かたぎり
@katagiri888
- 2026年6月25日
死にがいを求めて生きているの朝井リョウ読み終わったまだ読んでるこの本で一つだけ気になったことがある これは螺旋プロジェクトというシリーズものの中の一つであることがずっと引っかかってしまっている 私はこの作品1つで完璧に完成されていると思っている でも、私が初めてこの本を書店で見つけた時に出されていた広告が「山族と海族の対立という共通の設定を持って描かれた大きなプロジェクト」として大々的に出ていた そしてそのイメージを持ちながら読んでしまったが故に本の序盤で山族海族の話が全く出て来ず、一旦読む手を止めてしまった 序盤がいつになったら描かれるんだ?という退屈な時間になってしまった もし、螺旋プロジェクトだと知らないまま出会っていたらあの序盤のスロースターターなところで退屈だなんて思わなかったんじゃないだろうか 海族と山族の対立の物語ってどんなんだろうと思って興味を持って読むか、「死にがいを求めて生きているの」というタイトルと表紙だけで得られる情報で読むか、で序盤の読みやすさはだいぶ変わると思う タイトルも内容もシリーズ化せずともキャッチーで読みたくなるものだと私は思う その入り口から入ってしまったが故にうーん……とモヤモヤしてしまう自分がいるのが非常に悔しい 別に螺旋シリーズを否定したい訳ではない この本がこの一冊で完結して欲しかったという我儘だ それにシリーズ化するなら「死にがいを求めて生きているの」の登場人物の深掘りや続編で、同じ作者が書くものなら見たいと思う 他の螺旋シリーズを読んでいないからこのようなことを言うのかもしれない もしかしたら他の螺旋プロジェクトを全部読んだら書店の売り方も納得するのかもしれない でもその為にはあと7冊読まないといけない 私はこのモヤモヤの為に螺旋プロジェクトに乗り込むのは目的と手段が逆になっているように感じてしまう それにこのモヤモヤは他の人のレビューを見てもそう思う 他の人のレビューの中に「螺旋プロジェクトの中ではちょっと異質」という意見もある そう、プロジェクトの中に入ったことにより、個としての評価が下がるとはこの本で描いたことそのものではないか? そう思えてしまってならない - 2026年6月25日
死にがいを求めて生きているの朝井リョウ読み終わったとても良かった、自分の中の苦しみの正体を綺麗に描いてくれていた 人間はストーリー理解する生き物であるとラジオで聞いた 人類が生まれて平和な時代は長く続かない 人類のほとんどが平和を望んでいるはずなのに、なぜ?どうして? 人間はそこに名前をつけて、カテゴライズして、理由づけしたがる そうしなければ理解できないから、そうやって噛み砕いて細かくして飲み込まないと脳に吸収されないから 脳に吸収するために生んだカテゴリは区別から差別へと変わって、平和を求める為の理解は対立を生む手段となってしまった 目的と手段が逆になる、本当によくあることだと思う でもどちらが先かなんて気にしているのは人間だけかもしれない、動物はきっとどちらが先か考えていない もしかしたら目的も手段も順番なんてどっちでも良いのかもしれない そういうの全部取っ払ってただある現象を「そういうものだから」で受け止められればどれだけ良いか それができない私にとって、この本はとても刺さった 死にがいを求めて生きているの、というタイトルはすごく洗練された言葉だと思う この言葉を、この本を、噛み砕いて細かくして飲み込んで体の一部として取り込んでおきたいと心の底から思った一冊だった - 2026年6月1日
十戒夕木春央読み終わった方舟が話題になっていて、方舟→十戒の順で読むべきという意見も多かったが、図書館に十戒しか見当たらず先に十戒から読むことに 構成としてはとても面白い 必ず2度目を読みたくなる仕組みになっているのが作者の上手い書き方だと思った だが、個人的には現実味が薄いというかルールが性善説に頼り切った構造なのがずっと気になってしまった 監視カメラやセンサーなどの設備が整っている訳でもない状態で、全員の言動を本当に掌握できるのか?という疑問がずっと拭えなかった あとは島一つ簡単に爆発できる爆弾というのも想像しづらかった 定期的に持ち物検査がある訳でもなく、割と自由行動は許される中、犯人の思惑通り事が進んだ事自体が個人的には奇跡に近い気がした あとは特定の人物以外の特徴や魅力がとことん削られていて、感情移入できる先がなく、どことなく俺TUEEEE感のある1人の人物以外が何も考えてなさそうに見えた 私が頭が悪いだけで爆弾の脅威に理解が追いついてなかったのかもしれないが、設定として弱いと思ってしまい、これはこういう物語だから!という押し付けに見えてしまった 結論、自分にはあまり刺さらなかったなぁという印象、逆に頭の良い人ほど混乱しそうだと漠然と感じた すすめられたものを順番通読むべきだったのかもしれない 方舟を読んだ後に評価が変わることを期待する - 2026年5月29日
