白沼
@shironuma
趣味は現実逃避。読んだものの記録。
- 2025年5月27日火蛾古泉迦十読み終わった作家であるファリードが、アリーというイスラム神秘主義の修行者の身に起こったことを聞くという本。修行中に起きた殺人事件の真相をアリーの視点からもファリードの視点からも追う。 1ページ目で、哲学的で難しいかも…途中で読むのやめちゃうかも…と思ったのに、気がついたら引き込まれて読破してた。題名だけ知っててあらすじを何も知らなかったので急にミステリが始まってビックリしたけど、結末がまさしく宗教とミステリの融合!という感じで良かった。 語り部の真に迫った感じがなかなかない読み味で夢中になっちゃった。
- 2025年5月24日世界軍事学講座松井茂読み終わった現代の軍事戦略について、国ごと、戦略ごとに広く浅く教えてくれる本。 時々戦記ものを読むのでその助けになるかなぁと思って読んでみた。 助けになるかはなんともいえないけど、個人的には12章の特殊戦略や15章の指揮と統率あたりが興味深かった。 1996年に出版された本なので、ここからさらに技術が発展した現代ではどうなっているのかが気になるところではある。
- 2025年5月22日BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?ダン・ガードナー,ベント・フリウビヤ,櫻井祐子読み終わった題名の通り、メガプロジェクトを予算、工期、便益ともにクリアしてゴールするにはどうすれば良いのか?という本。 ちなみに1万6000件のメガプロジェクトのうち予算も工期も便益も達成したプロジェクトは0.5%しかなく、予算と工期のみをクリアしたプロジェクトは8.5%しかないらしい。 ビジネス書の中でもかなり面白く読めた本だった。結論がはっきりしてるのも良い。 世界初が過大評価されている、とか、何かと独自性バイアスがかかりがちなので客観的なデータから予算や工期等を予測すべきというあたりは日常の指標としても役に立ちそう。
- 2025年5月19日シャドウ道尾秀介読み終わった凰介の母親が病気で亡くなった次の日、凰介の幼馴染である亜紀の母親が自殺した。 凰介の父、亜紀、亜紀の両親に何が起こっているのか、真相へのヒントを散りばめながら物語が進んでいく。 面白かった! ミステリージャンルはある程度犯人や結末を予測しながら読むタイプの人間なんだけど、ここまで自分の推測が外れて、かつ納得できる真相の推理小説はなかなかない気がする。もう一回最初から読み返していろいろ確かめたい。 主要登場人物がみんな良かったし、特に物語を通しての凰介の成長と覚悟が良かった。凰介と亜紀は幸せになってくれ〜。
- 2025年5月15日斬首の森澤村伊智読み終わったとある記者が、鮎実という女性からカルト宗教じみたTという企業の洗脳合宿の話を聞き出していく。合宿から逃げ出した鮎美がどのように森の中を彷徨い逃げ出したのかを話す中で、Tの目的も明らかになっていく。 面白かった!どんどん解き明かされていく真相に背筋がゾゾっとしつつ、読む手が止まらなかった。 終盤になるにつれて登場人物への印象の変わり方もすごい。あ、鮎実〜〜!?ってなるのと、佐原さんが良すぎる。
- 2025年5月13日ネメシスの使者中山七里読み終わった死刑判決を免れた犯罪加害者の家族が殺され、現場にはネメシスという文字が残されていた。被害者家族と加害者家族の感情、死刑制度の是非に焦点を当てながら、テミスの剣に引き続き警察官の渡瀬が犯人を追う。 前作の方がワクワクしたかもなぁと思って読み進めていたら、最後の怨憤の章でギャッとなった。犯人の執念深さと渋沢の化け物じみた吐露がしんどい。それと比較して渡瀬の安心感よ…。いやあすご〜く面白かった。 でも前作も今作もフィクションだから面白いと思って読み進められるけど、当事者になったらたまったもんじゃないよなぁ。
- 2025年5月8日臨死体験 下立花隆読み終わった死にかけて生き返った人が「三途の川を見た」というような臨死体験について、科学的に解明しようという本、の下巻。 このアプリで見かけて気になったので、上巻に引き続き読み進めてみた。 脳については解明されてないことが多いので、科学の発展を待たないと臨死体験のメカニズムは分からんという結論なんだけど、インタビューの内容が面白くて読み応えがある。 印象に残っているのは、臨死体験で起こるコア体験は共通している(体から抜け出す、光を見る、トンネルを通るとか)けど、その解釈や肉付けが宗教や文化によって変わるという点かなぁ。
