Xで話題になって重版になったらしく、書店にたくさんあった

やっと手に入れた。

近未来ディストピア小説だが、現実世界もかなりの部分で本作に描かれるような状況に近いと思わされ、重苦しい気分になる。 それぞれ複雑な背景のある登場人物たちがリアルだが、最後の方の展開がやや荒唐無稽で少し残念。解説で保坂和志が書いている通り、終わらせるのが難しい作品なのかなと。 しかしそれに関わりなく、読んで意味のある小説。

まさに今この国はこうなろうとしているのでは？ という書き出しから始まる気になっていた本。 善と悪にはわけられない各人の思惑とエゴとが入り乱れ、最後はどうしてこうなったのかと戸惑いながら読み終えました。たくさん読まれて感想が語られるようになったらいいな。 この国で多数派に属している私はすごくしんどくもあり、わかるようであり、知らないことが多いことを思い知らされる１冊でした。少なくともこの本を読んで選挙権を放棄することはしないと思うので、やっぱりたくさん読まれてほしいな。

「それぞれの声を詩にしたり絵画にしたり小説にすることで、登場人物や物語を変えてみることで、この巨大なプラネットをさまざまな角度から押すことができる。指の引っかかりの位置を変えてみることができる。(…)届かなかった声、壁に吸い込まれた声、燃やされた声、というのも決してゼロではないはずで、文化や芸術には、なもなき声たちが何億何兆と集まった結果としての、世界を善き方向に押してゆくそういう力がある。」 この物語が「予言の書」だと言ってしまうのは、わたしやあなたが気づいていなかった、目を逸らしていただけのような気もするけれど、それでもこの物語が「予言」だとするならば、あるいはそうでなくとも↑のような言葉こそ信じたい。

https://x.com/kawade_shobo/status/1974355000546689102?s=46&t=ZR6HprMY1C_ODSnyWjUCGA

近い将来？

あらすじに惹かれる。 > 在日狩り、愛国無罪、新大久保戦争、ヘイトクライム……20XX年、排外主義者たちの夢は叶った。そしていま、反攻の時が始まる。在日三世の気鋭作家による、日本を揺るがす爆薬小説。 世界は敵だ。希望を持つな。殺される前に、この歴史を止めろ。

斎藤美奈子「本音のコラム」2025.7.23 「明日のディストピア」

李龍徳さん作は「死にたくなったら電話して」ぶり2冊目。死に電は3日寝込むくらい衝撃だったから、今作も心ズタズタにされるのを期待してます。

小説を読んでいて、こんなに緊張で心臓が痛くなったり、本を持つ手が震えたりしたのははじめてでした。