物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

290件の記録
- kazuki24@kzuki58422025年10月10日読み終わった単に社会全体の物語化乗り美学への警告かと思いきや、様々な側面の考えた方、そしてそれらが稚拙な考え方と意外にも繋がる可能性があるといったことが見えた。 対立するのではなく、いろいろな考え方を享受するヒントがあった。 読む前の想像とは異なる内容であったが、面白かった。
- 紺@kon_2025年10月5日気になる人間は〝物語〟がないと(尊厳と置き換えてもいいかも)生きていけず、昨今蔓延る排外主義にもそのことが関係しているような気がしているので(マイノリティを排斥することで得られるインスタント尊厳というか…)タイトルに興味を惹かれました。
- わらびもち@CitrusRetic_92025年10月3日読み終わった「物語」は気持ち悪い。「ゲーム」は疲れる。「パズル」は短絡的すぎる。「ギャンブル」はそもそも性に合わない。 物語も、ゲームも、パズルも、それぞれは好きなはずなのに、そう思ってしまうのは何故だろう?(ギャンブルは、別に否定はしないが私はリスクを楽しめるタイプではないので除外) 現代の風潮が過度に物語・ゲーム・パズル的なやり方、生き方、考え方をありがたがって持ち上げすぎている、そしてそれが都合よく使われすぎている、あたかもそれだけが正義のような顔をしている、と感じているから拒否感があったのか、と、この本を読んで思った。 今の私たちにはもっと「遊び」が必要だよな。もちろん、「遊び」も過度になりすぎると人を傷つけたり、大事なものを壊したりしてしまうから程度を弁えた方がいいけれど。もっと生産性のないこと、今しか得しないこと、楽しいだけのことをしたい。 全てに意味を持たせすぎると窮屈になる。物語・ゲーム・パズル・ギャンブル・遊びの力が過剰になりすぎず、全ての人がそれらを気楽に、適度に楽しめるような風潮になることを祈る。
- 読書記録@records2025年10月2日読み始めたまだ読んでる少し前に買って積んでた本。途中まで読んだ。 なぜいま物語化が重要視されるのかとか、物語化の危険性などについて書かれている。 個人的に関心があるテーマでもありつつ、タイムリーな問題でもあって面白い。 具体例としてMBTIも出てくる。 昨今アイドルのオーディション番組が流行りまくってて社会現象レベルなのも、物語化されて視聴者が没入しやすいからだよなあ(自分も観ているけど)
- saeko@saekyh2025年10月1日「批判の哲学」だから当たり前なのだけど、1章から4章まで現代人や物語・ゲーム・パズル・ギャンブルといったメディアへの批判が延々と続くので、途中で読むのがしんどくなった。たしかに切り口は新鮮で面白いのだが、まるでそのメディアを楽しむことそのもの自体が愚かだと言うような書きぶりにちょっとうんざりしてくるし、批判がほとんどを占めていて、ではどうすべきか?の提案は抽象的でほんのわずかだし、数々の文献を引用しているのはすごいはすごいのだが、他者の理論を援用した小難しい話がずっと続くので、疲れる読書体験ではあった。最後の5章「おもちゃ批判の哲学」がやっと前向きな内容だったので、ああ筆者がこの本を通して伝えたかったのはこういうことなんだな。とようやく腹落ちできた。 ただ主張自体は共感できる部分が多かった。最近読む新書に共通して言えることなのだけど、複雑な世界を単純化して捉えることの不適切さや危うさを糾弾する段階にきているのかなとも思う。たしかに自分も、就職活動で面接官にウケそうな物語を考えるのにはうんざりしたし、面倒な仕事に辟易としていたとき、上司に「これもいい経験になったよね!」と言われ、うるせえなと心底嫌な気持ちになった記憶がある。人生はただの時間の経過であり、物事の積み重ねなのだけど、因果関係で語りたくなる、そこに魅力を感じるのが人間というもの。「わかりやすさ」「伝わりやすさ」の名のもとに長く正当化されてきた人生の物語化に真っ向からNOを突きつけ、無目的に当意即妙に遊ぶような生き方を提案する筆者の主張は、成長神話や感動ポルノに侵された社会に一石を投じるものだと思う。
