虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ

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- CandidE@araxia2025年4月2日読み終わった主人公がイーリアスとウィンストン・チャーチルの伝記を携えて、銀行強盗のち受付嬢を人質にして南北アメリカメキシコあっちこっち行く、ミソメイニアック(虚言症者)クリミナルサーカスロードトリップムービー。じゃなかった小説。 会話劇としては、非常にテンポ良く、軽口、風刺、皮肉、ブラックユーモアの応酬が掛け値なしに面白い。アンジーのマシンガントークは愛らしい。 そして、一方で、虚言症という感染症の流行という設定が、底なし沼のある沼地を歩くような心持ちで、作中において何が本当で何が嘘かを常に疑い続けなければならない状態を伴い、疲労感マシマシの読書であった。 というような軽い批評・批判の表明さえも、諸々の社会調和を鑑み、政治的に正しい振る舞いをしなければならない、あるいはエチケット的には批判は避けなければならない、というような圧力を感じること自体が虚言症の感染兆候なのかもしれないし、そのような状況は『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』を批評する際にその批評自体が作品のテーマを体現してしまうという、メタ的な状況ですね。と、個人的には思いました。ジレンマジレンマ。