地球の果ての温室で
73件の記録
きなこ@kinako20252026年1月19日読み終わった考えさせられる韓国文学最高最近キム・チョヨプさんのエッセイを読んで、この小説も読みたくなった。その結果は......。 大正解! 彼女の作品はどれも好きで、特にデビュー作の『わたしたちが光の速さで進めないのなら』が一番推しだったのだけれど、それを超えた。 いつも通りの科学的要素が満載の作品だけれど、その中を漂う人間くささというか、登場人物たちの関係性が切ない。 サイボーグと人間とのシスターフッドの関係や、地球の滅亡の前に尽力した名もなき人たちの努力とか、作者が思っていることが豪速球で伝わってきて胸が震えた。 レイチェルからアヨンに宛てたメールにそれが凝縮されている。 p356 「人類はこれまで、どれほど人間中心の歴史ばかりつづってきたのでしょうか。植物に対する認知バイアスは、動物としての人間に備わった久しい習性です。わたしたちは動物を過大評価し、植物を過小評価します。(中略)わたしたちはピラミッド型の生物観にしばられています。植物と微生物、昆虫はピラミッドの下部に過ぎず、人間以外の動物がその上、人間はピラミッドの頂点にいると考えます。完全に間逆にとらえているわけです。人間をはじめ、動物は植物がなければ生きていけませんが、植物は動物なくしていくらでも繁栄させられるのですから。地球という生態において、人間はつかの間の招待客にすぎません。それも、いつでも追い出されうる危うい立場にあります。(後略)」 近未来にダストという殺人霧が発生した時、人々がとった選択は、ドームに篭るということだったが、そこに入るためには、社会的弱者を切り捨てることが当然という社会だった。 ダスト発生原因を作った研究所は知らぬ顔をし、いよいよ人類滅亡か?の瀬戸際にようやく重い腰を上げる。 結果再建した世界では、それらの人々が英雄に祭り上げられているが本当にそうだろうか?いつの世も英雄の名前だけが歴史に残るが、本当は名もなき市井の人々の弛まない努力があったからではないか? これは小説の中だけでなく、現実社会でも当たり前にある事実。 何が真実か?事実から導かれる真実を見極める眼を養っていきたい。


いるかれもん@reads-dolphin2025年12月29日読み終わった以前読んだ『私たちが光の速さで進めないなら』のキム•チョヨプの長編小説。相変わらず翻訳とは思えないくらい、とても読みやすく好みの文体だった。今回は多くの世界の動植物が死に絶えた世界を生き抜いた人々の話ということで、人が殺されたり、殺されそうになったり、争いが起きたり、なかなか緊張感のある世界感だったけれど、久しぶりにそういうハラハラドキドキも楽しめたと思う。あと、「ダスト」という植物の蔓延で外に出られない世界ってコロナ禍にも重なった。著者のあとがきまで読むと、「植物」にとてもこだわった作品だとわかる。著者の父親の「植物はなんにでもなれる」という言葉が印象的だった。



💛@okiotashikani2025年8月14日読み終わった植物への愛、社会・生存・人間を諦めないこと、アクション、ヘビー感情の百合、サイボーグ百合、愛し方、人間における植物の見下し(動物を優位におく)等々要素が盛りだくさんだった…それでいてこんなにきれいにまとまっているのはさすがとしか言いようがない まだ消化しきれていないけどとてもよい作品だった



💛@okiotashikani2025年8月14日『地球の果ての温室で』で描かれた愛し方をみると、『わたしたちが光の速さで進めないなら』に収録されている作品「巡礼者たちはなぜ帰らない」で恋愛規範を感じてちょっともやもやしていたけれどそれも違う読み方ができるような気がする
💛@okiotashikani2025年8月12日読んでる第1章まで読んだ。だいすきなキム・チョヨプさんの長篇小説。長篇なだけあって読みやすさが高い。植物や生態系への愛を語っているところではすごく共感した。引用する。 p80「目には見えもしない微生物や、地面をほじくり返す虫たち、海や湖の藻類、じめじめした場所で菌糸を伸ばす菌類。アヨンは、そういうゆっくりとうごめくものたちが遠くまで広がっていく様子を見ているのが好きだった。広がるのに時間はかかっても、協力なものたち。きちんと見張っていないと、庭を覆いつくしてしまう植物のように。そういった植物にはとてつもないパワーと驚くべき生命力、不思議な物語が宿っているということに、アヨンは子どものころから気づいていた。」 「生態学は…変化を捉える学問だ」 「徹夜で植物標本を観察する日があると、アヨンはそれらの植物がどれほどの歴史をもち、どれほど多くの物語を内包しているのか想像した。そうしてときどき、子どものころのあの風景を思い起こした。」


nogi@mitsu_read2025年6月8日読み終わったキム・チョヨプさんの本は「わたしたちが光の速さで進めないなら」に続いて2冊目。 これは長編だったので、1冊目とは違う感覚で読んだ。 舞台も、1冊目は宇宙を近くに感じるものが多かったけど、今回は、湿った土や濡れた森の色の濃さ、人間のどうしようもない愚かさと死のにおいと植物の静かな力強さが根底にあった。 こんな状況にいたら人はこんなふうに他者を排除して行動するだろうな、共同体は長く続かないだろうな、それが生存本能かもしれないけれども、人はなんて醜く、世界(社会)は信じるに足りないのだろうと思った。 でもどうしようもない人のなかにも信じていい感情があって、優しさがあって、かけ違えて、壊してしまった関係も、意味がなかったわけじゃない。 レイチェルとジスの関係性は、友情でも性愛でもない、鬱蒼とした森の奥の、したたる雨の下の、捻れて歪んでしまった根のような執着の形をしていて、けれども最後には、花が咲いて種を落とし、昇華されたような気がした。(いや、昇華なんて言葉でまとめる必要もない関係の終着であったことこそが救いなのかもしれないとも思う) p76 〝「わたしもあるとき気づいたんだ。嫌いなやつらが滅びるべきであって、世界が滅びる必要はないって。それからは、長生きしよう、死んでたまるもんかって心に決めたんだ。そうして嫌いなやつらが滅びていくのをとくと見届けてやろうってね」 「成功したんですか?」 「さあ。そうは思わない。やつらもまだのうのうと暮らしてるところを見るとね。でも、そう思いなおしたおかげでいいものもたくさん見られたよ。世界が滅びてたらきっと見られなかったものをね」〃 p370 〝「心も感情も物質的なもので、時の流れを浴びるうちにその表面は徐々に削られていきますが、それでも最後にはある核心が残りますよね。そうして残ったものは、あなたの抱いていた気持ちに違いないと。時間でさえもその気持ちを消すことはできなかったのだから」〃





シマコ@_shi_ma_ko_2025年6月1日読み終わったSF初心者なもので、途中で情報を整理しないと処理しきれなかったし、面白いところに辿り着くまでが長かったけれど、読んでよかった。 ・ 人間のどうしようもなさにやるせなくなった。 それでも信じて前向きに進む姿が美しかった。 ・ 優しいなあと思った。🌱

辻井凌@nega9_clecle2025年3月18日読み終わった借りてきた感想現在と過去を行き来し、モスバナという植物の謎がどんどん明らかになるテンポが心地よい。謎の答えはどれもやさしさに包まれている。きっと作者はこの世界は疑っているけれど根っこでは人間を信じているのだろう。そんな気がする。







あるる@aru_booklog2023年11月16日かつて読んだこの本をきっかけにキム・チョヨプさんの作品はどんどん読むようになった。必死に生きる市井の人の強さと儚さを感じる人間味のあるSF。主役は植物です。






































































