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六花
六花
@rikka-momohana
読みの記憶。
  • 2026年6月30日
    明治のナイチンゲール 大関和物語
    朝ドラ「風、薫る」の原案。りんのモデルとなった大関和の物語。看護婦という職業の礎。特に直美は、モデルの鈴木雅からかなり脚色されている。キリスト教の信仰と結びつく歩み。待遇改善など初期から提起されていたのもわかる。この隣には女医の先駆者もいたわけで、その関わりを知りたい。日本基督教婦人矯風会の再評価も必要ではないか。
  • 2026年6月20日
    もうひとつの「若草物語」
    『若草物語』の初邦訳を手がけた「北田秋圃」とは誰なのか、をめぐる好奇心。初邦訳の際のタイトルは『小婦人』。キリスト教、英語、家庭小説、恋愛をめぐる場面などは省略されていたり。もうちょっと踏み込めないか、ともどかしい気もしつつ、若松賤子からの系譜を感じる。
  • 2026年6月11日
    虎と月 (角川文庫)
    中島敦『山月記』を、「虎になった」李徴の息子の視点から描く冒険譚。「虎になった」父親の真相は、『山月記』とも『人虎伝』ともちがう、正義感からの……。うかがえる主題もまったく別物。賛否あるかも?
  • 2026年6月6日
    桜子は帰ってきたか
    印象的なタイトル。ドラマ版を見た遠い記憶がある。歩いて、歩いて、歩いて……。狂気に支配された、敗戦の混乱の中にあった満州から、桜子は帰ってきたか。36年後に明らかになる悲劇と謎。クレちゃんの献身。世津子の桜子への嫉妬。戦争に翻弄され、誰もが生きるために懸命だった。
  • 2026年6月2日
    トリカゴ (創元推理文庫)
    無力さを思う。コロナ禍が舞台である理由もある。制度のひずみに落ちてしまう弱者。「どうして今まで、誰も教えてくれなかったんだよ! 住民票だとか、生活保護だとか。俺、いくつも役所を回ったんだぞ。助けてくれって言ったんだぞ。それでダメだったから」。制度の改正が窓口の公務員にも周知されず、救済されなかった。無戸籍でも本当は、学校に行けたのに。住民票が得られたのに。ハナでも桃花でもなく美咲だった彼女。これから花を咲かせるのだ、「外の人」の力を借りて、取り戻していく。あのコミニュティはそれでも、ユートピアだった。巣鴨子供置き去り事件を思い出す(あ、鴨、トリだ)。
  • 2026年5月23日
    笑う四姉妹 ひとつの庭と四つのおうち
    何度も嗚咽。光源氏という男が女たちを四季に配して大邸宅を作ったのとちがい、桜子、梅乃、桃音、李花と春の名前をもった四姉妹が一つの庭を真ん中に四つの家を建てて暮らす。昭和から令和へ。「大人なんかこの世にいないよ。いつまでもうっすら子どもの人間がいるだけ」「いつまでも後悔だらけで、未熟なの。それが人生」等、グッとくる言葉が。記憶は宝石。失踪したままの父親も含め、男の存在感が希薄。女たちの物語だ。東京ブギウギィ、リズムウキウキィ、心ズキズキワックワックゥ🎵
  • 2026年5月18日
    黒牢城
    黒牢城
    映画鑑賞の前にと思って。有岡城という巨大な密室におけるミステリーといえば、確かにそう。しかし、人は何を信じるのか、人は何を支えに生きるのか、救いとは、という根源的な問いを深層に抱えた物語。会話劇。村重が聞くべきは、官兵衛の声ではなく、千代保の言葉だったのかも。もっと早くに。
  • 2026年5月5日
    罪の轍
    罪の轍
    実在の誘拐事件をモチーフにした、戦後まだ間もない昭和の時代の警察小説。重厚感。やるせない。愛されたことのない寛治、逃走しながらも刑事に電話をかける。約束を守ろうとする、その矛盾した悲しさ……。「莫迦」と罵られてきた寛治の話を、刑事たちは、検察は、聞いてくれたのだ。全体主義から解放され、それに 反発した時代の空気。東京五輪の準備が進んでいた。
  • 2026年4月30日
    さよなら、ニルヴァーナ (文春文庫)
    圧巻。あの事件がモチーフになった虚構。今日子も莢もなっちゃんも、少年Aも、みな「母」に苦しんでいる。莢の「私がお母さんになったら、私のところに生まれてくればいいね」「悪いことしたら、きちんと叱ってあげる」に泣く。莢の腹痛は象徴的な喩なのだろう。お父さま、神さまとは。さよなら、ニルヴァーナ(涅槃、解脱)。生きて、書いて、苦しみ、迷う、そうしてから死ぬのだから。もっと地獄を生きる。「中身」を見たい、それを書きたいから、因果のただなかにいる覚悟。作家の業だ。紫式部も地獄に落ちたとも言われる。
  • 2026年4月18日
    ある少女にまつわる殺人の告白
    児童虐待をめぐるミステリー。それぞれの立場からの告白から、「事実」がどんどん変わっていく。巧みな構成力。暴力が人々の運命を変え、人々がそれぞれに「罪」を犯してしまう。いや、ある少女=亜紀ちゃんにはあやしい魅力やしたたかさもあり、人の運命を狂わせもする。読者とともに亜紀ちゃんにまつわる殺人の話を聞いた、その人は、これからどうするのだろうか。無力さも本当だ。二筋の思いに引き裂かれる読後感。
  • 2026年4月11日
    漂う子
    漂う子
