風になるにはまだ
19件の記録
神木紗由@kamiki_sayu2025年11月2日読み終わった図書館人間が「情報人格」としてネットワーク上の世界で暮らせるようになった世界の話。一部例外はあるが、ひとまず高齢者や難病など肉体的な死が近い人間からこの選択を摂る人が出てきている。中は日本国憲法が適用されており、現実社会側の企業のリモートワーカーとして働くこともできる。しかし、永遠に生きられるかと思われていた情報人間も風になる――「散逸」というデータの細切れになってしまう現象で、事実上の「死」を迎えることになるということがわかってきた。 話自体は結構ふんわりしているのに、骨組みはかなーりガッシリしたSF。 人格の転送は本当にカット&ペーストなのか? 行く前と行った後は本当に同じ人間なのか? そこも曖昧なまま人類はやってしまう。肉体は焼却してしまうのに。 ①「風になるにはまだ」。楢山小春とバイトちゃんの話。情報人格が実体ある人間を憑代にして現実世界への会合に出る。それを受け入れる人がいたり、受け入れられない人がいたり、そんな話。楢山さんがたのしそうで、良かった。 ②「手のなかに花なんて」。優花と早季子の話。さよならに続きそうな話。早季子の最愛は優花だったし優花の親愛も早季子だった。祖母と孫がそれぞれの望む関係のまま、長く過ごせる世界ではない。お別れの予感が美しい夏の庭の後継とともに目に焼き付く。 ③「限りある夜だとしても」。榛原と三森の話。現実サイドの話。①のバイトちゃんが榛原に見られている。情報人格に逃げ道がある、そう突き付けられたとき、どう考えたらいいのか。どう考えるべき……いや、何を基準に考えるべきなのか。 ④「その自由な瞳で」。映とトオルの話。リアルが充実しているタイプ。深愛、でいいのかねえ。良くも悪くも家柄でしか友達を作れなかったお嬢様と、情報人格になろうとしているカップル。ジェットコースターみたいね。 ⑤「本当は空に住むことさえ」。古谷誠治と敷島綾女の話。そのうちそれが普通になって行くのかもしれないね。箱もの作るようなお仕事してた方々は、情報人格になっても大変バイタリティがすごい。今回はさらにガワのとこから始めてたけど、実体ある建物ですごいもの作ってたし、自由な中の制約を見出したらすごく仕事早そう。 ⑥「君の名残の訪れを」。並木翼と神澤理知の話。これを何と呼んだらいいのか、私にはわからない。ただ、この連作の中で、並木のことが一番好きだと思う。- 味噌田楽@miso___dengaku2025年10月30日読み終わった感想病気や障害などの理由で現実を生きることが難しくなった人々が現実の肉体を捨てて〈情報人格〉として仮想世界で暮らせるようになった近未来を舞台にした6つの短編が収録された作品集 それぞれの短編の主人公ごとに雰囲気がガラッと変わる文体で描かれる現実世界・仮想世界の暮らしの中のさまざまな感情の動きが心に染み込んでいくような読み味に癒される SFとしてはライトなのかと思いきや節々で出てくるちょっとした世界観設定のディティールの細かさも嬉しい おすすめ
はせくらふゆこ@coupdecour20252025年9月5日読み終わった最高だった。仮想/現実、精神/肉体といった二元的な話ではなく、もっと細やかな人間同士の関係性の話だった。多彩なバリエーションには名付けられない関係も多く、どの物語にも心掴まれた
Y_KATSUKI@k2_44162025年8月29日読み終わった新しい人格アップロードものとしての鋭い視点と、広く読まれるしなやかさがある。 〈めいっぱい愛してくれたからだを、私は殺して、家族のいる世界に置いていく〉
みちほ@full1moon5blue2025年8月24日買った投稿サイト時代から知っていた作家さんの1冊目。近くの本屋さんになくて、ネットで購入しました。とにかく読みやすく美しい文章を書かれる方なので、はやく読みたいな。あとの3冊はブックオフでセール中に購入。





