殺人出産村田沙耶香読み終わったかつて読んだ自分の今の価値観があやふやになる本 自分が今、正しいと思ってること常識だと思ってることが未来永劫続くわけ無いと理屈では分かっていてもそれを信じ続けてしまう私にはとても強烈な作品だった この作品をSFだ、と認識するのはちょっと危険な気がする ありえない世界の話だと思って自分に関係ないと距離を置いたとしても、世界は自分の想像した通りに変わっていくわけじゃない かつて日本にいた侍や平安貴族がほぼ全国民が当たり前のように手のひらサイズの板で世界で繋がれることを予測できなかったように、世界は時間と共に予測不可能に、ありとあらゆる変化が起こる 10人産んだら1人殺していい社会を有り得ないと感じた私達が1000年後には歴史の教科書で衣服や食文化の紹介をされている 1000年後に歴史を学ぶ時間や教科書という概念があるかすら分からないが、今の乏しいわたしの想像力ではこう表現するしかない 時代は変わっていく、それによって価値観も人の生き方も正しさもどんどん変わっていく 現代だってコロナの影響で通勤通学が当たり前だったのが在宅という形が生まれたり、ほとんどの人が現金ではなくスマホで支払いするようになり、テレビの有名人よりSNSでの有名人の方が知名度が高くなってきた 古い文化がどんどん殺されていき、新しい文化がポンポン生み出される 正しさで成り立っているはずの社会、でも正しさは社会の成り行きによって変わる 社会が先にあるのか、正しさが先にあるのか 私達が今やっていることが正しいことなのか、間違っていることなのか、分からなくなる だからこそ自分で選択して納得していくしかない 心の底から良い本だと思うし、読んで良かったと心の底から思った - 2026年5月28日
何者朝井リョウ読み終わった名言がいくつもある良い作品 自分は大学に行けず、就活をしてなかったから傍観者の目で見ることしか出来なかったけど、大学生の年齢当時は自分を否定しない為に大学生になった同級生を主人公と同じような目で見ていた気がする 読めば読むほど心が痛い、耳が痛い だからどうしても本の内容を否定したくなる 自分にとってこの本は劇薬だった SNSで一生直接関わらない人の声が聞きやすくなった 友人の休日の様子が事細かに分かるようになった 自分の考えを言語化して、簡単に誰かに共有できるようになってしまった 他人と比べないように生きようと思っても、他人と自分を比べる環境が整いすぎている現代社会 毎日に生き死にが関係しなくなった安全な社会で生きる現代人の不幸を凝縮して描いてくれた作者にあっぱれ - 2026年5月18日
わたしに会いたい西加奈子読み終わった女性として生まれてきたら一度は読んでほしい作品 共感できることも、想像もつかないことも、理解できても納得できないことも、いろんな形で表現されていると思った ただ、コロナ禍を生きた女性には刺さるかもしれないが、これから先、コロナが歴史となって風化された時、この本がリアルを描いたものではなくファンタジーになった時、きっとこの本の価値は下がってしまう気がした まだ間に合う コロナや平成から令和は変わった頃の女性人生を経験してきた女性たちへ あの感覚を忘れないうちに読んでほしいと心から願う - 2026年5月17日
あなたが誰かを殺した東野圭吾読み終わった東野圭吾さんの本は基本的に評価が高いので読んでみた。 王道ミステリーとしてとても良い作品だと思う ただ、王道ミステリーの難点が登場人物が多すぎて、読者がまず登場人物を把握するところからスタートするところがやはり自分には合わなかった 確かに重厚なミステリーを描くには、多くの人物を出して、その人物関係を拗らせれば拗らせるほど読者を騙す手段となる でも、それは果たして本当に私にとってのミステリーなのかどうか、ふとそう思った 個人的には情報と名前を結びつける穴埋めクロスパズルをさせられているような感覚で、私はそこに感動を見出せない人間なのだと気付いた それと今回の登場人物たちが自分にとって遠い存在だったのも刺さらなかった一因だと思う 別荘を持つお金持ちたちの話なので、ワンルーム暮らしを長く続けている自分には到底届かないような人達の痴情のもつれを聞いても心に響かないのはお金をもたぬ故の心の貧しさからくるものなのかもしれない この作品でマーダーミステリーが作成できるほどの名作ミステリーであることは間違いない 自分が王道ミステリーを読むことをそこまで好いているわけでもないことに気付けた 良い読書体験だったことに間違いはない - 2026年5月12日
