

月下の医師
@rinrin-1102
- 2025年11月23日
2030-2040年 医療の真実熊谷賴佳読み終わった大田区にある中小病院の3代目(70代)が語る、近々間違いなく訪れる日本の悲惨な末路。 中小の病院が何故が潰れていくのか、経営難に喘いでいるのか、何となくしか分かってなかったが、そうだったのかと氷解していく感じで一気読みした。 著者自身、数々の困難な目に遭ってこられているので説得力が段違いで読ませる。 こういう、「分かってる」人からしたら日本の行く末は不安で、不憫でならないのだろうな。 医者も含めてほとんどの国民が知らない事実。 しかしあと5年か…地獄の世界がもう間もなく我が国を襲う。ある種ホラー。 - 2025年11月19日
ネメシスの使者中山七里読み終わった「どんでん返しの帝王」、初読。 凶悪犯罪加害者の家族が惨殺される連続殺人事件が起こる。 犯人は?目的は? 加害者家族の地獄と、怨嗟の鬼と化した被害者遺族の底すらない恨み、凶悪犯罪者でもなかなか死刑にならない理不尽さ… ミステリー部分はまぁまぁだったが、色々と考えさせられる小説だった。 - 2025年11月12日
沈黙遠藤周作読み終わった禁教の時代。とある高名な司祭が日本で過酷な弾圧に屈して棄教したとの報告がローマに入る。事実を確認し、現地の信者を救済するためかつての弟子達が決死の覚悟で日本へ潜入する。しかしそこは厳しい圧政と迫害と拷問の嵐が吹き荒れる地獄だった…。 タイトルの沈黙とは一体、「誰の沈黙」なのか。 高尚な歴史小説。見事です。 - 2025年11月7日
ペンギンの憂鬱アンドレイ・クルコフ読み終わった恋人に去られ憂鬱症のペンギンと暮らしている孤独で売れない小説家。 ある日、まだ存命中の有名人達の追悼記事を書く仕事が舞い込み始め、やがてその大物達がその通りに死んでいく。そして自らの身辺にも不穏な影がちらつくのであった…。 派手な展開は無く淡々と物語が進みながら、世の不条理、孤独、幸せとは、家族とは…etcが描かれる。めちゃ面白いという訳ではないがなんか考えさせられた。 - 2025年11月1日
天使の囀り (角川ホラー文庫)貴志祐介かつて読んだアマゾン探検から帰国した男性。帰国後に性格が変貌しておりとうとう不審死を遂げる。「天使の囀りが聞こえる」という謎の言葉を残して…。 探検隊の隊員達も次々と死んでいく。真相解明の調査に乗り出す残された恋人の緩和ケア医ととある学者。 戦慄のバイオホラー。 - 2025年10月31日
クリムゾンの迷宮貴志祐介かつて読んだふと目を覚ました主人公。彼はサバイバル・デスゲームに強制参加させられていた…。 緻密な情景・心理描写と、後から読み返すと伏線のオンパレード。 最後は鬼ごっこ的な怖さがある。 真実は全て明かされず曖昧なまま終わるがそれが切なさもあっていい。 ほぼ同時に「バトル・ロワイヤル」が刊行されている偶然が凄い。 - 2025年10月29日
黒い家貴志祐介かつて読んだ若かりし頃の著者が上梓したヒトコワ系ホラー小説のマスターピース。生命保険会社に勤める主人公を襲う悪夢。結局、包丁持ってるキチ◯イが一番怖い。色んな描写が、著者自身生命保険会社に勤めていたことからリアリティがあって読ませる。 - 2025年10月28日
ガダラの豚(全3巻セット)中島らもかつて読んだ奇才・中島らも畢生の大作。オカルト、ホラー、アクション、紀行、民俗学、仏教、新興宗教、超能力、奇術、呪術バトル、コメディ、なんでもアリの超エンタメ小説。大作だが文章が軽妙でサクサク読める。最後がやや尻すぼみ感はあった。ラストが幽白を連想させる。 - 2025年10月27日
美食の教養浜田岳文かつて読んだ世界一の美食屋が語る「食」に関する歴史、風土、考え方、流儀、私見…etc. 「食」だけでこんな分厚い本を執筆できるとは。ある種の狂気を感じる。しかも書かれてるのはほんの浅いところで本当はまだまだ深く広く書けるのだろう。「食」に全振りした人生。世の中には凄い人がいるものだ。 - 2025年10月25日
悪童日記アゴタ・クリストフ,堀茂樹かつて読んだアゴタ・クリストフ三部作の一作目。 世界に衝撃を与えた傑作。 戦時下をしたたかに生きる双子の数奇な物語。作者が母国語じゃない言語で書いたので、淡々とした、特徴的な文体となっている。 ふたりの証拠(1988)、第三の嘘(1991)へと続く。 - 2025年10月19日
