

文箱
@hubaco
アイコン画像は映画『サマーフィーリング』のジュディット・シュムラさんです。GRAPEVINEのライブによく行きます。
- 2025年11月3日
江戸川乱歩作品集(2)浜田雄介読み終わった宝塚宙組公演の予習。まず江戸川乱歩の原作から。 乱歩をまとまった形で読むのは初めてかもしれない。日本探偵小説の父は探偵に万能の力を与えない。どの作品もここまで鮮やかに展開してきた推理が突然くるりと裏返るような衝撃のラストに驚かされた。 妖婦ものが集められた短篇集と呼んでいいかもしれない。乱歩の女性たちはいくら美しく魅力的でもまるで人間らしい感情を持っていない。男性の目に映る謎としての女性像。 - 2025年11月1日
もうひとつのエデンポール・ハーディング,小竹由美子読み終わったアップル島のギリギリな自給自足生活が実に清らかに美しく描かれている。だからこそ退去の場面のザッカリーの悲しみと怒りと絶望がいっそう胸を抉る。 アップル島の多民族共同体が極貧ながら豊かな精神生活を育んでいたところに米国本土の当局が乗り込んできて全て奪っていく、といえば加害―被害の構造は明確かもしれないけどそんな単純な話じゃないんじゃないかなあ。 こうした出来事は歴史上繰り返し起こっている。強制退去は重大な誤りだが、どうすべきだったのか、答えは簡単には出ない。 - 2025年10月26日
- 2025年10月19日
ガイズ&ドールズデイモン・ラニアン,田口俊樹読み返した@ 東京宝塚劇場月組東京の新公と本公演に行けました! 元ネタになっている章だけ読み返したけど「ミス・サラ・ブラウンの恋の話」実に味わい深い。サラにメロメロのスカイにうれしくなっちゃう。スカイの窮地を鮮やかに救うサラが胸のすくようで、ミュージカルはなぜかっこいいだけのスカイにしてしまったのだろうと首をひねるばかり。「血圧」を読むとクラップ・ゲームの仕組みや賭場の雰囲気がよく分かる。とてもよい参考文献(というか原作書)だから新潮社はもっと熱くヅカファンにアピールしたらよかったのに。
- 2025年10月13日
- 2025年10月12日
奥のほそ道リチャード・フラナガン,渡辺佐智江ドラマを見た祝・U-NEXTにて配信開始! 週末でじっくり鑑賞した。ジャスティン・カーゼル監督の真摯な演出は安心して見ていられる。『シン・レッド・ライン』のテレンス・マリックを彷彿する繊細な映像に胸が締めつけられる。 原作の圧倒的な力を超えていくことは叶わなくとも、小説世界が誠実に映像化されている。分量や主題の重さを考えると本も気軽には薦めにくい。ドラマが小説への良き導き役になるとよい。 - 2025年10月5日
- 2025年9月28日
- 2025年9月27日
ジェイムズパーシヴァル・エヴァレット,パーシヴァル・エヴェレット,木原善彦読み終わった見かけた本屋さんの特設コーナー(刊行直後からずっとある)で見たらもう4刷。 感想をちらちら見ていると『トム・ソーヤー』も『ハック・フィン』も未読だけどおもしろかったよという人が複数いるので、けっこうみんないきなりこれから入ってるんだろうか。 しかし、これを読んでから『トム』と『ハック』に戻るのもわりとしんどくないか。 本書については思うところいろいろあったけど、ハックが天使のようにかわいくて健気で、ヨシ!となりました。ハックはこうだろ。 - 2025年9月22日
- 2025年9月15日
ヒュペーリオン ギリシアの隠者ヘルダーリン読み始めた今日はライブ🍇 【後記】日比谷野音で〈Darlin' from hell〉をやって、大変!と慌ててヘルダーリンを読み出す。この後も何回かセットリストに入ったけど、最終的に〈KINGDOM COME〉と入れ替わった。
- 2025年9月7日
- 2025年9月7日
ユーモアの鎖国 新版石垣りん読み終わった@ 本の読める店fuzkue初台交換読書会で紹介された本。圧倒的に鋭い、強靭な感性。戦中と戦後をこういう言葉で表現し続けた女性がいる、という事実に励まされる。武田百合子さんの文章を読むときの喜びを思い出す。 - 2025年9月5日
イギリス人の患者マイケル・オンダーチェ,土屋政雄読み終わったリチャード・フラナガン『奥のほそ道』を読んでいて蘇ったので二十年ぶりくらいで読んでみた。むしろ『アレクサンドリア四重奏』であった。 詩的な文章、とても美しいのだけどアナロジーに乗っていけない。スリランカにルーツを持つ作家で、キップというインド人の英国軍工兵が登場するにも拘らず、なんとなくオリエンタリズムの香りが気にかかってしまうのだった。 - 2025年9月1日
- 2025年8月29日
日記の練習くどうれいん読み終わった交換読書会で当たり、半分ちょいまで読んだ。続きが気になる以上に読んでいた時の満ち足りた感覚を自分のものにしておきたくて、翌日買ってきて最後まで読み終えた。 チャーミングな文章、読む人を幸せにする文章ってあるなあと思った。簡素な中にぬくもりがあって。 くどうれいんさんはReadsでお名前がたくさん流れてくるのを見てなんとなく心に残っていた。こんなふうに御縁を結べてうれしい。 - 2025年8月28日
共謀綺談フアン・ホセ・アレオラ,安藤哲行気になる - 2025年8月27日
ストリートの思想 増補新版毛利嘉孝読み終わった夏休みで読み終えました! 自分がどれほど無思考・無批判のまま資本主義社会に組み込まれてしまっているか。オルタナティヴは必ずある。そちらに進む勇気と実行力があるかは別として。徒に悲観主義に走ってはならないという著者の戒めを心に刻みたい。 - 2025年8月27日
ストリートの思想 増補新版毛利嘉孝読んでるかれこれ一年近く、開いては少し読みまた寝かせ。執筆当時(2009年)の諸々の新たな動きをきらきらした語調で綴ってるのが、隔世の感を抱いてしまって。あれもこれも潰えた希望。 - 2025年8月25日
鶴 ――長谷川四郎傑作選 (ちくま文庫は-57-2)堀江敏幸,長谷川四郎読み終わったXを追わなくなって久しく、版元筑摩書房の激熱の紹介投稿も見逃していた。曰く、ものすごい作家、と。 降伏、捕虜生活、逃亡兵のお話ばかり。『シベリヤ物語』より読むのに時間がかかったのは、よりいっそう静かで果てのない牢獄のような世界だったから。後半の随筆「デルスー時代」を読むと作品の素材のようなものも窺い知れる。でも語り口がまるで違っていて、その落差に作家の矜持を感じた。
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