レーエンデ国物語多崎礼読み終わったファンタジー小説と聞いて心がワクワクして読んだ本 個人的には合わなかった、無念 以下、個人的に合わなかったところを話します この小説が好印象だった方にはこの先読むことはお勧めしません 体感はドラクエやFFの主人公の勇者が生まれるまでの親たちの話みたいな感じ ユリアもトリスタンもあまり主人公っぽく思えない、歴史上の人物で、歴史を描いた物語って感じがした 物語の大まかな流れや事の動きみたいなものを描写することに重きを置きすぎていて、個人の心理描写が突然入ってくると戸惑う感覚があった トントン拍子で進む計画や恋愛模様がどうしても都合が良いだけの展開に見えてしまって、どこにも感情移入できず終わってしまった 病についても、残酷で悲惨なものだと物語上語っているものの、その実情はアッサリと「死んだ」としか書かれておらず、自分にはあまりその病の残酷さみたいなものは読み取る事ができなかった レーエンデという土地の美しくも恐ろしいものだと描くのであれば病についてはもっと詳しく、丁寧に、どう苦しんで、どう死んでいってしまうのかみたいなものを描いてくれた方が理解しやすかった まぁでもこの本の目的は物語の土台を作る事、この先に生まれる物語の為の下準備のようなものだと感じたので2以降に期待……という感じではあるが、自分の思い描くファンタジーものとは見え方が違うようなので、2以降を読むかどうかはまだ悩み中 - 2026年5月7日
アリアドネの声井上真偽読み終わった良い作品だと思う けど、自分にめちゃくちゃ合うわけではなかった 以下その感想 この小説が好印象だった方はご注意下さい ドローンの描写に力を入れすぎている、と感じてしまった YouTubeショートで視えない、聴こえない、話せないという障がいを持った人をどう救うのか、と紹介されていて、確かにどうやって救ったのだろうか?と気になって読んでみたはものの、中身はどちらかと言うとドローンについての紹介文みたいな部分が多く、確かにドローンについては詳しくはなれたが、障がいを持った人を救済する物語にする必要があったのか……?という疑問を持ってしまった ドローンに対して未知な読者に対して分かりやすく説明してくれているのは分かる、けど物語の半分くらいがドローンについての語りのように感じた 個人的に読みたかったものはもし本当に災害時にこのような障がいを持った人を救うためにできることはなんなのか?というテーマだったんだと思う そこに関しては途中で「もしかして障がいを抱えていないんじゃ……?」みたいな疑いが入るほどで、やっぱり障がい者を救う描写よりも、救う側の難易度設定の為の障がい者のように感じてしまった 最後の展開には驚かされたし、あの部分に関しては本当に良かったと思う 自分が想定していることよりも、もっと世界はわかりやすくて美しかったという描写には心が打たれた - 2026年5月4日
推し、燃ゆ宇佐見りんかつて読んだ一度目に読んだ衝撃を忘れられなくて再読 1回目読んだ時は共感という枠組みを超えて読書とは思えないほどの痛烈な体験をして、涙を流して感動するとか、何度も読み返したくなるとかじゃなく、ただただ一人の人生を追体験させてもらったかのような感覚があった 初めて読んだ後はその感覚が強烈すぎて、とりあえず同志を探して、知人に読ませて30分ほど語り合って、note記事にまとめて、それでも興奮冷めやらぬ自分を覚えている 自分の中ではとても刺さる本だった、そう思う だが、他人が読んで同じような体験をするかと言われたらそれは違うと思う 人によっては物語の謎も明かされなければ、主人公の大きな成長を見れるわけでもない為、面白くないと評価されても納得はしてしまう でも、私はとても好きだった もう一度読んでみた感想としては表現が全て鬱くしいとそう思った 漢字を当てるなら「美」よりも「鬱」だと思う、でも私にとってこの本の表現のあり方は私の心を強く動かしてくれるものがある 言葉の一つ一つが美しいのに、表現しているものが鬱蒼としすぎていて、単語一つでどう褒め称えて良いか自分には思い当たらない この本は物語というよりも芸術に近いのかもしれない
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