ハイファに戻って/太陽の男たち
52件の記録
本読みの旅人@hi_tommy9302026年7月10日読んでる@ 電車この作品で描かれている物語は、これまでもパレスチナのどこかで毎日起きていたことで、2年半前のあの日からは、これより苛烈で過酷なことが毎日起きている。 『悲しいオレンジの実る土地』 宗教色の熱烈なまでに強い学校で育てられたぼく自身、あの時神というお方は、本当に人間を幸せにしたいと思っているのだろうかと、疑わずにはいられなかった。………ぼくがパレスチナで知っていた神も、やはりパレスチナから逃げ出していったのだということを、ぼくはもはや疑わなかった。彼もぼくの知らないどこかへ、難を逃れていった。彼自身でこの問題を解決できずに。


活字畑でつかまえて@catcher-in-the-eye2026年6月4日読み終わった「ガザに地下鉄が走る日」で引用されていたので 興味がわいたカナファーニーの短編集 とんでもない作品群だ。 ただただ圧倒され倒しだった。 『太陽の男たち』 いわゆる密入国もの。 サスペンスフルだ。 「ガザに地下鉄が走る日」で結末は語られていたにも関わらず。 書き出しからしてすばらしい。 まるで映画のファーストカットのようだ。 「おまえ以外の誰もがおまえよりもの知りだ••••••おまえ以外の誰もが」 「この長の十年の間に人々はそれぞれ自分の道を切り拓いてきたが、おまえときたら賤しい主家の追いぼれ犬のように、ただ坐りこんで無為の日々を送ってきたのだ••••••散々待ち侘びて何があったというのか」 主人公、アブー•カイスはどうやら 心根が弱い設定のようだ。 なるほど アブー•カイスはあくまで クウェイトへ密入国を目論む登場人物のうちの一人という設定なのか。 「アブー•カイスがこれまで冒険じみたことをしたことがあると思うか••••••あの男はうまくはいかんぞ•••••このいまわしいお天道さまに賭けたっていいが、こいつはまず絶対に間違いなしだ。」 アブー•カイス、ひどい言われようである。 『悲しいオレンジの実る土地』 主人公たちが難民となった夜、ユダヤ人宅に押し入り「あんたたちはパレスチナへ行けばいいんだ!」と声を荒げたおじさんの凄まじさ。 圧倒されたユダヤ人家族は隣の部屋に移り ようやく屋根とタイル張りの床を獲得する。 まず声を荒げることの重要性。 ん?そんな生易しいものではない。 わずか11ページの凄まじい短編だ。 『路傍の菓子パン』 とんでもない傑作 難民児童学校に赴任した教師とその生徒ハミード少年の短編 お願いだからこの二人の絆だけは 永遠であってくれと願わずにはいられない。 夜中まで上映している映画館の前で 菓子パンを売るハミード少年。 しかし客待ち中に睡魔に襲われ、客を逃してしまうこともある。もちろん勉強に身が入るわけがない。 ため息しかでない。 凄まじい短編だ。 自分の甘さをこれでもかと殴られる。 俺こそが菓子パン野郎だ。 「難民児童学校では、どの生徒も自分の悲劇を決して明かそうとはしないのだった。どの生徒も、それをきつく胸の底にたたみこんでしまっていて、なんだかそこには、そうすることが義務であもあり、掟でもあるという互いの黙約げあるかのようでさえあった。」 「おまえ知ってるか?先生の兄貴もなあ、死んじゃったんだぞ」 「本当?」 「そうだよ、でっかい自動車に轢かれちまったんだ」 『ぼくは嘘をついていたのだ。ぼくは何としてもでも、この小さな子供の悲しみの中に一緒に入りこんでやりたかった。』 胸が苦しい。 「ぼくは自分が彼の生涯におきた悲劇を傍観するだけの、単なる行きずりの者だけで終ることが、どうしてもできなかった。」 