    リアルな事件を受けて、現在は制度も少し変わっているのだろうけれど、「漂う子」たちの現実に言葉がない。小説の中のことだけではなく……。無力さを感じる。同時に、最後に自ら父親の手を離す少女の行方の先に救いがあることを祈る。「あたしはもう、一人で生きていける」。幼い子どもに、そんなふうに思わせてはならないのだ、本当は。その少女の姿は人波に消えていく。親とは何か……。
  • 2026年4月1日
    遠の眠りの
    遠の眠りの
    大正末期から昭和の敗戦までの、福井を舞台とした物語。父親の支配的な家、女工、「青鞜」、百貨店、少女歌劇団、看板女優の「少年」、労働争議、戦争。自我を目覚めさせ、お話(テクストという織物)をつくる絵子。焼け野原に立つ絵子は、最後、どこに向かったのか。学校のようなものを想起しつつ、「どことも知れないところへ」。女たちは「難民」であり、この物語には達成感はない。でも、もしかしたら、絵子は……。この戦争が終わるまで、生き延びて、逃げ切りましょう」。
  • 2026年3月20日
    泡
    不登校になってしまった高校生の薫、シベリア抑留から帰還したものの家族から受け入れられなかった大叔父の兼定、兼ね定の店に流れ着いた岡田の、世代のちがう男たち。「泡」を身体から吐き出すようにしながら生きていくこと。岡田の過去は明かされないが、社会と積極的につながらない人も、どこかで時代を背負っている。岡田は「集団を出て、それから集団を恨みはじめたら、痛手を負うのは君なんだ」と言う。
  • 2026年3月17日
    ミス・サンシャイン
    大学院生の岡田一心と伝説の映画女優の和楽京子こと鈴さん、二人の響き合う過去の痛み。戦争、原爆によって奪われたもの、それでも……。影にはしたくない、あの子のことを。彼女もそれを望んでいない。だから、話してこなかった。それを、女優人生の整理の手伝いに来た一心が見つけた。彼女は亡くなり、鈴さんは、和楽京子は生きた。彼女たちの叫びが聞こえる。返せ! 返せ! 返せ!
  • 2026年2月28日
    真知子
    真知子
    『森』に続けて、時間をかけて読了。ブルジョア階層にありながら、実態はそれほど豊かでもない中でもがいていたり。社会学を大学で聴講し、革命運動に身を投じる男性に惹かれるものの、親友の米子が彼の子を身ごもり……。『傲慢と偏見』の翻案だとか。昭和初期、結婚に「運命を支配されちゃたまらないわ」と言う真知子、確かに教養も思想も、愛する心も持っている彼女は、華々しい活躍を見せなくても、自立に苦しんでいても、「新しい女」だ。『森』に生きていた少女たちからつながっている主題がある。
  • 2026年1月28日
    空を駆ける
    空を駆ける
    「小公子」をはじめて邦訳した若松賎子(カシ)の波乱の生涯。戊辰戦争をくぐり抜け、家族から離れた孤独な少女が、フェリス・セミナリーという「ホーム」を得て、語学や文学の知識、才能を磨き、自分の言葉で意見を述べるようになる。翼を広げて巣立ち、結婚して妻、母になり、物書きになった。理想を追い求める岩本善治とは何だっかのか、と思ってしまう。彼へのある種の絶望が、彼の元から賎子を飛び立たせたのかも。「花嫁のベール」の詩のように。フェリスに残っていたら、もう少し長く生きられたかもしれない。でも、親鳥の「ホーム」から飛び立たねば、「小公子」を世に送り出すことはなかったのだろう。国の方針によって翻弄される、女子教育の問題も。
  • 2026年1月4日
    蝶のゆくへ
    相馬黒光の物語。斎藤冬子、島崎藤村、佐々城信子、国木田独歩、若松賤子、樋口一葉など同時代の人々の激しく悩ましい恋と黒光の抑制的な生き方、結婚後の中村屋のサロン、荻原守衛とのひそかな魂の触れ合い。説明的な文章ながら、恋と革命の時代の息吹を感じる。
  • 2025年12月31日
    君を狂気と呼ぶのなら
    『星の子』に続いて宗教2世の物語。一気読み。ライトノベル的ながら、カルト教団の闇を描く。洗脳の恐ろしさ。あの事件以降、今はもう『星の子』のようには書けないのかもしれない。凄惨な宗教虐待を、後半、ジャンヌ・ダルクになろうとして犯す、非現実的でさえある復讐の凄惨さで、ある意味、バランスをとっているようにも感じた。彼女を救うのは、偽りの十字架ではなく、初恋の十条くんだった。家族を守りたかっただけだったのに。世間の無関心も、彼女を虐待していたに等しいのだろう……。ジャンヌ・ダルクにしてはいけない。
  • 2025年12月30日
    文庫 星の子
    文庫 星の子
    この信仰・宗教のテーマも、今、読んでおくべきと思う。最後をどう考えるのか。親子の睦まじい場面のようにも、最後の思い出のようにも……。作品は明確に示さない。ちひろは両親を慕い、教団の集会も楽しい。でも、ちひろは、そこから離れるのかもしれない。いや、もう抜け出すことはできないのかも。家出をした姉は行方不明のまま。同じ星を見つけることは難しい。
  • 2025年12月27日
    なぜ日本文学は英米で人気があるのか
    9.11の同時多発テロ以降、アメリカで翻訳文学が徐々に盛んに。今、日本の(女性作家の)小説が海外で共感を得ている。翻訳家の育成など理由がきちんとある。逆に、私たちも、異文化を理解するために海外小説を読むべきなのだ。そこにも共感があるはず。
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