すべての月、すべての年 --ルシア・ベルリン作品集

すべての月、すべての年 --ルシア・ベルリン作品集
すべての月、すべての年 --ルシア・ベルリン作品集
ルシア・ベルリン
岸本佐知子
講談社
2024年9月13日
35件の記録
  • DN/HP
    DN/HP
    @DN_HP
    2025年8月16日
    単行本で読んだルシア・ベルリンの日本ではふたつめの短編集を改めて文庫で読みはじめる。前に、ちょうど単行本がリリースされた頃にあったある出来事を思い出している。そのときわたしも少し大変だったけれど、それとは比べ物にならないくらい大変な状況にあった友人がいて、その人もルシア・ベルリンが好きだった。出たばかりの単行本を買って、少し焦りながら読み終わると直ぐに彼に贈った。その本が救いに、少しの助けになれば良いな、と思って。それは独りよがりだったかもしれない、と今になると思うけれど、それでも「本に救われる」ことがあるとはやっぱり信じている。彼から贈られた本に、わたし自身が救われたことがあるから。 〜 さて。冒頭の一編『虎に噛まれて』を読み終わった。 クリスマス直前。エルパソ。パウダーブルーのキャデラック・コンパーチブル。後部座席には旅行カバンと赤ん坊のベンと彼の小さなベッド。フロントガラスから覗くのは従姉妹同士のふたつの顔。二枚のクウィーン。ひとりはもうすでにクウィーンで、ひとりはもうすぐクウィーンになる。最初の見開きを読んで、これも少女がクウィーンになる話だ、とボストン・テランをサンプリングしながら思い込む。 従姉妹に代わりに決められ促され、出ていってしまった元夫との二人目の子供を堕胎するために国境を越えメキシコへ向う、「悲しくてみじめな気分」の少女。しかし彼女はメキシコのモグリの病院で決断をする。人生のコントロールを取り戻す。 「でもわたしはこの子を育てられる。きっとみんなで家族になれる。この子と、ベンと、わたしと三人。本物の家族に。狂っているのかもしれない。でも、すくなくとも自分でそう決めるのだ。いつもわたしに指図するベラ・リンではなしに。」 OK。もう彼女はクウィーンだ。世界も彼女自身も直ぐに変わるわけでもないし、その決断によって苦難や悲しみも訪れるかもしれない。それでも彼女の人生もそのコントロールも彼女のものだ。 二日間を描いた短い物語では問題はなにも解決しない。人生がそうであるように、解決しない物語。それでも、物語りの先にもたしかにあると思える人生を生きる彼女はタフなクウィーンだ、きっと力強く人生をコントロールしながら生きていくのだ。そんな風に信じられる。ルシア・ベルリンの小説の多くは、そんな苦難や悲しみの中でも自身の人生を生きる、生きていくだろう力強さと、そう信じられる信頼感を感じながら読んでいる気がする。わたしも自分の人生を、決断を、信じられる、信じたいという気持ちになってくる。そうやってまた少しだけ「本に救われる」。そんな気になりながら日々をなんとか過ごしていく。 一旦本を閉じる。少し大袈裟かもしれないことを考えはじめる。木の葉の間の青空をベンチから見上げながら、彼女が車窓からみた空の「あくどいくらいのメキシコの青」を想像している。地上ではふわふわな秋田犬が芝生を蹴っていた。
    すべての月、すべての年 --ルシア・ベルリン作品集
  • はりねずみ
    はりねずみ
    @kino_ppp
    2025年6月25日
  • 六輪花
    @rokurinka
    2025年6月24日
  • emu
    emu
    @emu___0h1s
    2025年6月8日
  • mizuiro
    mizuiro
    @transparency23
    2025年5月6日
  • 読んでいて辛い作品もありながらも、どこかユーモアがあるものも多い。 観察者としての彼女と当事者には距離があって、それは孤独を産みながらも、それを自然と受け入れているような、そんな感覚があった。 いくつかの視点から捉えられる物語はとても良かった。 上手くいえないけれど、ルシア・ベルリンの作品は、一行読んだだけで、その世界に吸い込まれてしまう。舞台はメキシコであったり、アルバカーキであったり様々なのだけれど、どこか共通して静けさと寂しさが立ち上がってくるのだ。
  • ありむら
    ありむら
    @arimuuu0211
    2025年4月20日
    P.90 「あれってどういうものだと思う、とわたしは彼に訊いた。彼は手を出して、指と指をぴったり合わせてわたしの手と重ね、わたしに親指と人さし指でなでてみろと言った。どっちがどっちの手かわからなかった。きっとそんな感じじゃないかと思うんだ、と彼は言った。」
  • ありむら
    ありむら
    @arimuuu0211
    2025年4月19日
    『掃除婦〜』を読んでいた時は、彼女の危うさ、繊細さみたいなところを感じていたのだけれど、こちらは今まで読んだものだと観察者であるように感じる。 「視点」で一人称と三人称の読者に与える効果の分析をする中で、いつのまにか物語に引き摺り込まれそうで、彼女も私も境界が曖昧になるのがよかった。
  • ありむら
    ありむら
    @arimuuu0211
    2025年4月17日
    「虎に噛まれて」を読んだ。 元旦那との間にできた子をお腹に宿しながら実家に帰省。従姉妹に堕胎を勧められるがあと一歩のところで踏みとどまる。一部家族の温かさが描かれる一方で、崩壊した夫婦関係も垣間見え、アルコールや精神障害を持つ妻を放置しながら、事前活動に精を出す叔父の、なんと皮肉なことよ。
  • やまけん
    やまけん
    @yamakenta
    2025年4月13日
  • やまけん
    やまけん
    @yamakenta
    2025年4月11日
  • しのぶ
    しのぶ
    @rum_raisin
    2025年4月8日
  • しのぶ
    しのぶ
    @rum_raisin
    2025年4月6日
  • やまけん
    やまけん
    @yamakenta
    2025年4月5日
  • しのぶ
    しのぶ
    @rum_raisin
    2025年3月30日
  • やまけん
    やまけん
    @yamakenta
    2025年3月30日
  • 甲賀
    @ko-ga
    2025年3月25日
  • しのぶ
    しのぶ
    @rum_raisin
    2025年3月20日
  • ufo book
    @yy
    2025年3月19日
  • 黒井 岬
    黒井 岬
    @caperoy
    2025年3月14日
  • 🌦️
    @restgoogoo
    2025年3月12日
  • 悠月
    悠月
    @yzkotm38
    2025年3月9日
  • unyue
    unyue
    @unyue
    2025年3月9日
  • atomin
    atomin
    @atomin_127
    2025年3月9日
  • maimoimo
    @maimoimo
    2025年3月8日
  • 白雨
    白雨
    @nocturnalism
    2025年3月8日
  • noe
    noe
    @leipa
    2025年3月8日
  • Dizzy
    Dizzy
    @dizz225
    2025年3月7日
  • やまけん
    やまけん
    @yamakenta
    2025年3月6日
  • 易水
    易水
    @ao0615
    2025年3月1日
  • ルシア・ベルリンの文章がとても美しいと聞いて読んでみたくて買ったけども、掃除婦のための手引き書の方が先に出版された姉妹本と知り… 多分短編で関係ないだろうけど、ちゃんと順番通りに読みたいので積みます📚
  • しょう
    しょう
    @book_no_forest
    2025年2月18日
    一編一編が切ないのに美しい。 Coldplayの静寂の世界を聴いてる時のような感覚だなぁ。
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