俺もそういう人になりたい。 『盗まれたシャツ』 「この溝掘り仕事を終りにして、テントの中に入り冷たい掌を焦げるほど火にかざすことができたら、どんなにいいだろうと彼は思った」 掌を焦げるほど、という表現がすごい。 俺はそこまで切実に火を求めたことがないのだろう。 こちらの脳天をかち割られる作品だ。 『彼岸へ』 とんでもない言葉の掃射。当たり前だ。 パレスチナ人がどれだけのことをその胸に溜め込んできたのか、すべての者を薙ぎ倒すだけの権利が彼らにはある。 『戦闘の時』 「それは、戦争のさなかのことだった。戦争?いや、ちがう。それは戦闘状態そのものだ。つまり敵との間断のない、激戦のさなかのことなのだ。なぜって、戦争にはその間に心を安らげてくれる微風がこころよく吹く時だってあるし、そんなとき兵士たちはほっと息抜きすることができるだろう。それに、休戦とか、停戦とか、前線から退いてとる休暇だってある。ところが戦闘ってやつは、ひっきりなしに弾丸がとびかっている状態のことだろう。」 戦争は微風が吹き抜ける時が僅かながらある。 すごい表現だ。 「それは、戦闘時のことなのだ。ぼくがこう言うのも、きみはそれがどんなものか知らないからなのだ。そのとき、世の中はさかさまにひっくり返っちまっているんだ。誰一人道徳はどうしたなんて、問う者はいないんだ。そんなことを言う奴がいたら、さぞかし滑稽に見えるだろうなぁ。どんなふうにでもいい、どんな手段を使ってでもいいから生きのびること、それこそが、立派に徳を達成することになるんだよ。いいね!人間、死んじまったら徳もへちまもありはしなくなっちまうのさ、そうじゃないかい?」 「さあ、それじゃあ、戦闘時においてきみのすべきことは、第一番目の徳を達成するってこと、つまり自分が生きのびるってことなんだということで、同意してくれるね。それ以外のことは、二の次なのさ。なぜってきみ、戦闘が続けば二番目のものなんてありはしないのさ。きみは一番目の徳を果たして終えてしまうということはないのさ」 ホールデンのような饒舌体がおもしろい。 「戦闘」のメタファーや結末までサリンジャーのようだ。 他の短編に比べて喜劇的な要素があるのが面白いし したたかさを際立たせている。 つまりなんとか生きていかねばという強靭さがある。深刻なだけでは生き延びていけないのだ。 『ハイファに戻って』 これぞ人間ドラマ ただただ感服。 とんでもない高みに達した作品だと思う。
eringi@eringizakuzaku2026年5月18日読み終わった中編、短編、身につまる内容で、昨日観てきたKYOTOPHONIEの南アフリカの展示にも繋がりつつ、日々消えつつある報道への疑念を思い出しつつ、一ミリも見逃してはいけない本だった。また読みたい。 自分へのメモとして、河岸へ、からの抜粋。 「俺たちの生涯ってのは、俺たちの抱えている問題と並んでひっそりとつつましく延びている、もう一本のまっすぐな線のことじゃあねえかと俺には思えるんですよ。この二本の線はいつも並んで走っていてね、決して合わさることはねえんですよ。」
ゆずりは@setsu03122026年4月27日買った読み終わったイスラエル建国直前の虐殺を生き延び、1972年に爆殺されたパレスチナ人作家の短編、中編小説集。 速読することを拒否する文章とその内容で、数ページの掌編ですら、何度も読み返した。 フィクションだけど、実際にこういうことは日常的に起こっていたのだろうし、今はもっと酷いかもしれない。 その土地に産まれたのだから、では堪えきれない哀しみで満ちている。読んだ人が「もしも自分が…」と想像することから始めたい。



