メメントラブドール

34件の記録
- Autoishk@nunc_stans2025年10月4日読み終わった「私の宣伝写真を見せても「へえ」としか言われなくて気まずかった。決して表象的なことを言わなかったところに、やっぱりカズと私を隔てる時代やカルチャーなんかの大きさを思い知る」(p.119) 自分の知らない「表象」の用法が広がっているのかもしれない
- 蔭山@kie_doors2025年9月13日読み終わった「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を釣って喰っては「たいちょー」として行為シーンを裏アカに上げ、平日昼間はSIer企業の院卒若手正社員「忠岡」として労働しながら、新宿区住まいの家賃のために「うたちょ」の姿で男の娘コンカフェのキャストとして立つ元“高専の姫”ポジションー(帯分より) この時点で目まぐるしい生活をしているらしい主人公にくらくらするのだが、 チー牛という概念が生まれて、それまで曖昧だった情けなさに輪郭が与えられて、本当に良かったと思っている。そういう男たちには一生ジェネリックコンバースみたいなスニーカーを履いていてほしいのに、最近のチー牛たちはちゃんとウォーキングシューズじゃないほうのニューバランスや型落ちしたエアマックスなんかを履いていて小賢しい。(5ページ目より) 店を出て二秒でもち助に撒かれて、別に一緒にタク乗りたいなんて思ってなかったしそもそも私チャリだし、でもちゃんと不愉快さが勝つ。(44ページ目より) 住んでいる文化圏が違うので「共感」というのではないけれど、主人公が自身の感情の機微を斬新な言葉遣いでつぶさに掬い上げていて面白かった。
- シクロ@sicrobei2025年4月17日読み終わった最近よく名前を見かけると思い、図書館で借りた。次の一文が心にひっかかる。 "ロールプレイのような憂鬱と激励のなかにそれぞれの生活の機微を持ち寄れば、毎回同じような台詞を投げかけられてもちゃんと嬉しくなれる"
- 読書記録@records2025年4月14日読み終わった皮肉でコーティングされたような文章ばかりだと思いながら読んでいた。 辛辣な視線は周囲に対してだけでなく、時には自分自身にも向けられる。 起こってしまった出来事が身から出た錆だとわかっていても、落ち込んだり、目を逸らしたり、悪態をついてでもいないとやっていられないような気持ちになるのがすごくわかるなと、共感してしまった。読みはじめる前に予想していたよりも、好きな小説だった。 「いつだって自分を含めた誰かを無鉄砲に煽って生きている。そうしないと立っていられない場所にいるのだから仕方ない、という開き直りはどれくらいの正当性をもって響くのだろう。」p.99
- はぐらうり@hagurauri-books2025年3月16日読み終わった太宰賞。ペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂、という紹介文からして令和、という感じなのだけれど。ここだけ読んだら平成時代を生きた自分とまったく同じ。ペルソナってハレーションするよね。 抱えているペルソナが違うだけで、誰もが同じ20代を過ごしてきたのだと思う。 分人主義の小説なので、新しい、というより令和版のとある若者の物語。最近の文藝賞よりもわかりやすくて良かった。
- かぼちゃ@kabocha2025年3月9日読み終わったハッ、とされる言葉の数々。 文体の面白さ、楽しさ。 知らない言葉もたくさんあり学びにもなった。 あっという間に読めるのに、読後のこのドンっと残る感じ。読んで(読めて)良かった…。 『わかっていることと受け入れることは別のレイヤーに存在していて、両者はあまりにも遠い』 ↑響きました。
- Suzuki@finto__2025年3月7日読み終わった★★★★☆ 「いつだって自分を含めた誰かを無鉄砲に煽って生きている。そうしないと立っていられない場所にいるのだから仕方ない、という開き直りはどれくらいの正当性をもって響くのだろう。」p99