- 2025年5月4日テミスの剣中山七里読み終わった強盗殺人事件の犯人が拘置所で自殺したが、時が経ち真犯人がいることが判明した。事件を担当した刑事である主人公の渡瀬が、冤罪に加担した悔恨の念に襲われながらも真犯人を追うミステリー。 すっっごく面白かった〜。 冤罪が主題の一つでかつ国家権力を持ってる人間の描かれ方が露悪的なので、一見すると重厚な刑事物っぽいんだけど、大筋は過去に間違いを犯して反省した主人公の渡瀬がそれを胸に刻んでまっすぐ突き進む王道物語なのでかなり読みやすい。最後までどばっと読み進めちゃった。 渡瀬は一生償い続ける人生を送るんだろうなぁ。続編もあるらしいのでそのうち読みたい。
- 2025年5月2日玩具修理者小林泰三読み終わった"彼女"がサングラスをかけている理由を知るために彼女の過去を聞くことになる「玩具修理者」と、全く知らない男から親友だと言われた男が彼の"過去"を聞くことになる「酔歩する男」。 二編からなる中・短編集。 いや〜主人公に感情移入するタイプの読者なので、どちらも読んだ後の絶望感がすごい。とくに酔歩する男はページを進めるごとに世界がぐらんぐらんして、残り数ページで(良い意味で)おえぇ…となり、最後そのままシャットダウンさせられた、みたいな、強烈な体験を味わえる。 あとどうでもいいけど表紙も怖い。夜に目があってビビり散らかした。
- 2025年4月28日わたしたちが光の速さで進めないならカシワイ,ユン・ジヨン,カン・バンファ,キム・チョヨプ読み終わった表題と他6編からなる韓国のベストセラーSF短編集。 話題になっていたので気になって読んだけどめちゃくちゃ良い短編集だった。 SFなので作中の技術レベルがすごいのだけど、そんな中で置いてけぼりになっている人間の心に焦点が当たっていて…全話にほろ苦さがあって読んでてしんみりしちゃった。 個人的には「わたしたちが光の速さで進めないなら」と「感情の物性」がお気に入り。
- 2025年4月26日臨死体験 上立花隆読み終わった死にかけて生き返った人が「三途の川を見た」というような臨死体験について、科学的に解明しようという本。筆者が多くの臨死体験者にインタビューしており、そのインタビュー内容がこの本の中心となっている。 このアプリで見かけて気になって読んだ。 臨死体験のインタビュー内容が割と興味深いけど、スピリチュアルな話も多い(臨死体験後にサイキック能力が目覚めたとか…)ので、脳科学あたりを期待して読むとちょっと違うかもとなりそう。インタビュー面白いけど。 個人的には、臨死体験者は臨死体験の後に死の恐怖が消えて死に対して穏やかな印象を持つという本の前半の内容が印象に残った。 下巻もそのうち読みたい。
- 2025年4月22日〔少女庭国〕矢部嵩読み終わった卒業式に出るため講堂へ続く狭い通路を歩いていた羊歯子は、気がつくと暗い部屋で目が覚める。壁には脱出条件として「開けられたドアの数n-死んだ卒業生の数m=1」と書かれており、それをどのように達成するのか?という話。 このアプリで見かけて気になって読んでみた。 最初の羊歯子の話が面白かったんだけど、ページが半分以上残ってるから羊歯子が外に出た後の解決編が始まるのかと思ってたら、普通に色々なパターンの閉じ込められた女の子たちの話で笑った。 まさかここまでひぇ〜こわぁ…と思いながら読み進めることになるとは思わなんだ…。面白かったけども。 あとずっと閉塞感があるのに最後の話に清涼感があるのでちょっとスッキリしちゃう。
- 2025年4月19日「空腹」こそ最強のクスリ青木厚読み終わった16時間の空腹状態を作ることで健康上の様々なリスクを減らし、健康と若さを手に入れられますよ、という本。 薄い本なのでさっくり読める。 仕事をしてると16時間の断食は無理だなぁ〜お腹なっちゃうし…と思いつつ、書いてあることは割と魅力的なので出来そうな時にやってみてもいいかも。 ただ、調べてみたらオートファジーを活性化させるために空腹は大事だけど、16時間の断食には科学的根拠はないとのこと。そうなんだ。
