遠くまで歩く

24件の記録
- ON READING@onreading2025年4月6日読み終わったこれほどまでに、現実と小説の世界がシームレスになった体験があっただろうか。読み始め、あまりのリアリティにかすかな居心地の悪さを感じたほどだった。読み進めるにつれ、登場人物たちの語りが私にとっても馴染みのあるものになってゆき、読み終えた今、それは私の中に「記憶」された。 私自身が忘れてしまっても、誰かが私の言葉を(声を、表情を)覚えていてくれる。逆もまた、しかり。 私はこの小説の中に登場した人物が思い出したこと、語ったことを、いつか断片的に思い出すだろう。そこに小説と現実の境はない。そのことの豊かさ。そのことの心強さ。 柴崎友香さんは、小説を小説世界の中から拡張するような作品を作り続けている。それでも、それが小説であるからこそ表現できること、超えられることだと信じているのだと、私は思う。
- 鳥澤光@hikari4132025年3月26日読み終わった読む本読んだ本2025あの人に贈りたい本@ 青山ブックセンター静かな読む時間のなかでパシ、パシ、パシと印象が変わる瞬間がある。 心や未来への視線を定めにくい感じ、静けさと小さな反動、これまでは知らないままだった新しい種類の親密さ(どの言葉が誰のものでもよいと感じる瞬間って確かにたびたびあるなぁと思った)、音楽との特別な関係も、この小説に書かれたものをコロナ禍という共通の体験を経たいま読むことができて幸せだと思う。時間は過ぎていくけど消えはしない。残りかたのひとつがこういう小説で人だって場所なんだ。 立川に住んだことがあるのに、近くの戦争遺構を訪ねたことがなかった。必ず行こう。 《誰かの視点からものごとを見られるのが、人間のおもしろいところだと私は思います》P96 《自分の時間が長くなると、周りの時間が前より短く思えてくるんですかね》P97 《すぐに収まりのいい言葉にしてしまうと、その膨大で詳細な体感が、前から知っている他のものに置き換えられるだけになるかもしれません》P153
- ryo@mybook122222025年2月20日読み終わった土地と人、街並みの記録、歴史。 いつも引っ越してからその土地に愛着を抱いてしまうので、もっとこの目で街をみて歩いて確かめたいと思ったり。それぞれの人生を少しずつ持ち寄って共有しあえるのっていいな オンライン上で無機質な画面と向き合っていても、こんなにも血の通った時間を築ける
- ryo@mybook122222025年2月15日読んでる今日も柴崎さんの小説を読めたので調子がいい。 この前観た「TOUCH」という映画、コロナ禍と戦争が交錯するストーリーだったのだが、何だか共鳴するような展開になってきた。コロナ禍の出来事すら忘れかけてしまっているいまこそ考えたいことがたくさんあるような気がする。