

Kioku
@noir14
学校図書館勤め司書の覚書
- 2025年11月22日
さよならジャバウォック伊坂幸太郎読み終わった最近の伊坂作品も面白かったけど、昔からのファンとしてはやっぱりこういう物語を待っていた!章ごとに主人公が変わることで、物語が色々な方向から始まり進んでゆく。そして登場人物が集合する終盤で、なるほどってなる展開。やっぱり面白い。暗い雰囲気で始まったけど、最後には光があって読後もよい。他人を変えることはできなくても自分は変われるが座右の銘みたいなものなのだったのだけど、破魔矢くん流に過去は変えられなくても未来は変えられるも付け加えておこう。 - 2025年11月6日
パラソルでパラシュート一穂ミチ読み終わった美雨は譲ってもらったチケットで行ったコンサートで享と出会う。靴擦れした美雨とスタッフとして働く享が音楽の鳴り響く会場で口パクで待ち合わせをする、という物語の始まりが面白く、心を掴まれたままラストまで読み切った。 美雨は29歳。派遣の受付嬢として働くが、30歳で退職するという暗黙のルールまであと少し。享はお笑いコンビを組んでいて、美雨は享の舞台を観に行くようになることで、享の芸人仲間と親しくなる。私が29歳の時は職場関係でも恋愛関係でもない人と親しくなり、友達と呼べる仲間ができることは結婚退職するより難しかった。令和の世を生きる29歳の女の子はどうなんだろう。 - 2025年10月30日
砂嵐に星屑一穂ミチ読み終わった東京から大阪の地方局に10年ぶりに戻ることとなったアナウンサーの三木。自身の役割や居場所の不安定さをぐずぐずと悩んでいる時に、かつての上司が死後、幽霊となって職場を徘徊しているという噂が立つ。この三木から始まり、同じテレビ局内に勤める人物達がバトンを渡すように主人公となり、四季が巡るオムニバス形式の物語。どの主人公も弱さを持ちながらもその弱さに向かい合うのだが、その姿は力強いというのとは違う。しなやかさ、したたかさ、みたいなものがなんとも魅力的に描かれていて、爽やかな読後となった。 - 2025年10月14日
二平方メートルの世界ではたこうしろう,前田海音読み終わった光村の三年生の国語の教科書で紹介された、文章量が多めの絵本。おそらく主人公が三年生だからなのだろうが、この年頃の子が読むよりも、親世代の方が刺さるだろう。生まれ持った疾患のため、定期的に小児病棟で過ごす主人公は著者自身。著者が入院時に見たもの感じたものを真っ直ぐ言葉にしている。子どもは、大人以上に分かっているのだ。自分の身体のことなのだから健康な大人が想像で思うよりも理解が深まっているのは当たり前だ。しかし、その当たり前のことを忘れていたのだと痛感した。 - 2025年10月7日
婚活マエストロ宮島未奈読み終わったあぁ、面白かった!著者の作品はどれも、嫌味なく面白みがあって、とにかく読みやすい文章だなと感じる。そして、どの世代にもおすすめできる。40歳独身男性が婚活市場に足を踏み入れる物語で、こんなに爽やかな読後を味わえるとは思わなかったな。 - 2025年10月7日
涙の箱きむふな,ハン・ガン読み終わった翻訳された文章に苦手意識がある。耳慣れない言い回しや馴染みのない名詞があることで、物語から意識が離れてしまうからだ。しかし、この本は文章が美しいと聞いていたので、そういった苦手意識を乗り越えて手に取って大正解。涙をめぐる短い童話であるが、大人が読めば読むほど深く感じ入る。装丁もよかった。 - 2025年9月2日
蛍たちの祈り町田そのこ読み終わった親を殺したい。そういった環境で育った子どもたちの話。1話の幸恵と隆之の物語から始まり、隆之を囲むように子供たち世代の話へと続いていく。被害者であった子どもが加害者となることで、負のループが出来上がる。家族からの呪縛から解き放たれたいという願いは蛍のように儚い光であるが、物語を読み終えた後には、確かにある光なのだと思えた。 - 2025年8月30日
舟を編む三浦しをん読み終わったNHKのドラマを観ていたので、最終回を見届けてから読もうと置いておいた。 ドラマは原作のパラレルワールドなのかな。登場人物や人物背景は同じだけれど、時代設定が異なる。 ドラマはみどりちゃんが主人公。辞書編纂を通じてまじめさんが人との関わりを築いていく様は小説ならではの面白さだった。ドラマで結末知ってるし…と読み始めたが、ラストが異なりびっくり。おかげでどちら楽しめた。 - 2025年8月16日
