汚れた手をそこで拭かない (文春文庫)

3件の記録
- Whim@whim2025年3月12日読み終わった生きててうっすら出会う悪夢、ヒヤッとする感覚みたいなのが体験できる本。短編なので読みやすかったです!ハッピーな話は無いので読み終わった後に情緒が沈みます。 最後の話は特に!やらかしたら隠さず謝ろう…
- haku@itllme2024年9月5日かつて読んだ人間の姿をこんなに生々しく描いた 短編集。 (ネタバレ有) どの話も解決とか新たな希望とかそんなのでは終わらない。 "そんなの"と読んでしまうほどに汚れた手は元には戻らなかった。 汚れたまんまだった。どうにかその汚れを落とそうとする人間の姿がありありと描かれてた。 1番ハラハラしたのは 「埋め合わせ」 学校の先生がプールの水を止めるのを忘れてしまっていてそれを知られないようにする。 多分人間だったらこう考えるんだろうなと 私でもこう考えるなと 自分の嫌な思考が全部作者に見透かされているようだった。 夢中で読んだのは 「お蔵入り」 映画監督が誤って出演者を殺してしまうのだけど、映画のためにそのことを隠す。 けれど、途中で出演していたアイドルが犯人に仕立て上げられてしまう。 あの女の子がバラエティであったアイドルに抱いていた憎しみに対して監督が勘違いしたまま、自分の首を絞める道を選んでいってしまう姿は止めるにも止められない、そうあるべきなのかもしれないと思わされた。 最後の「ミモザ」 不倫相手だった男が彼女の全てを知りながら近づいてくる。 彼女が息を止めて通り過ぎていた清掃員が彼だったと知った時はドキッとした。 『悪いことをしたから悪いことが起きるわけではない』 彼女は悪いことをしていなかったのかな 全てを見透かされたような 人間の醜い姿とその姿になるまでの思考が露わにされた5編。 汚れた手をそこで拭かない 汚れた手は拭けない と言われてるようだった