- あんのうんくん@unknowntb1402026年2月6日かつて読んだかつてナチスに迫害されたというユダヤ人夫婦に家を追われたパレスチナ人の夫婦の夫がいう「間違いが2つあったからといってそれが正しいことにはならない」

enoki@en0ki2026年1月31日読み終わったパレスチナ出身の作家の短編集。どの話にも悲しみの気配が濃い。実際に虐殺を生き延び難民となり、生涯戦った著者の経験が色濃く反映されているのだろうと思う。訳のためか、視点が頻繁に変わる書き方のためか、少し読みにくさがある。 最も印象に残っているのは「悲しいオレンジの実る土地」で、短い話の中で「鮮やかなオレンジ」であったろうものが悲しみを帯びていく様子はひどく心が痛む。 離れたかったわけでもない土地の名前が変えられ、住んでいた家には別の人間が生活している悔しさ悲しさやるせなさ、そして怒りはどこに向かえばいいというのか。 これは物語だが、多かれ少なかれ実際にあっただろうと思う。たぶん今も続いているんだろうな。どうしてこれが続いているんだ。許されないだろ。
torajiro@torajiro2025年10月4日読み終わった@ 自宅パレスチナ解放運動にも関わり1972年に36歳の若さで爆殺されたガッサーン・カナファーニーの作品を収めた中・短編集。家族との別れ、家族への思い、家族の生活を守るための葛藤…、一つ一つの感情やそれを生み出しているものを切り分けて取り出せば例えそれが悲劇であったとしても世界中どこの国の文学にもあり得る。それこそ平和な国の文学であっても。それでも本書の7編の作品の舞台やテーマが難民キャンプ、密入国、虐殺、戦争と戦闘という中でしか描かれ得ず、著者自身の体験も交えたものであるということを感じなければならない。著者が亡くなって30年以上が経ち、状況は悪化し続けて、パレスチナを黙殺し続けている世界が続いていることに戦慄するが、文学だからこそそこに描かれた感情が文化圏を超えて届く可能性について希望を捨てず本書を薦めていきたい。


本読みの旅人@hi_tommy9302025年5月31日読み終わった@ 電車奈良旅行のお供。 ここに書かれていることは物語だが、今もパレスチナで、シリアで、ウクライナで、あらゆる紛争地で実際に起きていることだ。自宅を追われ、祖国を追われ、避難するとは難民になるとはどういうことなのか。
りっか@anzu-ricca2025年5月28日ちょっと開いたまたいつか紹介@ 自宅読んで、ガザのことを思うと苦しくて苦しくて仕方ありません……。 ただ。ですが、「先住民族から土地を奪い追いやり、親から子供を取り上げてことばや生活習慣も奪って『自分たちの奴隷』にする」愚行は、歴史記述に残って(そしてわたしが知る限り)、少なくとも大航海時代からもう始まっているんです。 アリストテレスの説を根拠にした、こんにちレイシズムと呼ばれているもの/ひととひととを切り分け、身勝手にも自分たちの「下」に敷いたひとたちの、「いとなみを脅かし断ち切るもの」を存続させてしまっている。 日本人もアメリカの戦略を隠れ蓑に、東南アジアにむごいことをしました。 もう、止めましょう。動きましょう。


ロッタ@rotta_yomu2025年5月27日読み終わった1948年イスラエル建国。故郷を追われたパレスチナ人たちのその後。本を読んだり、podcastを聴いたり、わたしなりに知ろうとして知ってきたつもりだったけど、小説で知るということはそのどれとも違った。汗を流して、涙をこぼして、痛み切った心を抱える彼らの顔を、わたしはようやくしっかりと見た気がする。 「その人間が誰であろうと人間の犯し得る罪の中で最も大きな罪は、たとえ瞬時といえども、他人の弱さや過ちが彼等の犠牲によって自分の存在の権利を構成し、自分の間違いと自分の罪とを正当化すると考えることなのです」 どれだけ悲惨な歴史があろうともその歴史を盾に自らの行いを正当化し虐殺を繰り返す行為は許されない。やっとわたしは意志を持ってそう言える。




Sanae@sanaemizushima2025年5月9日読み終わった図書館ニュースだけを聞き読みして、どうしてもっと早く内からの声を知ろうとしなかったんだろう。 「太陽の男たち」の最後、「なぜだ、なぜだ、なぜだ」がずっと頭の中にこだまする。





Chihiro@chiii_no02025年4月18日読み終わった「オレンジは、その水加減をする手が変わると、枯れるのだ」 「祖国」はある者にとっては過去を指し、ある者にとっては未来を指す。 思うことはあれど胸の中で黒い渦のようになっていて言葉にできない いつかこの思いを言語化できる時がきてほしいと強く思う

駄々猫@dadaneko-462025年4月11日買ったかつて読んだ発売後、すぐに購入して読了。 その時も、作品の内容からよりも、生み出された背景を考えてしまい、しんどかった。 今、読み返したら、もっとしんどいかも知れない。














































