YABUNONAKA-ヤブノナカー

98件の記録
- m@kyri2025年5月25日読み終わった@ 図書館すごくおもしろかったけどおもしろかったって言っていいのかわからない おもしろかったけど、同時にかつてわたしが会社でやり過ごしてきた数々のセクハラ(とそれらに対するわたしの対応)が思い出されてめちゃくちゃつらい読書だった わたしは自分が受けたセクハラに対して昔も今でもちょっとイラッとした程度で怒り狂ってなど全くいないしそういう態度でいるならこの小説に出てくる友梨奈に真っ先に断罪されそうでものすごく後ろめたい、だけど湧き上がるものもなにもないのに「あれは許せない」とも言えず、なんとなく、読み終えて思うのはいろんな人の感想が知りたいなということ、それこそどんな人がどんな反応をするのか、それも含めて藪の中みたいな小説なんだろうなとぼんやり思う 個人的にはそういう結末というかそういう展開にしてほしくはなかった、伽耶の章にいちばん共感したのでわたしの精神年齢は大学生で止まっていることだけは確か
- あしか日記@ashikanikki2025年5月17日読み終わった頭のなかで登場人物たちをバサバサと裁いていくことの奇妙な快感があった。彼らのものの考え方、他者への発言や振る舞い方に対して、「それは間違っている」と断罪することの密やかなよろこびだろうか。 けれど章が変わり語り手が交代するたびに、裁かれて当然と思っていた人物たちの、これまで語られたこととは微妙に異なる経験が明かされると、認識はぐらりと揺らぐ。ひとつの出来事は無数の小さな出来事が複雑に絡み合ってできていて、認識がわずかに揺らぐだけで、真実味はあっという間に脆くなる。まさに「藪の中」だ。 普段、私たちの多くは異なる認識を抱えていると知りつつも、その差異をいちいち確かめることはほとんどない。「考え方は人それぞれ」というのは正しくて安全な考え方だろう。だけどその達観した一般論に傷つき、消耗させられることがあるのも事実だ。どこかですり合わせが必要なのだろうけど、それこそがとてつもなく困難な作業だということを思い知らされる。 時代と価値観の変化が止まることのない状況で、さまざまな幻想に支えられながらも結局は個として生き死んでいく私たちが、お互いを許容できる合流地点ははたしてあるのか。正直うまく想像ができない。常に姿を変える北極の海氷のどこかで待ち合わせをしているような途方もない感覚がある。 けどまあ絶望を突き抜けてはじめて見える希望もあるだろうと、どこか楽観的な気持ちにもさせられるのがこの小説の凄さだろう。どのようなやり方でもいいから、注意深く、ときに大胆に、言葉のバトンを繋いでいくこと。これから語り出そうとしている若い人たちの姿は眩しい。 無思考に裁くことのよろこびなどというのは、実につまらない。
- てるなつ@terunatsu2025年5月16日読んでる今まで「そういうものだ」と蓋をしていた種々の性被害が数年ぶりに蘇ってきて、動悸が始まり、身体が怒りで火照る感覚がある。一緒に怒りを感じてくれる登場人物がいることが幸い。男性視点の章と交互にあり、事実の捉え方の違いにひっくり返りそうになる。
- yayano@yaya72025年5月6日読み終わった金原ひとみの真骨頂。こんなふうに怒りを文章に落とし込めたらとため息が出るほど、私も彼女らに連帯している。 他人への怒りと他人への愛は共存するけど、乖離をもって自己を保っていた人がそれをなくすと、怒り一色になってしまう様子は辛かった。しかしそうなってしまう感情の流れはよくわかる。結末もなんとなく察しながら読んでいた。実際に正義のために生きるのは難しい。でもできることはなにかないかと探したいよね、と。
- オケタニ@oketani8872025年5月5日読み終わった・「藪の中」を下敷きに、ある文芸界の女性搾取問題に迫る。告発されるのは老舗文芸誌の元編集長で、そいつの現役時代に作家志望で学生だった自分は搾取されたという告発が起こる。時間が経ってからの告発なので、それが成されるまで、成される以前に情熱を失った文芸人の土台は描かれ甲斐がある。 ・加えて、現行の若手編集者の女性問題も表出する。マチアプを使う自分も社会の乗りこなし甲斐のなさも冷静に見ていつつも、周囲の影響の反動もあってじわじわ皮が剥がれる。皮が剥がれるというか、醸造される熱量があり、それがやはり女への行動で表出してしまう。 ・掻き回すのは孤独になっても世界と戦う売れっ子作家であり、彼女自身も関係の冷えた夫、長く連れそうパートナー、娘、と問題に溢れる。作家ゆえに主観と客観の切り替えは自然に備わっているが、具体的な事件を機にそのバランスが崩れる。 ・シャンタルアケルマンの映画にも感じたが、淡々としたルーティンに見えても、それはバランスが取れていた訳でなく、徐々にある瞬間に向かっていってしまう、蟻地獄のような生活。作品が読者に見せる"1日目"はその人にとっては別に1日目ではない。 ・ビビッドなことはいろいろあるが、それは折り目をつけたから本を確認する。 ・この本が描いた世界を自分に引き付けるうえでは意外と、鮮烈な場面、些細な思考のよぎり、立場による理屈、ではなく、告発文が出来上がり受容されるまでの運動。 ・告発した女は、まず作家に相談した。その上で、文章の添削をお願いした。作家はたくさん赤字を入れたが、半分も採用せず女はそれを世に出す。かつて作家を志したこともあり「自分の復帰第1作となる」という言葉も入れている。それを作家は、中途半端なものだと冷めた目で見る。一つの短編小説にもなるのに、中途半端だと。そして、告発された編集者は、当然自身の言い分もあるが言い返すことはなく、その文章の中にかつて担当した作家の匂いに気づく。作家はもともと告発された編集者が担当していた。そして、そもそも女が告発する動機には、自分がとれなかった文芸誌の新人賞をとってデビューした同級生がついにヒット作を出したことへの嫉妬があった。 文章、創作をめぐる目線という補助線がしっかりとあることに、この作品世界の現実味を何よりも感じた。 ・この本は心にくるから一週間かけて読んだ。その間、アケルマンの映画と、その前日に「想像の犠牲」を見た。いぜれも3時間越えで腰が逝った。太×3の一週間として、記憶している。
- Daidaigo@df21792025年5月3日読み終わった@ 自宅小説を読んでタコ殴りにされた、と初めて感じた。 登場する人全員が全員自分にとっての真実を語っていて、その思いや感覚が(一般人の日常生活ではあり得ないほどの解像度で)理路整然と語られるほどに、目を背けたくなるほど互いの折り合いがつかないことがあぶり出されていく500ページ。まっったく飽きさせない。思考が骨太すぎて金原ひとみが物理的に怖い。 そしてその爆速かつ8Kの解像度の思考の連鎖が繰り広げられる手前で、一読者である自分は、登場する中で最も世界に対する解像度が低く、世間体という言葉だけで全て済ませようとするとある人物と同程度にしかこれまで何も考えてこなかったと思い知らされる。これはタコ殴り小説です。 気持ちに余裕のある連休にぴったり。
- 読谷 文@fumi_yomitani2025年4月27日読み終わった“性加害の告発”が題材だというだけで、ああキツい、これはパス、と普段ならなるところだが、金原ひとみの最新作にして最長編となれば話は別だ。彼女の怒涛の毒舌を千枚分も浴びられるのかと思ったら、手に取らずにはいられなかった。 果たして読了した結果、それはもう存分に、これまでにないほど毒気にやられ、見事に蜂の巣状態になって放心してしまった。 題材からしてエロもグロもまああって、良きにつけ悪しきにつけ、とにかく生気を吸い取られる作品なので、元気な時に覚悟を決めて読むことをおすすめする。帰還者からの伝言だ。 詳細な感想はnoteに書きました。 よろしければ。 https://note.com/fumi_yomitani/n/n77466e4b4a2e
- 高橋|往来堂書店@frog_goes_home2025年4月23日読み終わった日曜の朝から読み始めて今さっき最後のページを閉じるまでずっとこの小説のなかにいた気がする 間違いなく上半期の、いや今年のベスト小説だ
- 高橋|往来堂書店@frog_goes_home2025年4月21日読んでるようやく五合目に差し掛かったところ。とても長い、とても長いが、至極真っ当な長さ。そのうえ中弛みなくずっと面白いもんだからすんごい。どこまで連れていってくれるのさ!
- 夜鷹@niku_tabetai2025年4月19日読み終わった頭が悪いから箇条書きにします‼️ ・文章がというか段落が長過ぎ!読む気なくす!のに続きが気になって読んでしまうw ・登場人物の誰のことも好きになれなかったし全然共感も沸かないのに、続きが気になって読んでしまった!逆に凄い(?) ・恐らく作者の頭が良すぎるのと私が馬鹿過ぎるのが融合した結果、たまに意味が分からなかった!文章がくどい!芥川賞の作家って感じ(?) ・この小説の中のフェミニストとかミソジニーとかなんかそんなんのことひたすら語ってる作家が一番共感出来なかったしただの四十路のうるさいオバハンにしか見えなかった ・面白かったけど「この作家の他の小説も読んでみたい!」とはならなかった
- 釣@nrvn2025年4月13日読み始めたまだ読み始めたばかりだけれど、本を読むということは無傷ではいられない行為だということをあらためて痛感させられる。 寝る前に読んでいるものの、寝る前に読むべきものではないと思う。ざわつく。
- 離乳食@munimuni2025年4月11日読みたい文學界の時から読んでてファンだからマジ本でほしい〜〜!!!!金原さんのキャラクターはすごく人間って感じがするよね、私は木戸さんや五松といったクソ男たちを最初キッショって読んでたのにだんだんすごく愛おしくなった、もちろん長岡さんは最初から最後まで大好き
- 茄子のおひたし@iteuka112025年4月11日買った文學界での連載は追えずだったから単行本化を待って息をしていた。真実は人の数だけあると言うけれど、だからといって、他人の真実をないものにしてはいけないと私は思うのです。守らなければ。