ&チップスやイングリッシュブレックファーストなどから、社会背景を語るとの事。興味深いです。レシピにも期待してます!
- amy@note_15812025年3月6日かつて読んだはたして「イギリス料理はまずい」のか? 「イギリス料理」としてよく知られた料理を歴史と社会の背景とともに実際に作って、食べて、そこに存在する貧富の差や階級の違いを考えるレシピがついたエッセイ 料理にかかる手間を外注できるのは、言わずもがな裕福な立場の人間だけである。大変な労働から帰ってきてから、くたくたの身体で缶に入ったベイクドビーンズをあたためて食べるときにそれをまずいもの、と断じてしまうのは想像力がない。自分のなかの稚拙な尺度でしか料理というものを味わっていないということであるといったようなことが書いていた また砂糖など、料理に使われるあらゆる食材がイギリスの植民地となった場所で栽培されたり収穫されたりするという点にも言及している 食べるということは非常に文化的な行為であり、社会背景などを無視して「イギリス料理はまずい」と言ってしまうのは慣れ親しんだ味覚の範囲でしか「美味しさ」と近くできないような程度の感性であるという点にはおおいに同意した。私は判を押したように「イギリス料理はまずい」というような人が嫌いだ 食事ほど文化や歴史の違いを感じられるものはないと思うから