こよなく
@koyonaku
読んだ本の中身を恐ろしいぐらい憶えてないので、記録をつけることにしました。
- 2025年10月9日アボカドの種俵万智読み終わったむっちゃ良かった。 歌集って初めて読むけど(筒井康隆のカラダ記念日は読んだことある)、連作になることでより実体が沸き立って、歌の暮らしの中に吸い込まれる感覚だった。 2020年から2023年まで詠まれた歌をまとめたもので、当然そこにはコロナや東京五輪が登場する。大きなニュースと同時に存在する市井の生活が、こうやって記録されていくことに感動した。
- 2025年10月8日季刊日記 創刊号こだま,ネルノダイスキ,ドミニク・チェン,pha,伊藤亜和,初見健一,前田隆弘,北尾修一,古賀及子,こうの史代,品田遊,図Yカニナ,堀合俊博,大森時生,安達茉莉子,小沼理,尹雄大,山本浩貴,東直子,松浦弥太郎,林健太郎,柚木麻子,柿内正午,桜林直子,植本一子,武田砂鉄,浮,ピエール瀧,牧野伊三夫,猪瀬浩平,福尾匠,竹中万季,荘子it,葉山莉子,蓮沼執太,藤原辰史,蟹の親子,野村由芽,金川晋吾,鳥トマト気になる
- 2025年10月7日他人の顔安部公房読み終わった超おもしれー。 顔の効果とか拘束、自由、自我、欲望、他者、孤独、主人公の堂々巡りの思考、哲学、が長々と書かれてて、それ読んでるだけで面白いんだけど、妻の手紙がさらに面白い「尻尾をくわえた蛇のような長ったらしい告白を書いただけです」この一刀両断、そんな殺生な。 途中挟まった、仮面が大量生産された世界の空想話も、それだけでSF短編として充分面白い。まさに今ってSNSで誰もが覆面を手に入れた世界だ。みんな一方通行の会話してる。 「愛というものは、互いに仮面を剥がしっこすることで、そのためにも、愛する者のために、仮面をかぶる努力をしなければならないのだと。仮面がなければ、それを剥がすたのしみもないわけですからね。お分かりでしょうか、この意味が。」
- 2025年10月1日
- 2025年9月27日一九八四年新訳版ジョージ・オーウェル,高橋和久読み終わった案外エンタメで、主人公は反乱勢力と合流して革命を目指したりすんのかなーと思ったけど全くそんな事無かった。ただ物語の圧が凄いからぐんぐん読めちゃう。 今後ことある毎に、あっ俺今〈二重思考〉してんなーとか考えちゃうだろうな。 トマスピンチョンの20ページ以上ある解説も満足度が高い。ここまで読み応えのある解説は初めてだ。
- 2025年9月20日読み終わったページを捲る指が止まらなかった。 死刑制度と裁判員裁判があるこの国で、私たちは何を基準にして人を裁くのか、男性4人を射殺し一度は無期懲役判決を受けるも最高裁から差戻を経て死刑となった永山裁判を通じて考えることになる。 最高裁の差戻判決で語られた、所謂「永山判決」は他の事件でも考慮される一般的な要素であったのに、死刑にゴーサインを出せる根拠として記憶されていく。しかし著者は一人ひとりの被告人の内面に深く向き合い、被告人の過去、現在、未来を鑑みる必要があり、「人を処刑する画一的な基準はありえない」と結ぶ。 読み終わってすぐに死刑制度に対する現在の国民の賛否の割合を調べた。今も死刑賛成派が8割らしい。自分は可能性を奪ってはいけないのではないかって思うし、死刑存置であっても筆者が主張するように画一的な基準で裁くべきではないと思ってる、基準から零れたモノを掬って判断しなければならないのではないかと、それが人を人が裁くことなんじゃないかな。 p.306「最高検察庁は、このままでは被害者が一人だと死刑にできなくなるおそれがあると危惧を抱き、被害者が一人で、高裁で死刑が無期に減刑された事件を五件、連続で上告した。」 ってなんだこれ、検察はどうしても死刑にしたいのか。免罪事件もあったし、死人に口なしだもんね、と邪推が捗ります。
