金閣寺

23件の記録
- 時雨崎@rainstormbook992025年7月5日読み終わった現代の「無敵の人」を彷彿とさせるが、無敵の人にすらなりきれない小心者。どこまでも滑稽。 吃音ゆえに卑屈で自意識過剰で捻じ曲がった自己愛と破滅願望で独りよがりの傍迷惑な振る舞いをする男が、幼い頃より金閣寺に歪な美の憧憬と理想を抱き、初見で公式(実物)と解釈違いを起こすわ何かにつけて金閣寺金閣寺と執着し人生の大体の不都合は金閣寺が己を狂わせているからであると自己完結する。そして金閣寺を燃やす。 老師が自分のことをどう思ってるのか、叱りつけにくるのか、あの振る舞いは敢えて自分に対してやっているのか、などと自意識過剰ぶりを暴走させる描写が生々しくて嫌な共感を呼ぶのがかなり最悪で卑屈人間の思考パターンの理解が深い。最悪! 老師は面倒だなぐらいしか思ってなさそう。君が期待するほど世間は君のことなんて気にかけないし構いもしないよ。 頻繁に分からん単語を引く羽目になっているがちょっと古い表現ってかっこいいよね。厨二病から逃れられない。 日本語って…美しいよね…!わかる。 "その人生には自然さも欠けていれば、金閣のような構造の美しさも欠けており、いわば痛ましい痙攣の一種に他ならなかった。" "そのとき金閣が現れたのである。威厳にみちた、憂鬱な繊細な建築。禿げた金箔をそこかしこに残した豪奢な亡骸のような建築。近いと思えば遠く、親しくもあり隔たってもいる不可解な距離に、いつも澄明に浮かんでいるあの金閣が現れたのである。" こんな文章を学生の頃に浴びたら100%影響される。間違いない。こういうかっこつけを絶対真似してしまう。
- ヨル@yoru_no_hon2025年6月23日読んでるまだ読んでる第六章を読み終わる。溝口や柏木にのみ込まれ少しずつしか読み進められない。破滅的な方へ着実に進んで行ってるのがわかるからこそ、ここはゆっくりと読みたい。
- 読本獣@GODZILLA20012025年6月7日読み終わった表現力と文章力、そして個性の持たせ方。彼の文学に他が見えなくなるほど虜になった。 YouTuberに確か「三島由紀夫の金閣寺を100回写経して小説家になる」的な人がいて、今の今までお笑い芸人かと思っていたけれど、なるほどなぁ。 すごいんだもんなぁ… 「おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な1回性を持っていなかった。人間は自然のもろもろの属性の1部を受け持ち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、繁殖するにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼす為ならば、殺人とは永遠の誤算である」 「安心するがいい。こういう男の行為は1つの書式に署名するようなもので、童貞を失っても、彼は決して「ちがう人間」などになりはしない」 起承転結でなく、精緻な内面の移ろいに、その描写に熱中した。そしてうっとりした。 次は三島初の書き下ろし長編「仮面の告白」
- ヨル@yoru_no_hon2025年5月20日読んでる「五月の夕方など、学校からかえって、叔父の家の二階の勉強部屋から、むこうの小山を見る。若葉の山腹が西日を受けて、野の只中に、金屛風を建てたように見える。それを見ると私は、金閣を想像した。」(p5~6より引用) 「吃りは、いうまでもなく、私と外界とのあいだに一つの障碍を置いた。最初の音がうまく出ない。その最初の音が、私の内界と外界との間の扉の鍵のようなものであるのに、鍵がうまくあいたためしがない。一般の人は、自由に言葉をあやつることによって、内界と外界との間の戸をあけっぱなしにして、風とおしをよくしておくことができるのに、私にはそれがどうしてもできない。鍵が錆びついてしまっているのである。」(p7より引用) ちょうど五月に読みはじめている。「若葉の山腹が西日を受けて、野の只中に、金屛風を建てたように見える。」や「その最初の音が、私の内界と外界との間の扉の鍵のようなものであるのに、鍵がうまくあいたためしがない。」など、文章の美しさや比喩表現にぐんっと引き込まれる。わたし三島由紀夫けっこうすきかも!!となっている。まだまだ序盤。
- ヨル@yoru_no_hon2025年5月18日読み始めた田植え。昨日は雨降りで天気に振り回されながらの作業だったけど、今日は曇りの予報だから大丈夫そう。むしろ快晴なぐらいで、風が心地よい。無事に終わるといいな。 朝になんとなく『金閣寺』を開く。まだ冒頭。 三体Ⅱ、ハウルと共に読むつもり。
- pamo@pamo2025年3月17日買った読み終わった感想文章があまりに美しすぎる。直接描写せずに読者に理解させる、表現力に脱帽。 誰かに愛されたいという渇望とどうせ愛されないという諦めの同居する心。聡明な大人ならば不器用な自分の内面を理解して可愛がってくれるはずだという幼稚な期待。明るく照らしてくれる友人よりも、沼へと引きずりこむ悪友に惹かれてしまう無防備さ。 全てが青春期に思い当たりすぎてつらい。 結末に向けて、確実に訪れる破滅へと向かっていくのが感じられてどんどんつらい。
- 村崎@mrskntk2024年1月8日むかし一度読んだきりでしたがなんか急に「そうだ、金閣寺を読もう!」となった。 文章がやっぱりかっこいいんですけど、主人公の溝口の金閣寺に対する病的なまでの愛がところどころでおもしろい。ことあるごとに金閣の幻を見てしまうのですが、ときには女性の乳房も金閣に変貌してしまう、それはさすがに難儀じゃない?