

ばやし
@kwhrbys_sk
思いがけない興味をもらえる本が好きです。一冊ずつ本棚に並べていく気持ちでゆるく書いています。
- 2026年1月26日
熱源川越宗一読み終わった感想一方的に文明の変化を押しつけられ、故郷を奪われた北海道育ちのアイヌと国を失ったポーランド人が、国の狭間で揺れる樺太(サハリン)にて邂逅する。 19世紀の終わり頃、国が不安定に揺れ動く時代において、人種や民族を優劣と混同して、理不尽に淘汰しようとする勢力は実在した。 それでも、屈することのない意思に火を灯して、熱を帯びた志で対抗する彼らの軌跡が、雪上の轍のように物語には残っている。 凍てつくような島で迸る2人の衝動が、弱肉強食の摂理で動く世界に異を唱える。湧き上がる熱の源を肌で感じた物語だった。 - 2026年1月26日
- 2026年1月26日
オオルリ流星群 (角川文庫)伊与原新読み終わった感想28年ぶりに再開した高校の同級生たちは、手作りで天文台を建設する計画に協力するうちに、過去の記憶と現在の生活を顧みる。 歳を重ねていくにつれて、綺麗な思い出だけが美化される。でも、相対的に見つめられる現実は燻んでいても輝かしくても、手に触れられる。 だからこそ、幸せな日常であろうとなかろうと、次第に目の前の生活に慣れてしまう人は多いのかもしれない。 そう思うと、上空に果てしなく広がる宇宙は、やり場のない鬱屈とした感情や閉塞感が漂う目の前の現実を晴らしてくれる。今、作品のテーマになりやすい理由かもしれない。 - 2025年12月6日
- 2025年11月12日
兄の終い村井理子読み終わった感想たった5日間で済んでしまう兄の終い。短い時間だけど切っても切り離せないつながりと、愛憎こんがらがった悲喜交々な思いが一息になだれ込んでくる。 加奈子ちゃんの肝の座った快活さを目の当たりにして、満島ひかりさんが演じる映画も楽しみになった。 - 2025年11月12日
消滅世界村田沙耶香読み終わった感想人工授精で子供を産むことが定着した世界で、不変とも思えた恋愛・結婚・家族の形に翻弄される人々。 想像もつかない世界の話なのに、今、生きている現実と断続的に接続されているような感覚になる。何が正常で、何が異常なのか。何度も線を引き直した。 - 2025年11月12日
ミーツ・ザ・ワールド金原ひとみ読み終わった感想生きている世界が違う。そんなありきたりな言葉を飛び越えて、歌舞伎町では今日も出会うはずのない人々が出会っている。 虚ろさと確かさのスパイラルの中で、誰かの世界を丸ごと救おうとする無謀さにこそ、消えない光が宿るのかもしれない。 - 2025年11月12日
カフネ阿部暁子読み終わった感想傷つき疲れた心と身体を労わるように、丹精込めて差し出される料理の温もり。 食べることがもたらす豊かさは、誰かの手の届かない生活だけではなく、2人のシスターフッドを優しくふっくらと炊き上げていく。 作ることの思いやりをお裾分けされた気持ち。 - 2025年11月12日
俺ではない炎上浅倉秋成読み終わった感想不確かな情報を精査せず、半自動的に拡散する人がごまんといるSNS時代において、この物語は決して他人事ではなくて。 真実への道筋を有象無象の情報が撹乱していくたびに、恐怖よりも徒労感や可笑しみを覚えた。映画化してるけれど、阿部寛は一体どうなってしまうんだ。 - 2025年11月12日
君の顔では泣けない君嶋彼方読み終わった感想設定としての男女の入れ替わりではなく、借り物の体だと自覚しながらも、互いの人生を現実的に生き抜いていくために葛藤する姿がリアルに描かれる。 映画化めちゃくちゃ難しいと思うけど、あの芳根京子とあの髙橋海人が演じるのは楽しみ。 - 2025年8月19日
BUTTER柚木麻子読み終わった感想価値観もジェンダー観も登場人物たちへの印象も、読み進めていくうちに何度も塗り替えられる。というか上から塗りたくられていく。 濃厚な味わいのする料理描写が文章にはみっちりと詰まっていて、もはや胃もたれしそうなほどだった。バターって罪深い。 - 2025年8月3日
恋に至る病(1)斜線堂有紀読み終わった感想愛と狂気をすげ替えながら、平衡感覚を失わせるようなストーリー展開で、心を落ち着かせる暇がまったくなかった。 映画化に際して読んだのだけど、これはどう映像で見せるんだろうか…ぜんぜん予想がつかない。 - 2025年8月1日
- 2025年7月25日
藍を継ぐ海伊与原新読み終わった感想ドラマで観た『宙わたる教室』は、最終話で気づいたら涙がこぼれていた。そんなドラマの原作者であり、ずっと読んでみたかった伊与原新さんの直木賞受賞作。 知らなければ何でもないような石や鉱物。そこに込められた想いや祈りに気づく人は、もしかしたら少ないのかもしれない。 でも、一瞬の煌めきにひとたび手を伸ばせば、その光はいつまでも消えずに、心の天窓から射し込み続けるんだろう。 - 2025年7月13日
編むことは力ロレッタ・ナポリオーニ,佐久間裕美子読み終わった@ 自宅“糸と針と勇気があれば、何度でも編み直せる。セーターも人生も、分断されたこの社会も” 長い歴史の中で、女性にとって「編む」ことがどのようなツールだったのか。どれほどの力で社会を繋いできたのか。著者の経験も編み込まれたエッセイで、洗練された言葉が胸に刺さる。惹句もすばらしい。 - 2025年6月21日
- 2025年6月21日
- 2025年6月20日
砂嵐に星屑一穂ミチ読み終わった感想昔、置いてきぼりにした感情を今さら拾いにいくのは小っ恥ずかしくて、その労にはてんで似合わない勇気が必要で。 でも、きっと拾いに行かないと見えない景色があるから、後戻りする道が残されているのかもと思う。 一穂ミチさんはざらざらとした感情でも日常のすぐそばにある表現で書いてくれるので、心にグサッと刺さる言葉でもすんなりと飲み込むことができるのかもしれない。 - 2025年6月13日
- 2025年6月13日
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