小さなことばたちの辞書

42件の記録
- 夏@apricity2025年4月26日読んでる「大事なのは、心の中でどんな自分でいるかなんだよ」 「あんたを赦すのは神の仕事じゃないよ、エッシーメイ」「それはあんたのほか、誰にもできないことなのよ」
- Matilde@i_griega_20252025年3月18日読み終わった19世紀末の英国で編まれた『オックスフォード英語大辞典』には、すべての英語を網羅するという目的があり、果てしない時間と手間のかかる用例採集は、本当に狂気の沙汰だったと思う。“すべて”とはいえ、採用することばは出典が文字で残っているものとするという編集方針もあり、男性優位の社会の中で権威と結びつかない、特に庶民の女たちのことばは辞書からこぼれ落ちていった。女性ですら口にするのがはばかられることば、でも確かに存在し、発すればその意味を理解してくれる人が確実に存在することば。編纂者の娘であるエズメは、辞書に入れてもらえないそんなことばたちを集めていく。 やりたいことにも人にも恵まれたし、不幸だったとは思わないけれど、エズメの人生には悲しいことがあまりに多すぎた。発情したからといってその人を愛せる訳ではない。でもその後、愛する人に巡り会えた。この辺りが実は一番グッときた。 史実とフィクションがいい塩梅で混じりあい、辞書編纂の文脈でもフェミニズムの文脈でも楽しめるし、エズメという架空の女性の大河ドラマとしても面白い小説だった。
- たま子@tama_co_co2025年2月28日読み終わった@ 自宅エピローグまでたどり着いたところでわたしの涙腺は崩壊し、朝食のパンを齧りながらぼろぼろと泣いた。鼻水を啜り、珈琲を飲んでは泣いた。これから先も長い長い戦いが終わることはないのかもしれない。それでも、ここまでたどり着いたのだ人類は…と思う。見落とされ、時の中に失われてしまう言葉に耳を澄ますこと。拾い集めて記録すること。そういうあり方が、どの時代にも、今も、いつだって足りていない。だけどそれをやろうとしている人がどの時代にもいて、何百年も先の誰かを救う。わたしにとっての言葉の定義がまたひとつ変わり、この本に出逢えた喜びに浸る。ピップ・ウィリアムズ…どんどん本を書いてほしい。余すことなく読みたい。
- たま子@tama_co_co2025年2月18日読んでる@ 自宅「あんたを赦すのは神様の仕事じゃないよ、エッシーメイ」リジーは耳元でささやいた。「それはあんたのほか、誰にもできないことなのよ」ーp287 エズメがひとつ、またひとつと言葉を集め、喪失や恥に塗れながら、ひとつ、またひとつと乗り越えてゆく姿を見つめる。周りでそれを支えるようにして、ほんとうは同じくらい右往左往とする者たちを見つめる。生きていこうとすることへの重みとだるさ、時に目を見張る鮮やかさに息を呑み、恐ろしくなり、そして安堵する。