

No.310
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遅読界隈
- 2026年5月15日
アニータの夫坂本泰紀読みたい - 2026年5月11日
北朝鮮に出勤しますキム・ミンジュ,岡裕美読み終わった韓国人である著者が、北朝鮮の開城工業団地で働いた日々を振り返るエッセイ。 冒頭にも記述があるが開城工業団地は既に閉鎖されており、今はもう存在しない場所の記憶を著者の案内で辿るような気持ちでページをめくった。 食べ物をめぐるエピソードが印象的だった。 キンパを一緒に作って全員で試食する場面、南北でキムチを交換する場面。 国境や思想、制度を超えたところで人と人が繋がる瞬間が、静かな温かさを持って訪れる。 一方で、給与計算のミスを指摘された職員がその後姿を見せなくなった話、職員に何かしてあげたくてもそれが逆にその人を危険に晒すかもしれないという著者の葛藤、仲良くなった同い年の職員が「教育」の対象になってしまった話などは、読んでいて胸が痛んだ。 善意が裏目に出てしまう構造の中で、それでも分かり合おうとした記録として、心に残る一冊だった。 - 2026年5月4日
インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑)アントニオ・タブッキ,アントーニョ・タブッキ,須賀敦子読み終わった風景描写は驚くほど現実的で美しいのに、会話はそのどれもがどこかズレていて掴めない。そのギャップに不思議な浮遊感を覚えた。 主人公の旅をなぞり、振り返って巻頭の「これは、不眠の本であるだけでなく、旅の本である」という一文に辿り着いたとき、掴みきれなかった何かがぼんやりと形を持ったような気がした。 幻想的でメタ的、妙に静かで開かれた読後感のある物語だった。 - 2026年5月1日
- 2026年4月29日
ジジイの片づけ沢野ひとし読み終わった片付けはわりと得意な方だが、もっとできることがあるかもな、と思って手に取った一冊。 片付けに対する心持ちや具体的な習慣を、ユーモア溢れる筆致でスパッと提案してくれていて、読んでいて小気味よい。 机に何も置かない、引き出しの一番上を空にする、といったところは自分のやり方と同じで嬉しくなった。 お茶を白湯に切り替えてお茶のストックを片付けるとか薬の外箱はすぐに捨ててしまう、みたいな部分は、自分にはちょっとまだ難しそうだ。 - 2026年4月21日
ガニメデの優しい巨人【新版】ジェイムズ・P・ホーガン,池央耿読み終わった最初の一ページで途方もない規模感を示されて、そうそう、これこれ、と思う。 前作で解明されていなかった謎と今作で明らかになった事実が一本の筋として繋がっていく流れは読んでいて気持ちがよかった。 ガニメアンとの交流が描かれるパートは、時折不穏な空気を漂わせながらも、思ったよりずっと穏やかなトーンで進んでいった。 ダンチェッカー先生が悪気なくガニメアンを詰めて困惑させたりしていたが、それもまたよし。 「ここにいるものはみなそれぞれ生まれも育ちも違うけれども、科学者である点は同じだよ。そのことが何よりも一番重要なんだ」というセリフが好きだった。 前作でもそうだったが、意見の相違はあれど真実を求める純粋な好奇心は皆に共通しているところが本当にいい。 ガニメアンの行く先に、科学と祈りの交差の向こうに、どうか幸多かれ、と思う。 - 2026年4月20日
雷に打たれなかった話 5分文庫ロバート・リンド読み終わった不思議なタイトルだな、どんな内容なんだろう?と思いながら読んだ。本当に"雷に打たれなかった話"だった。 起こらなかった出来事をこんなにも面白く書けるものなのか。すごい。 可笑しみを感じる楽しい文章だが、身の危険が悲劇と喜劇のどちらに転ぶかについての思索は説得力があるなと思う。 「舞台や映画で笑えることの多くは、現実の生活ではちっとも笑えない。現実では、ハッピーエンドは約束されていないからだ。」 - 2026年4月16日
語るに足る、ささやかな人生駒沢敏器読みたい - 2026年4月14日
死んでいる元カノとの旅ローリー・ムーア,栩木玲子読みたい - 2026年4月13日
おいしい紅茶のいれ方 5分文庫ジョージ・オーウェル,蜷川豊読み終わったオーウェルが思う紅茶を美味しく楽しむための十一項目。 紅茶の一杯に対してこんなにたくさんの項目があるのが既にいいというか、ここまで細かく言葉にして整理していること自体が、もうその行為を心から愛しているということなんだろう。 こだわりは豊かさだ。 - 2026年3月29日