楽園の楽園伊坂幸太郎読み終わった長めの短編?中編⁇ なのだけど、伊坂節や凝った装丁などで満足度は高い。ここ10年のウイルスのパンデミックや地震や大雨による気象災害、実はこんなことが原因だったのでは…というお話。人間は物語が大好きで事象に原因や理由をつけたがるというのがテーマで、この小説がそういった災害などを語る物語となっている。YA文学としてもおすすめ。 - 2025年8月8日
- 2025年8月7日
月とアマリリス町田そのこ読み終わった老女の死体遺棄事件を取材することになったフリーライターの主人公。サスペンスのような物語の進行だが、ジェンダーや家族の問題、格差社会が軸にありながら、きちんと希望も描ききるところが作者らしい。事件の真相を知りたくてあっという間に読み進めてしまった。 - 2025年7月31日
ドヴォルザークに染まるころ町田そのこ読み終わった過疎地域の小さな小学校の廃校が決まった。お別れ会として地域をあげて祭りを開催することになり、この祭りの一日を何人かの視点から語る物語。男女のどろどろとした話が多く、読後はざらりとした違和感が残る。暗い気持ちを引きずってしまい読みにくさを感じだが、そこが面白いところでもある。 - 2025年7月25日
うつくしが丘の不幸の家町田そのこ読み終わったうつくしが丘の中古住宅を店舗兼住宅にリノベーションした夫婦。引越した直後、この家は不幸の家と呼ばれているという噂を聞く。本当に不幸の家なのか?を検証するかのように、少しずつ時を遡ってかつての住人の物語が続いていく面白い構成。この家に住む人々には家族の問題があったのだけれど、これはこの家に限ったことではないだろう。一つの場所を語ることで、そんな当たり前のことに気が付かせてくれる。 - 2025年7月23日
カラフル禅之助,阿部暁子読み終わった入学式の朝、ちょっとした事件で遭遇した元陸上選手の井澄と車椅子ユーザーの六花はクラスメイトとなる。車椅子ユーであるが故のトラブル、井澄が陸上を辞めることとなったトラブル、などなど2人を取り巻く友人関係や家族関係など、心の動きを丁寧に描いた会話が生き生きとした物語。これぞヤングアダルト!!な青春小説で中高生の読書感想文にも良いと思った。 - 2025年7月16日
ありか瀬尾まいこ読み終わったやっぱり瀬尾まいこさんのお話好きだなぁとしみじみと思った。 主人公は園児の子を持つ女性。シングルマザーで実母との関係も悪く、なかなか周囲に頼れない。自分に自信が持てなかったが、子どもの成長と共に人と関わる楽しさを知り、少しずつ変わっていく様子が丁寧に描かれている。 希望のある温かな物語。読み始めたら止められなくて、一気に読み終えた。 - 2025年7月16日
金環日蝕阿部暁子読み終わったカフネが面白かったのでこちらも。 大学生の春風が、顔馴染みのおばあさんがひったくりに合う場面に遭遇する。その場で一緒に犯人を捕らえようと動いたのは、高校生の錬だった。犯人を取り逃したため、2人で手掛かりを元に犯人探しを始めるミステリ。 展開が気になってどんどん読めてしまう。伊坂幸太郎が好きな人には面白いのでは。 - 2025年7月1日
- 2025年6月29日
君が夏を走らせる瀬尾まいこ読み終わった「あと少し…」より先に読んで、読み終えてから続編だと知った。この作品だけでも面白く読めたのだが。 主人公の大田はいわゆる不良少年。小学生から 勉強についていけなくなり、それを認めたくなくて暴力やタバコに逃げたが、やっとやりたいことを見つけた。しかし高校受験には間に合わず、進学先は底辺校。再び自分を見失っていた頃に、先輩の子どものベビーシッターを任されてしまう。 大田が自分を受け入れて前に進もうとする姿が生き生きと描かれ、読後も爽やか。中高生の読書感想文にも良さそうだ。 - 2025年6月29日
あと少し、もう少し瀬尾まいこ読み終わった中学駅伝部の話で「夏が君を走らせる」の前作。 毎年県大会出場校であった駅伝部。しかし顧問の異動により、部の存続が怪しくなってしまう。 部員6人を一章ごとに主人公として語ることで、物語も襷のように繋がっていく。同じ場面でも語り口が変わるため、言葉を発した側の気持ちと言葉を受けた側の気持ちが読み進めると分かるようになっている。6人それぞれの悩みや葛藤が丁寧に描かれていて、面白かった。 - 2025年6月22日
最新研究で迫る 生き物の生態図鑑きのしたちひろ読み終わったラジオで知って小学生にオススメできるかな?と読んでみた。好きな子は刺さりそうだけど〇〇事典とか読んでる層では無さそう。ゆるカワイラストなのに本気仕様というのが面白い。楽器を使うオウム、顔見知りと結ばれるメダカ、クジラの流行歌など、最新の研究が知ることが出来るので大人の学習によいのでは。引用文献みるとその本気度がわかる。
読み込み中...