- かしわばら@kasiwabarabara2025年9月29日読み始めた後輩に勧められたらタイムラインにいっぱい流れてきた。眠れていない日にいい加減スマホに飽きて開く。読みやすい。物語は常に解釈が必要で、それは自分の知っている範囲でしか起こりえないことが問題。
- リチ@richi2025年9月28日読み終わった難しくもあり、興味深くもあり。過去の出来事を物語化して恣意的に回収していくよりも、その時その時の感覚や経験を遊びとしてそのまま持ち続けること。たった一つかのような答えに安易に飛びつかず、曖昧なまま持ち堪えること、偶然性を楽しむこと、みたいなことを感じた。理解が難しいところもあったので、またいつか読み返したい。
- nessie@nessieayako2025年9月26日読んでるP168 「『分からなさ』がいつまでも残ること。そうすることで、私たちは一つの結論で満足せず、思いがけない連想や多様な視点と出会い続ける」
- m@__lily742025年9月25日読み終わった映画であれ、小説であれ、「物語」的な側面を存分に含む作品について書く時、わたしには必ず迷いがつきまとう。あらすじとして物語の一部分をまとめるとき、ここにまとめることのできなかった生を搾取していないかと。物語が好きで享受しているからこそ手に取ったこの本。著者である難波さんも、そのような悩みの持ち主であった。就活時に求められる一貫性のある人生……その暴力性にうんざりとしてしまうのは私だけではないと読み進めながら思えた。資本主義、成果主義の現代において、ここに抗って生を送ることはとても難しい。それでも、抗い(良い面を受け入れつつも)批判すること、それは生きるうえでの希望にもなると思う。 物語を批判するにあたって、現代的なトピック、出来事も取り入れているのがすごく好印象でした。
- 1neko.@ichineko112025年9月22日読み終わった「MBTI」の章が特に興味深かった。 「MBTI」の16 personalities診断は、MBTI学会から批判されている(既知の事実と一致しない、検証可能性に欠け、内部矛盾を有する(となかなかな言われよう。。。)らしい。 それにもかかわらず?、そんなの関係なく?なんらかのカテゴリ群のなかに、自分の性格を落とし込む独特の快楽はあると思います。 「物語」が過剰に求められている世界。
- さおり@prn9909082025年9月20日読み終わった「物語」には抗いがたい魅力があって私たちはどうしてもそこに手を伸ばしてしまう.それは「つながりたい」という欲求があるからでではその方法は「物語」しかないのかということと、「物語」以外の可能性についてその特徴と危うさとを挙げることで「だからといって安易にそこに飛びつくな」と言われているようだった.いやじゃあどうしたら良いんですか?みたいに思ってしまうけれど最後に新たな可能性を示してくれている.読み始めて最初のうちはなかなか頭に入ってこないところもあったけど「物語は人類が生み出した価値ある営みの一つである。だが、一つでしかない」という一文がバツンと自分のなかでハマってそこからはグッと読み進められたなと思う.あとわたしのなかで「終わりよければ」みたいな感覚があり「あとがき」の文章にもというかそこがもしかしたら一番グッときたところかもしれないので個人的には読めてよかったなと思います.
