パリの砂漠、東京の蜃気楼

61件の記録
- 読書猫@bookcat2025年9月19日読み終わった(本文抜粋) “シンプルを志して生きてきたつもりだったのに、なぜこんなにもこんがらがってしまったのだろう。目を閉じて浮かぶものと、今目を開けてそこにあるものの差が耐え難い。ここにいたくないのにここにいる。一緒にいたい人と目の前にいる人が違う。望んでいる世界と今いる世界が遠く離れている。ただひたすら全てがばらばらで、散り散りに引き裂かれている気分だった。無力感は湖に垂らした絵の具のようにじわじわと端々から水に溶け次第にどす黒く広がっていく。” “私は何故常に理性を失い続けているのだろう。どうして三十四年間、理性を喪失したまま生きてきたのだろう。私の人生は足を踏み外し続けることで無理やり転がり続けてきたようなものだった。” “基本的に鬱は早起きや掃除や武道や水行をすれば治ると思っている旦那と、早起きや定期的な掃除、武道や水行をするような人は鬱にはならないし鬱な人はそんなことできないし、そんなことをするくらいなら死ぬと思っているのだと主張する私は、一生分かり合えないだろう。それでも重なり合った部分はあって、その部分のかけがえのなさを思うたび、私はこの人と一生離れられないような気がする。この人とは離婚するほかなさそうだ。そういう判断を下したことも何度かあったけれど、彼のかき鳴らす雑音に揉まれている内、意外なほどその雑音に私の憂鬱や死にたみが紛れていることを自覚した。永遠に分かり合えない人と一番近いところで生きることこそが、きっと私にとっての修行なのだ。” “ぼんやりと幼少期の頃を思い出しながら、合点がいった。どうしてか分からないけれど、私はもともと生きづらかった。生きづらさのリハビリをしてくれたのは、母親や家庭ではなく、恋愛であり、小説だった。” “長女と笑い合って「かわいいなあ」と目を細める私は本当に愉快で幸せを感じていたけれど、この文章を書いている今の私は胃が空洞になったような物悲しさを体の中心に感じ涙を浮かべている。普通に日常を生きる自分と書く自分の乖離に身を委ねることは、それによって生き長らえているようでもあり、首を絞められているようでもある。”
- kikuchi@_______ki_____2025年8月23日買った読み終わったフランスで子どもたちと暮らすなか揺れ動く心境などが淡々と書かれている。自身の依存症のことなど暗くなるような気持ちも隠さず綴られていて自分の欲も悩みごとももっと正直に言ってもいいかなと思わせてくれるエッセイだった。 ひとつひとつのエッセイが短編小説のようでとても良かった。文体が鮮烈で好きです。
- a8ka@a8ka2025年5月23日読み終わった「きっと私も、無自覚にあらゆる人を傷つけてきた。差別や悪意以前に、存在するだけで、誰かを愛したり、誰かを生理的に嫌悪したり、誰かに対して個人的な感情を抱くだけで、常に何かに傷つき、何かを傷つけて生きている。生きているだけで、何かに何かの感情を持っただけで、何かに傷つき、何かを傷つけてしまうその世界自体が、もはや私には許容し難い。 この砂漠のように灼かれた大地を裸足で飛び跳ねながら生き続けることに、人は何故堪えられるのだろう。爛れた足を癒す誰かの慈悲や愛情でさえもまた、誰かを傷つけるかもしれないというのに。」 思っていることの言語化が真っ直ぐに鬱々としていて読んでいて「自分が思っていたことはコレだ」となる箇所がいくつもあった。誰も傷つけたくない、苦しい、寂しい。大人になってもずっと寂しい。
- 澪@mi0_book2025年5月7日読み終わった金原ひとみのエッセイを初めて読んだ。 砂漠の、乾いた風が目に染みる感覚が、蜃気楼で霞む曖昧な感覚が、読んでいる間に付き纏うようだった。金原ひとみが見ている世界はこんななのか、と思いながら読んで、もっと彼女の小説を読みたいと思った。
- Rika@ri_books_2025年5月6日買った大学時代の友人と梅田で書店巡り。 友人は最近本を読めてないらしいけど、書棚を回りながら私的おすすめの本を教えたり、ふと見かけた本から話が膨らんだりして楽しかった。 「スマホをだらだら見る時間を減らしたい」って言ってて共感しかなかった。笑 この本は紀伊國屋梅田の隣の古書通り?で購入。初めての作家さんを読むときはエッセイから入るタイプです〜
- M@mmaaaiiii2025年3月27日読み終わったこんな感想でいいのか分からないけど、カッコつけない正直さは人の心を打つしなんだかホッとするものがあった… (もちろん作品だから100%心の内を吐露しているわけではないに決まっているけど、だとしても。)
- よあけ@mogumogu2025年3月6日かつて読んだ本当に好き。。!本棚の最高本コーナーに置いている。 金原さんにはもっともっとエッセイ本を出していただきたい。 作家のエッセイを読んでから小説も読むと、もっとその小説家のことを感じられる、という手法?は私の好きなやり方。