最後の医者は桜を見上げて君を想う二宮敦人かつて読んだタイトルに惹かれて読んだ。 無駄な治療はせず死を受容させ生を諦めさせる医者と、最後まで絶対に諦めない熱血外科医。 まぁ、書きたいテーマは分かるし、ウルッとくるところもあるけど流石に現実離れしすぎてて。 ありえねーと思いながら読んだ。 - 2025年10月16日
52ヘルツのクジラたち町田そのこ読み終わった2021年の本屋大賞作品。本屋でも大体目立つ所に置いてあって押されている。 ネグレクトや虐待など、様々な事情をもつ登場人物達が、助け合い、信頼できる仲間と出会い、未来へ希望を見いだしていく物語。 まぁ悪くはないんだけどね。ちと過大評価されてるかな。 - 2025年10月12日
勝負心渡辺明かつて読んだ弱冠20歳で棋界最高位である竜王を獲り、そこから9連覇(通算11期)、初代永世竜王となった天才中の天才によるエッセイ。 2013年という、ここから棋界に訪れる様々な革命前夜に書かれており興味深い。 まだ「彼」の登場以前の本であり、羽生さんや羽生世代との闘いに頁数が割かれている。 正直、傍目から見て「彼」に絶望してる感が否めないが、これまでの天才達とは一線を画す圧倒的な才能を前に、今何を思うのだろう? 圧倒的な才能に対峙する辛さは私には想像できないが、棋史に残る天才として何とかまだ抗ってほしい。 - 2025年10月12日
夜と霧ヴィクトル・エミール・フランクル,ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子かつて読んだ絶望的な強制収容所生活を奇跡的に生き残った精神科医。極限の状況に置かれた時、人は何を思い、どのように変化していくのか。そこに希望はあるのか。人生の意味とは。支配する側とされる側。心理学者の見地から語られる人間の本質。高尚な手記。 - 2025年10月9日
産声が消えていく太田靖之読み終わった来る者を拒まない〇〇会病院の産科医の物語。 歴戦の先輩達が燃え尽き、心を病み、前線から撤退していく。助産師、看護師達も離れていく。そして自らもまた…。 産科医療のリアルを描いた書。彼らの過酷な、理不尽な労働環境を思うと暗澹たる思いになる。利益を求める経営陣や狂った司法、患者のいきすぎた権利意識が更に追い打ちをかける。 出生数が減ってることや、産科志望の医者数がやや持ち直していることや、働き方改革などで今は幾分マシと聞いてはいるが。 この本が出版された2008年、100万人を超えていた出生数は今年、65万人程度と過去最低になることが予想されている。 - 2025年10月5日
人間腸詰夢野久作かつて読んだ八編を収録。得意の独白体が冴え渡る。 【人間腸詰】STL万国博覧会に派遣された大工が経験した恐ろしい話。 【木魂】妻と息子を亡くした数学教師の悲しきモノローグ。 【無系統虎列刺】法医学者が語るとある虎列剌(コレラ)騒動。 【近眼芸妓と迷宮事件】刑事が語る印象に残った事件。 【S岬西洋婦人絞殺事件】とある外国人殺人事件を法医学者が解決する。 【髪切虫】自分が二千年前のクレオパトラの生まれ変わりだと直感する髪切虫の話。 【悪魔祈禱書】古本屋の店主が語るとある恐ろしい本。 【戦場】西部戦線に派遣されたドイツ軍軍医が体験した戦争の恐ろしさとは。 - 2025年10月1日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わった各所で絶賛されてるので読んだ。 出来過ぎなところもあるがまぁ面白い。 人類の命運を託された主人公が「何故か」記憶を失っているという設定が面白い。 現在パートと回想パートが交互に切り替わり、少しずつ記憶を取り戻しながら物語が進む。 翻訳が上手すぎる。 - 2025年9月27日
- 2025年9月26日
医の知の羅針盤ロバート・B.テイラー,Robert B.Taylor,三枝小夜子,石山貴章かつて読んだ医者の心構え本として名著として名高い。ゴミ医者激増中で医療崩壊へまっしぐらな世の中。志ある全ての医者に読んでほしい本。暇な時、たまにぱらぱら見返すが、その度に学びがある。たぶん、一生俺の本棚にあるだろう。 - 2025年9月24日
永遠も半ばを過ぎて中島らも読み終わった毎日毎日ひたすら家で独りで写植屋の仕事をしている主人公のもとに、ある日三流詐欺師である高校の同級生が転がり込んでくる。 ヤク中、アル中、詐欺師、ヤクザ、出版・印刷業界など、著者が今まで見てきたものがギュッと詰まったような小説。 タイトルが米津玄師の曲の歌詞に出てくる。 らも氏の、面白くも切ない、どこか退廃的で憂いのある文体はなんなんだろうな。
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