- 藤子@fskxx2025年9月18日読み終わった現代的なトピックやコンテンツが色々出てくるので今読めて良かったとは思ったが、物語に対する目線や定義がやや結論ありきのものに見えてしまった気がする。この本というより、ここ最近の『物語』に対する注目の高さの方が気になる。物語を忌避しながら、自分が物語に丸め込まれる事を望んでいるかのような事象がいくつか思い出される。
- スヌーズは神@mo_rechu2025年9月18日読み始めた現在読み進め中。逃避行動なのか、いーっと頭を掻きむしりたくなるのでこちらに。自身を語ることによりフォロワーを消費行動へと繋げるマーケティング。渦中の身だったときのしんどさを思い出すので率直につらたん。
- こたか@kotaka2025年9月17日読み終わった正直読みづらかったが、ここ最近読んだ本のなかで一番たくさん付箋をつけた。考察と陰謀論が同様の構造を持っているという主張にはなるほどと思い、面白かった。
- Autoishk@nunc_stans2025年9月15日読んでるとりあえず第一章まで。物語の過剰という問題意識は非常に理解できるが、当の物語概念が伸び縮みしているように思われることや、物語の流通に関する社会的・歴史的・制度的編成に関する考察があまりなされないことが気にかかってしまった。
- Autoishk@nunc_stans2025年9月15日読み終わった問いにアクチュアリティを感じる分、もやもやが残った。著者にとっては遊びの哲学が重要だったのだろうが、物語批判という観点からするとそもそも人生を種々の遊びのメタファーで捉えること自体に歪みがあり、火のないところに煙を立てている感じがした。 ギャンブルの章が一番面白かった。
- ワット@watt2025年9月10日読み終わったなんでもストーリーにする圧力が強すぎて、結果として行き詰ってしまう。もっと出鱈目で、破綻があればいいじゃない。という当たり前のことを、狙い定めて主張しなければならないのは嫌な世の中だと思う。まあそうよね。精緻化の技術はどんどん進み、解釈しきれないのんべんだらりとした日々は、無価値を超えて不存在扱いになるかもしれぬ。 前半の「歴史的語りは、常に過去の再制作である」という議論は面白かった。歴史的語りに比べて自己語りが危険な点は、批判や資料、方法論をもたないから生じる「改訂排除性」と、必然性だったり伏線を見つけ出そうとすることによる「目的閉塞性」である、と。はみ出る、破綻する、だけどある時間止まらずに流れたその人の1コの生。これを物語に回収してしまうのは、うーん確かにもったいない。
- 画伯@ggahak2025年9月9日じゅうぶん読んだタイトルに惹かれて買い、だからといってどんなものを期待していたのかは自分でもよくわからないのだが、読みたいものではなかった。たとえば高校野球や箱根駅伝の放送の途中に入る経験者たちの思い出ストーリー(今もやっているかどうかわからないけど)や24時間テレビなどの感動消費にもともと忌避感を持っている人にはそれほど得るものがないのかもしれない。ただ私自身情動理論にまったく不案内のため読み込めていない論点もあるだろうと思うのでちょっと要勉強です。やはり出たばかりの『残酷な楽観性』や、『情動、メディア、政治』、『情動の社会学』あたりを読むリストに追加。
- いま@mayonakayom222025年9月9日読み終わった『ストーリーが世界を滅ぼす』に通ずる所もある。 全5部作となるようなので楽しみ。 『イン・ザ・メガチャーチ』に入る前に読んでおきたかった一冊。
- くりす@kurisu2025年9月9日読み終わった発売日に買ってようやく読めた わりと常々思っている陰謀論やMBTIへのモヤモヤを理解する上でのよい補助線となる本でした。 物語化って楽なんだよね。ほんと。本来複雑だったり、ひとつの筋が存在しない現実をある構造に落とし込むことで理解しやすかったり扱いやすい形に落とし込むという作業、それが物語化だと考える。 だけどそもそも例えば自分の人生は物語のためにあるわけではないから、物語性を見出そうとする行いそのものが自分の人生の何かを捨象しかねないよね。 あと、本来人の性格に「本質」なんて存在しないはずで、いわゆる性格とされるものって、個別の事象に対して発生する情動の「過去の傾向」でしかなくて、それが現在または未来に発生する事象に対して自分がどう反応するか?とかは予測不可能で無限の可能性を秘めてるはずなのに、「キャラ」化することでその情動の発生可能性が狭まってしまう。