ご冗談でしょう,ファインマンさん 上 (岩波現代文庫 社会 5)リチャードP.ファインマン読み終わったファインマンという人間の一貫性が印象的だった。 幼少期のラジオ修理に始まり、学生時代のいたずら、ロスアラモスの金庫破りまで、気になったら試さずにはいられないという衝動がブレない。 知的好奇心と悪ふざけの境目が曖昧で、物理の研究もいたずらも同じ回路を走らせているのがこの人の面白さだと思った。 笑えるエピソードばかりで楽しかったが、原爆完成の場面は「ついに完成してしまったなぁ……」と暗い気持ちになった。 お祭り騒ぎの中でひとりふさぎ込むボブ・ウィルソンの存在が忘れられない。 - 2026年3月25日
ふしだらな妻 5分文庫フィシェール兄弟読み終わった嘘が現実を動かして、動いた現実が嘘をついた人間に跳ね返ってきた、みたいな話だった。 結果として嘘をつく必要がなかったことの証明を得たので因果応報ともまた少し違う気がする。 親方が100%善意なのがいい。 - 2026年3月23日
子猫のロブ 5分文庫ロバート・リンド,蜷川豊読み終わったたっぷりの愛とほどほどの皮肉を持って子猫を観察して、その様子と人間たちとの関係性を書いている。 子猫がボールで遊んでいる場面がスポーツ実況を見ているようなテンポのよさで楽しかった。 読んでいてこちらの目もボールと一緒に動く感覚がある。 - 2026年3月22日
本 vs 煙草 5分文庫ジョージ・オーウェル読み終わった短いエッセイだが、オーウェルの文章は読みやすくて気持ちいいな、と思う。 試算のくだりの論理の組み立てが好き。「借りたまま返していない本」と「貸したまま戻ってこない本」を相殺できるはず、という発想が妙に几帳面なようでいて、結局は都合よく帳尻を合わせているだけなのが面白い。 借りた本は……返そうね! - 2026年3月3日
夜よ鼠たちのために連城三紀彦読み終わった男女の情念と心理戦が脆く美しく描かれた『ベイ・シティに死す』が好きだった。 連城三紀彦は大きなトリックやどんでん返しも魅力的だが、悲哀や寂しさを湿度の高い筆致でこれでもかと表現した最後にミステリー要素をそっと添えてくるタイプの作品が好きだなと思う。 - 2026年2月9日
星を継ぐもの【新版】ジェイムズ・P・ホーガン,池央耿読み終わった論理的なミステリーとしてだけでなく、文章の抒情性にも心を掴まれた。 月面や木星でのフィールドワークの描写の美しさや、それまで論理の積み重ねだったストーリーが遠い時代を確かに生きた人間の物語へと昇華される場面の高揚感がとてもいい。 各々が専門分野の自説を譲らず喧々諤々の議論を繰り広げていたり、閉鎖空間で共通の謎に向き合うことで信頼が生まれたりと、科学者たちの人間臭さを味わえるパートも面白かった。 学問的な対立はあっても、「真実を知りたい」という純粋な好奇心は共通しているところがいいな。 主人公が優秀なあまりマネジメントから現場作業までの全てをやらされていて、「が、頑張れ……!」と思ったりもした。 謎が謎を呼び、その度に物語のギアが上がっていくのが好きだった。 カタルシス溢れるラストシーンを駆け抜けた時の爽快感たるや! 次作『ガニメデの優しい巨人』も早く読みたいと思う。 - 2026年2月3日
怠惰の美徳梅崎春生,荻原魚雷読み終わった怠惰とは基本的に第三者からの評価によってなるものだと思っていたが、梅崎春生は誰に指摘されるでもなく好き好んで怠惰をやっている感じがあって面白かった。一本筋の通った怠惰。 『寝ぐせ』が笑えて好きだった。 布団から出たくないよぅ、とつらつら書いていたかと思えば、押し売りが来たと見るやいそいそと出て行って口喧嘩。なんなんだ。 敵意を持って合うことが許される相手というのもそういないから、そんな状況が楽しいのも分からないでもない。 生命保険の営業に唯我論じみたクレイジーさをぶつけて困惑されるくだりが特にいい。 初対面の人を相手に発露していい狂気のわりとギリギリのラインだろ、と思うと同時に知的な爽快感がある。 そんな愉快な筆致とは打って変わる『防波堤』の鋭くも壊れそうな感情の描写もとてもよかった。 優しく繊細であるがゆえに、世界との摩擦に尖った態度を取らざるを得なかったのかもしれないな、と思う。 途中まで「あるある」「わかる」と笑っていたのに、全て読み終えた後は戦後派の痛みの一端に触れたかのような気持ちになった。 - 2026年1月20日
台湾文学コレクション1 近未来短篇集姜天陸,林新惠,湖南蟲,蕭熠,賀景濱,黃麗群積読中 - 2026年1月20日
造花の蜜連城三紀彦積読中 - 2026年1月20日
暗色コメディ (双葉文庫)連城三紀彦積読中
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