無機的な恋人たち
13件の記録
Hinako@Lady_Hinako2025年10月20日読み終わったラブドールと共に生きる人々がさまざまな形で登場する。ロボセクシャル、ドールの夫、異性愛者、ドールフェティシスト、そしてドールを友人として見る人など、それぞれが異なる立場からドールと関わっていた。読み進めるうちに、それらは明確に分けられるカテゴリーではなく、ジェンダーと同じようにグラデーション的なスペクトラムとして存在しているのだと感じた。 私は異性愛者であると同時に、拘束という状態そのものに性的興奮を覚えるフェティシストだ。何らかのフェティシズムを抱える人々を対象に動画を制作・販売して生計を立てていることもあり、「性とは何か」「フェティシズムとは何か」「愛とは何か」という問いを、日々自分の中で反芻している。そうした中でこの本を読むと、「恋愛」や「結婚」というものの輪郭が、いかに人間至上主義的な異性愛規範のもとで形成されてきたかが、よりはっきりと見えてきた気がした。 現代の資本主義社会では、「恋愛」や「結婚」が美化され、パッケージ化された理想として私たちに商品のように提示されているように思う。多くの人が夢見る恋愛や幸福な結婚生活は、実際には実現が難しく、その乖離は未婚率の上昇や少子化の問題にもつながっているのではないだろうか。恋愛という概念が幻想として商品化されているからこそ、それに違和感のある人々が、人間以外の存在――アニメキャラクター、ドール、AI、無機物など――に愛情を見出すことは、むしろ自然な流れのようにも感じる。 私は、こうした人々の姿に、人間中心主義や恋愛至上主義から自由になろうとする試みを見た。ドールやAIと生きるという選択は、現実逃避ではなく、新しい幸福の形の一つなのでは無いかと私は思う。最近は個人的にオタク文化の研究をしているのだが、すでに20年前から同じような発想をしていた人がいたことも知り、強い興味を抱いた。 VRやAIがさらに発展していく未来には、いま「二次元」とされている存在が、三次元的、、つまり現実のものとして”感覚的”に自然に受け入れられる日が来るのではないかと思う。恋愛やパートナーシップの形が、もっと多様で柔軟なものとして認められる未来を、私は少し楽しみにしている。