つまり、ある種の「性格」を規定する、ましてや「ENFPだから〜なんだよね〜」とかいうような行いそれそのものは「性格」を過剰に評価してかつ人間の可能性を否定している行いだと思います! ただ、だけどやはり世界を理解するある種のスキームがないと世界を理解するのは不可能で、この世の中って基本的にはアナログで連続的な情報が存在しているはずだけど、アナログな情報って情報量が無限になってしまうからおそらく脳の中の処理はデジタルな処理がなされているはず??(曖昧)であるし、まあそもそも言語を使うという営み自体が世界を大雑把にデジタルな形に切り取るっていうひとつの「物語化」であると言えるよね。 心の理論なんてものは物語化以外の何ものでもないし、いちいち無限の可能性を想定していたら相互理解なんて絶対に無理になってしまう。 だから物語化がないと世界や他人を理解すること、ひいては人間関係を形成することなんて不可能になってしまう。
- yt@yt2025年9月2日読み終わった「過去は常に新たな解釈に開かれている」(p27) 物語は万能でないから、オルタナティブとしてゲームやパズルといった遊びの可能性を探る。 考察や批評というゲームだって良いんだ! 人生には物語性を求めがちだから、物語から距離をおく本書によって、ちょっと拠り所を失って不安になった。 「大人たちはもっと、子どもたちのように成熟しなければならない」(p227) くるりやひろゆきの引用もいいし、ギャンブルを哲学するのに岡野陽一が召喚されるのは、もっといい。
- わらびもち@CitrusRetic_92025年9月2日買った『「何者かになりたい」は呪いだ。』 という一文にとてつもなく惹かれてしまった。 本当にそう思う。 「キラキラした生活」とか「特別な自分」とか「人生の意味」とか、そんなの都合よくそこらじゅうに転がってるわけがない。 メディアやSNSに焚き付けられてないものねだりして、人と比べて何も持ってない自分に落胆して… 他人の人生だって過度に「物語化」して感動ポルノとして消費して、飽きたらイナゴのように次のターゲットに群がる。 そんな風潮に心底うんざりしていたところ。
- イロハ@iroha_mellow2025年8月26日読み終わった自らをキャラクター化すること、人生を物語のように表現することの危うさを指摘した後、他のエンタメ(ゲーム、パズル、ギャンブル、おもちゃ遊び)をベースに考えたときにどうなるか考察していく。 自分を物語化しなくても良いと分かってほっとした。わたしの人生には、劇的なピンチも奇跡のような大逆転もない。だが、それで良い。
- 百頭花|fleur cent têtes@flaneur_fleur2025年8月13日気になる出版社でライターをしていた頃に、資本主義が要請する物語の主人公になってしまった人間たちのしょうもなさを目撃してきた 私の勤めていた仕事はそれに加担する仕事だった あなたは肉塊だったときの方が美しいよ そんな顔で舗装道路を歩くのはやめなさい
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年8月13日読み終わったお風呂読書@ 自宅第4章のギャンブル批判と第5章のおもちゃ批判も読んだ。全体を通して、書かれていること自体はどの章もそこまで難しくないのだけど、5つの主体/遊び方がもつ危うさをどうかわしていくか、どう付き合い引き受け落とし込んでいくか、というところが個人的には難しく感じたので、他の方の感想も読みつつしばらく考えてみたいと思う。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年8月12日読み始めた@ 自宅長い第1章=物語篇を読み終わる。 2節に出てくる自己語りがもつ「改訂排除性」と「目的閉塞性」という二つの危険性についてはもう少し批判的に自分なりにも考えてみたい気がする(今の随筆シーンで語られる「特権的な一人称が真実を占有してしまう可能性」の問題とともに)。 結論部で提示される著者にとっての「ユートピア」をまだ具体的にイメージできていないので、第2章以降=探究篇を読みつつ考えたい。