- 2025年4月18日火星に住むつもりかい?伊坂幸太郎読み終わった平和警察によって魔女狩りさながらの処刑が行われている現代ディストピアが舞台。平和警察に立ち向かうつなぎの男は誰なのか?伏線を回収しながら物語が進んでいく。 登場人物みんなにうっすら諦めが漂っている感じが良かった。最悪な世界で最悪な登場人物も出てきて、根本的な解決もしないんだけど、読了感は悪くなく、面白かったなぁ。
- 2025年4月16日爆弾呉勝浩読み終わったちょっとした軽犯罪で捕まったスズキタゴサクが、取調室で爆発事件を予言する。爆発はどこで起きるのか、スズキタゴサクは何者なのか?を巡る物語。 事件は現場で起きてるんだ!の真反対、取調室で展開していく(とはいえ現場の刑事さんも出てくる)のだがすごく面白い。 みんなギリギリを生きていているんだけど、そのギリギリに踏みとどまった類家、等々力、沙良、ゆかりの最後の方の描写にグッときたなぁ。
- 2025年4月12日オーデュボンの祈り伊坂幸太郎読み終わった強盗に失敗し警察から逃げた伊藤が、気がつくと荻島という奇妙奇天烈な島で目覚め、その島で起こることに巻き込まれていく話。喋るカカシ、銃で人を撃つことが正当化されている男、嘘しか言わない画家など現実離れした登場人物が出てくる。 始まりの一文から引き込まれ、軽快な読み味でサクサク読み進められる。 散らばった問題が一つに収束して解決していく様が面白く、とくに「オーデュボンの祈り」という題名の意味に気がついた時が一番ぐっときた。
- 2025年4月10日アクティベイター冲方丁読み終わった羽田空港に、爆撃機と共に亡命を希望する女性が現れるところから始まる話。義兄弟である警備員の真丈と警察官の鶴来の視点が交差しながら、日本の各組織、中国、アメリカなどの絡み合った思惑を解明していく。 一本の映画を見た後のような満足感がある。とにかくずっとワクワクしながら読み続けてしまった。主要登場人物が有能揃いで、もうはちゃめちゃに面白い。 唯ならぬ人間というか、第一印象は普通なのにある種の飛び抜けた才能がある人間を描写するのが上手すぎる。
- 2025年4月4日世界の本当の仕組みバーツラフ・シュミル,柴田裕之読み終わった世間では今後の世界に関するインパクトのある予測や未来(本の中では予言やおとぎ話とも言われる)がよく取り上げられているが、本当にそれは正しいのか、実際のデータを照らし合わせて見てみようという内容。過去の予測は現在と照らし合わせてどれくらい正確だったか?という観点でも語られている。 第二章・第三章あたりの、世の中には化石燃料がないと生産できない素材があるけど脱炭素化を推進する時にそれに目を向けてる?という問題提起は、読んでてたしかに…と思った。とはいえ環境も大事だしこういう解決策があるかもねと本の中で示してくれているので、全体を通してへぇ〜と思いながら興味深く読み進めた。
- 2025年3月28日神はサイコロを振らない大石英司読み終わったある日消息を絶った飛行機が10年後にそのままの姿で現れる。飛行機の中で1日だけを過ごした人々と、飛行機の外で10年という歳月を過ごした人々が再会するという話。 題名がめちゃくちゃカッコいい。 異常と同じく飛行機SF(?)モノだけど、こちらは現代を生きる人々が、飛行機の人と再開することで人生と向き合わざる追えなくなるというテイストで、どっちも面白かった。 飛行機に乗ってたら急に10年後にタイムスリップして、あと3日で死にますって言われたら結構ショックだよなぁと思いつつ、チェロ奏者の後藤瑠璃子とテニスプレイヤーの高千穂肇の過ごし方が良かったなぁ。
- 2025年3月21日リンダを殺した犯人は伊兼源太郎読み終わった警視庁捜査一課の志々目春香・藤堂遥の男女バディが、題名の通り外国人技能実習生であるリンダを殺した犯人を探す話。 前情報なくなんとなく手にとって読んでみた。軽快な読み味で、登場人物のキャラクターが立っているのもあって読んでいて楽しい。 ジェンダーや外国人実習生への問題提起がぐいぐいくるので気になる人は気になるかも。
読み込み中...