老いぼれを燃やせ

老いぼれを燃やせ
老いぼれを燃やせ
マーガレット・アトウッド
鴻巣友季子
早川書房
2024年9月19日
24件の記録
  • 続き 「わたしは真っ赤な牙をむくズィーニアの夢を見た」 ズィーニアは仲良し高齢女性3人からかつてパートナーを略奪した女性(故人) 仲良し3人のうち犬を飼っているカリスのもとにズィーニアと共に姿を消したパートナーのビリーが戻ってきて、カリスは二世帯住宅の空室を貸している。 他二人はビリーがカリスの財産を奪うのではないかと心配して犬のウィーダをプレゼントしていた。 ビリーをウィーダが噛み、それがきっかけでカリスの目が醒めて、ズィーニアは自分たちからろくでもないパートナーを引き剥がすために存在していたのかもしれないと言い出す。 カリスはウィーダに乗り移ったズィーニアがビリーに噛み付いてそれを知らせてくれたと。 ちょっと奇想天外な発想ではあるけれど、ビリーはいろいろと曰く付きで一緒に暮らすべきではないと悟って家からも追い出し、新たな入居者が現れてめでたし! 高齢になっても仲良く散歩したり食事できる仲の友だちがいるのっていいな〜 「死者の手はあなたを愛す」 四人の貧乏大学生が一軒家を借りてシェアして暮らしてた時、そのうちの一人のジャックは家賃を払えなくなり小説の印税を三人に分けて支払うと約束して契約書をかわした。 その後その小説がヒットしてしまい長年に渡り印税を四分の一しか受け取れないジャックが他の三人からその権利を取り戻そうとする話。 全員が老境に入り、一人は膵臓がんで権力を手放すし、もう一人はすでに権利を持っていなかった。 四人のメンバーのうちのイレーナと結婚、のちに離婚した際に権利をイレーナに譲渡していた。 小説はホラーでもありユーモラスなストーリーだったがジャックを含めた四人が登場していた。 最後の権利の持ち主のイレーナは元恋人でもあり、なんだかんだで丸く収まってよかったね!という感じだった。 「岩のマットレス」 十代の頃にレイプされた男に北極圏クルーズで再会しクルーズ中に男を殺すことにしたヴァーナがそれをやり遂げられてよかった。 ヴァーナは街を追われ教会で子を産み(レイプで妊娠していた)、子は養子に出し、今でいうパパ活のようなことをして学費を貯めて大学に行き人生を軌道修正して生きてきたのに、男は罪に問われることもなくのうのうと生きてきたことを知ったら腹も立つよね。 しかもひとりで参加していたヴァーナを口説いてきたけど、過去に自分がレイプした少女だと気づいていない。 死体が見つからない完全犯罪。 「老いぼれを燃やせ」 タイトルから以前話題になった「高齢者は集団自決」みたいな話かな?と思ったけどそれがさらにエスカレートした世界の話だった。 高齢者施設を標的にして、食糧は入れず職員を追い出し建物を燃やすというのが世界で同時多発的に起きるというディストピア。 語り手のウィルマは視力をほとんど失っていているがシャルル・ボネ症候群の症状で小さい人の幻覚が見える状態。 シャルル・ボネ症候群というのをはじめて知ったけど、岡田あーみんの漫画にたまに出てくる幻覚の小人を思い出した。 訳者解説がないとアトウッド初心者には理解が難しい箇所があったけどおもしろかった!