- yomitaos@chsy71882025年8月12日読み終わった@ 自宅自分を物語として語らなければならないシチュエーションに、ずっと疑問を抱いてきた。特に就職面接。表向きは自分のためだろうが、結局のところ面接官に良い感情を持ってもらうためだけに、見栄え良く論理的・合理的な人生という物語をつくらなければならない、圧倒的な気持ち悪さがそこにはある。 挙句には、その先の物語として、望んでもいないビジョンやキャリア・夢を接続して語らなければならない。語った以上、それに向かって進む必要性もあらわれ、いつの間にか物語に沿って生きようとしてしまう。その不毛さに疲れ、適応できずにその場を離脱してしまうことも増えた。 自分がおかしいんじゃない。物語を求める世界の方がまちがっているんじゃないか? そんなことを考えていた自分に差した、光のような本だった。もう「何者かになりたい」なんて、物語のような物語は望まない。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年8月12日まだ読んでる就寝前読書お風呂読書@ 自宅第2章のゲーム批判と第3章のパズル批判を読む。パズルについてはほとんど考えたことがなかったので、こういう先行研究があるのだなと勉強になった。
- えのもと@_n_em_2025年8月10日買った読んでる『ただ私は、物語を物語以外の用途で使うことをやめよ、と言いたいのだ。 物語が、何の社会的意義も見出されず、攻撃性も扇動力も持たず、ただひたすらに単なる物語として愛される社会。そんな社会とそ、私にとってのユートピアだ。 だが、そのユートピアといまの現実は程遠い。人々は物語で他人や自分を理解し、そこにはまりこんだり、物語で情動を搔き立てられて、その情動に動かされたり、物語の中のキャラクターに影響を受け、それに憧れたりしている。 物語は現実世界において役に立ちすぎている。 私は、物語で世界を理解しようとする態度に強い警戒を抱く。』 『私は、「私がこれからどうしたいのか」という問いに対し、「自分がしたいことをしたい」以外の答えを持たない。未来の戦略を立てて生きていきたいとは思わない。そのときどきでしたいことをしているだけだ。』 この文に出会えて、この本を読むことが出来て、この本を書いてくれて、ありがとうございます、という気持ち。
- 本を読む人@ko2025年7月23日読み終わった難波優耀『物語化批判の哲学』を読む。物語化、ゲーム化を強要する最近の傾向にうんざりしていたところ、ちょっとヒントをもらった気が。 サブタイトルは、「〈わたしの人生〉を遊びなおすために」。最後まで読むと、よーく意味がわかる。「遊び」についての考察は、別の形でさらに深く語ってほしい。
- 読書猫@bookcat2025年7月19日読み終わった(本文抜粋) “人々はあまりにも強い物語の引力に引き寄せられて、もはや物語に支配されつつあるのではないか、と私は危惧し始めた。 だから、私はこれから、物語に対抗したいと思う。何かしらの物語が私たちの幸福を奪うのだとしたら、もはやそんな物語は廃棄されるべきだろう。 私はよき物語を愛している。それゆえ、物語を批判したいと思う。” “私たちのアイデンティティのダイナミズムには、物語的と呼べるような時間的まとまりだけでなく、瞬間ごとに発揮されるような、断片的で、エピソード的な性質も含まれているはずではないか。” “人間は「ハッとする」ことに喜びを感じる生き物だ。科学や人文思想はそれゆえに進展してきた。それは、互いの意見を批判し合う健全な環境を失ってしまえば、途端、陰謀論的な思い込みが蔓延するという危険と、常に隣り合わせであったということでもある。” “世界をパズルに見立てる思考の過ちとは、世界を見くびっているところにある。 世界の問題が解けないという事実そのものが、私たちを解釈に誘い続け、考えることの意義深さを与える。答えがないからこそ、いつまでも問い、一つ明らかになるたびにまた不明さが増える。世界はますます謎めいて魅力的になる。” “ギャンブル的主体は、自分を運に賭けることで、自己変容を体感し、何らかの超越を目指す人物像である。ギャンブル的主体・自己は、自分の存在を、物語のように過去に結びつけるのでもなく、ゲームのように未来に向かって挑戦するのでもなく、過去でも未来でもない、「偶然」へと投げ出すのだ。”
- なきりけい@nakirikei1900年1月1日読み終わった評価 ★★★☆☆ 再読したいとも誰かに薦めたいとも思わなかった。読書前の期待が大きすぎた反動かもしれない。 第一章の物語化批判については共感できたが、第二章以降は引用に引用を重ねているため、著者の意見より引用の説明が多くなっているところは残念。また引用と物語化批判の接続がやや強引で、言葉足らずあるいは論そのものに疑問が浮かぶ箇所も見られた。 『〜の哲学』と題する本にありがちではあるが、この本もそれに漏れず、物語化批判はしているものの哲学(普遍原理の提示、問題の根本的解決法の提示)はしていない。その点でも個人的評価は落ちる。 と、悪い点ばかり並べてしまったが、それくらい購入前は内容に期待していたということで、ご容赦いただければと。