インド夜想曲

24件の記録
- にょ@Yxodrei2025年4月17日かつて読んだ感想失踪した友人を探して、インドを旅する男の12の夜の物語——と聞けばミステリーのようだが、これはむしろ「見つからないこと」を描いた物語。 夜のインド、不眠の旅、影のような記憶、すれ違う人々。現実と夢のあわいを彷徨うような不思議な感覚。 美と醜、喧騒と静寂、光と影、明瞭と曖昧……相反するものが綯い交ぜになって共存している。混沌がどこか心地いい。 夜の時間のみが描かれるのも好きだ。昼の風景がほとんど登場しないことで、現実感が希薄になり、まるで不眠の夜に記憶を反芻しているような、夢と現実の境界がぼやける感覚に陥る。 物語は12の夜の“抜粋集”のような構成。作中のセリフに「引伸すと、コンテクストが本物でなくなる。〔……〕抜粋集にはご用心。」とあるが、私はこの“ご用心すべき断片性”に魅かれた。読者はこの抜粋集を自由に解釈し、想像を膨らませる事ができる。抜粋集にはご用心。しかしそれを楽しむのもまた一興だ。 読了後の余韻は、夢から目覚めたときの感覚に似ている。 「あれは何だったんだろう?」と思いながらも、妙に印象に残る。言葉にできない“何か”が引っかかり、また読み返したくなる。そして、また違う読み方をして、新たな迷宮へと迷い込む。 それが、この物語の誘いであり、魅力なのだと思う。
- ni@nininice2025年3月23日読み終わった借りてきた三月二十六日 今年最初の桜の花を、不意打ちのように目にした。午後の柔らかな光に溶けるようにきらきらと咲いていた。お昼ご飯を食べながら、『インド夜想曲』を読み進めている。 彼は言葉と言葉のあいだに間を置いて話し、ある大学で話されるように、接続詞をほんのすこし、ためらうように伸ばす、ひじょうに優雅な英語を話した。「practically …actually 」と彼は言った。 三月二十八日 桜が咲き同時に新緑が芽吹く。この違和感に今年もまだ慣れてはいない。暖かいのか寒いのかもよくわからない。なんとも不安定な春。読了。 須賀敦子の訳者あとがきに、『インド夜想曲』はより哲学的というのか、詩(抒情詩と制限する必要があるだろうが)の世界をめざしていると言えるのではないか、と書いてある。うーん、途中まんまとスパイ映画を見ているような感覚になり、スパイ映画に興味のない自分は、むしろもっともっとガイド・ブックのようなものや、それこそ須賀さんの書く随筆のようなものを読みたいと思ってしまった。途中で出会う人々が、人間というよりわざとらしいキャラクターっぽく思えてしまって。でもそれは意図されたものなのだろうか? 途中、これはあとでメモしよう、と思った一文があったのだけど、読み終えたあとに戻って探してももう見つからなくて、見えていたものがいつの間にか消えてしまうこの感覚は、この作品の読了後の気分とぴったり重なっている。
- gato@wonderword2025年3月16日読み終わった再読『遠い水平線』を読んで『インド夜想曲』と同じ話じゃん!と思った記憶があるけど、読み直したら『遠い水平線』のほうが好きかな〜と思った。この話はどこまでも金持ちの西洋人視点だなと感じてしまう。タブッキはそんなこと自覚していただろうけど。
- mkt@mkthnsk2025年3月14日読み終わったなんとなく村上春樹さん味を感じてしまって、(出だしは🥦レボリューションと混乱したし)どこの国か何を読んでるか始終彷徨ってた。夢の中に入っちゃって境界が曖昧になってたのかな〜。面白かったんだけど、また落ち着いて読み直したい。 須賀敦子さん興味あるけど実はあんまり合わないのかな…とも思う。"塩一トンの読書"も何故か読む気になれず止まったまま。
- mkt@mkthnsk2025年3月13日読み始めた最初、旅の移動の様子がこの本の前に読んでたブロッコリーレボリューションと混同されてしまって何を読んでるか頭の中が少々混乱した。 徐々にインドへ移動。面白くなってきたところ。
- にょ@Yxodrei2025年3月12日読み終わったまた読みたい美と醜、喧騒と静寂、光と影、明瞭と曖昧が綯い交ぜになって共存している。混沌としていながらもどこか心地いい。曖昧さやミステリアスさに惹かれた。何度も読み返している。