  • 続き 「変わり種(ルスス・ナトゥラエ)」 「フリーズドライ花婿」 奇妙さと間抜けさが良い。
  • 続きから (「アルフィンランド」「蘇りし者」「ダークレディ」は三部作だった) 「蘇りし者(レヴェナント)」 ギャヴィンと現在の妻とレイノルズ(30歳下‼︎)との日常からはじまり、ギャヴィンにインタビューしたいという大学院生のナヴィーナが自宅に訪ねてくる。 はじめはギャヴィンの初期の詩の話をしていたが、ナヴィーナの目的はコンスタンスの「アルフィンランド」についてで、ギャヴィンは憤慨して「アルフィンランド」について酷くこきおろしていた。 ギャヴィンは今もコンスタンスに未練があるようだったけど、それと「アルフィンランド」を馬鹿にするのは両立するんだな、と思った。 そして階段から落ちて死んだ(多分) 「ダークレディ」 コンスタンスと同棲していた時に浮気したマージョリーが登場。 同棲してた部屋で二人がいたしているところをコンスタンスが目撃して、ギャヴィンはコンスタンスに捨てられた。 マージョリーは双子のきょうだいのマーティンと同居していて、それぞれジョリーとティンと呼び合っている。 ギャヴィンの訃報を新聞で知って追悼式に行きたいと言い出したジョリーに付き合って参列した二人。 いろいろあってコンスタンスと対面したジョリーは、自分はギャヴィンに捨てられたことをコンスタンスに伝え、コンスタンスはジョリーがギャヴィンを捨てたと思い込んでいたので、アルフィンランドの世界での訂正をし、ジョリーを解き放つという、このシーンは高齢女性二人だけが通じ合っていて、周りが置いてきぼりになってたけど、読者は「アルフィンランド」の中でコンスタンスがギャヴィンとジョリーをそれぞれ閉じ込めていたのを知っていたので、なんとかわかる。 二人はハグをして別れたのがよかった。 若い頃のひと時を過ごした人との思い出は年老いても残るものだなと思った。 良い思い出も悪い思い出も。
  • 9つの短編が収録されている短編集。 「アルフィンランド」 若い頃のコンスタンスは恋人で詩人のギャヴィンに尽くし、生活のために三文小説を書いたら大ヒットしたけど、ギャヴィンとその周りの男たちはお金のために書いたくだらないものだと決めつけていたのが腹が立った。 そのお金でギャヴィンは暮らしているのに。 出版社と正式に契約して、浮気をしていたギャヴィンを捨てて出ていったコンスタンスを未練たらたらで追いかけて金の無心をするギャヴィンはダサかった。 「アルフィンランド」はコンスタンスが書いている小説の世界で、今も熱心なファンがいるほど愛されているがコンスタンスはファンと交流するつもりもないしSNSのアカウントを作って宣伝する気もない。 「アルフィンランド」はコンスタンスにとっては現実世界からの退避場所だから面倒なことはしたくないというのがよかった。 はじめは亡くなった夫の声が聞こえる高齢女性の話かと思ったけど、コンスタンスはとてもたくましく、長生きしそうな予感がした。 融雪剤の代わりに猫砂を撒くと翌日とんでもないことになるという知見を得た。
  • おこめ
    おこめ
    @okome_oishiine
    2025年9月12日
  • neijima
    @neijima
    2025年9月6日
  • 海
    @okya0000
    2025年7月19日
    表題作「老いぼれを燃やせ」の主人公ウィルマは高級老人ホームで暮らし、視力は衰えて、シャルル・ボネ症候群の症状で幻覚を度々見る。社会全体では老人排除の動きが大きくなっており、老人ホームの外には「われらに出番を」「時間切れ」「老いぼれを燃やせ」と書かれたプラカードを掲げた集団が抗議活動をしている。ウィルマの一人称視点ではあるものの、自分の目で状況を知ることができないために老人ホームにいる友人たちによって抗議活動が過激になっていく様子が語られていく。これによって現場の混乱が伝わってくるようで、ひんやりとした感覚があった。弱者排除の傾向は身に覚えがありすぎる。
  • なな
    @nana0726
    2025年5月21日
  • きなこ
    きなこ
    @kinako2025
    2025年5月7日
  • エマ子
    エマ子
    @emma-0508
    2025年4月30日
    九つの短編のうち七篇が高齢者が主人公。 山あり谷ありの人生も終わりに近づき穏やかな老後…を送っているものはほとんどいない。 身体は衰えても、自身が受けた仕打ちは忘れず、数十年前に別れた恋人をネチネチと思い続ける。 誰しもが行き着く先がこんなにも執念めいていてるとは思いたくないけど、残り時間が少ないからこその悪あがきなのかもしれない。 「石のマットレス」はもっとやっていいぞと思いながら読んだ。
  • エマ子
    エマ子
    @emma-0508
    2025年4月17日
    タイトルが強い。
  • クロ
    クロ
    @a____o
    2025年4月5日
  • 瀬崎 巧
    瀬崎 巧
    @record3636
    2025年3月27日
  • Ayako
    Ayako
    @aya_rb
    2025年3月23日
  • rina
    rina
    @allspice
    2025年3月18日
  • 調
    調
    @shirabe
    2025年3月18日
  • 白雨
    白雨
    @nocturnalism
    2025年3月7日
    購入優先度高
  • ユウカ
    ユウカ
    @mana-therapy
    2025年3月7日
  • 竹
    @take_kaki
    1900年1月1日
  • U
    @usuikz
    1900年1月1日
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