- 2025年9月19日日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル日下三蔵,筒井康隆読み終わった『わが善き狼』良かったなぁ。この短編そのものが懐かしさを覚える二重構造になって、泣きそうになった。 『おれに関する噂』まさに今のSNS。1カ月もしたら忘れる"なんでもない人"で騒いでバカバカしい。 『顔面崩壊』スプラッタとか苦手じゃない自分でもキツかった。 『東海道戦争』『カメロイド文部省』『最高級有機質肥料』『ベトナム観光公社』『郵政省』もかなり好きだった。傑作選の名に偽りなし。
- 2025年9月13日
- 2025年9月12日スト決行: プロ野球が消えた2日間朝日新聞スポーツ部読み終わった最近近現代史にハマってて、現行制度の成り立ち背景がロジカルにわかる所が面白いんだけど、プロ野球も同じだな、交流戦がある事や今12球団でやれてる事も、そこには歴史があって面白い。 オーナー側も理がない訳じゃないんだから、一方的で不透明だったり力を振りかざして押し通そうとする見事なまでの悪役ムーブがなければまた結果は違ってたのではと思わんでもない。 時系列に沿って細かく書かれてるので、ノムさんが竹中平蔵と討論番組してたとか、新庄のホームラン取消しがスト決行の翌日の試合だったとか、そんなことまで知れる。
- 2025年9月8日個人的な体験大江健三郎読み終わった一緒に頽廃するつもりで読んでたから、最後裏切られた気分。 ずっと逃げ回ってることも、守る価値のないカスな人間であることも、社会や人と関わって生きる以上、責任や役割を果たして生きた方が周りも味方してくれるってことも、全部初めからわかってたことじゃないのか?そういうものから降りてゼロになってアフリカに行きたかったのじゃないのか?俺を置いて大人になるなよバード。自分が大事だから価値ある人間になったのか、そっかぁ、良かったなぁバード。
- 2025年9月3日戦後日本政治史境家史郎読み終わった戦後の占領期から安倍元首相が死去した直後の参院選までの政治史が概観できた。特に小泉政権以降もしっかりページが割かれてるのが嬉しい。テレビやネットを通して得た断片的な情報が整理され、全体の理解に繋がる楽しさがある。岩波の戦後政治史より随分読みやすい。 あの政権って何したかったんだっけ?なんで出来なかったんだっけ?と思い出せなくなった時に、パラパラと読み返すのにちょうどいい。
- 2025年9月2日折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジーケン・リュウ,中原尚哉,古沢嘉通,大谷真弓,鳴庭真人読み終わった『麗江の魚』が一番好きだった。格差による時間の流れの分断というアイディアが怖くて面白い。『見えない惑星』や『折りたたみ北京』にも似た話が出てくるし、もう既にそれに近しいことは起こってるのかも。 『龍馬夜行』も幻想的で好き。実際の龍馬のビデオを見たら、リアルゾイドでトキメキが止まらんかった。 『沈黙都市』は最後の一語が奪われるまであの手この手の表現で抗う人間が逞しくて好きだ。ずっと読もうと思いつつ読めてない『1984年』も読まんとなー。
- 2025年8月31日
- 2025年8月22日ガリヴァー旅行記チャールズ・エドマンド・ブロック,J・スウィフト,坂井晴彦読み終わった皮肉というにはどストレートな政治批判、社会制度批判、作者のアンチヒューマンっぷりが清々しい。人は愚かだけど、その愚かさが愛おしい、とはならずに、筆者という設定の主人公が、読者(人間)は穢らわしいから、俺の前に現れるな、で締めくくられてておもろすぎた。 理想だけが先行して役に立たない実験ばかりしてる学者たちを皮肉った章に出てくる数々の実験、キュウリから日光を採取、排泄物をもとの食べ物に戻す、屋根から建て始める建築法、言葉を無くして物をじかに持って会話などなど、おもしれーって読んでたら、いくつかの実験は実際の論文からヒントを得たらしくて、驚愕。
- 2025年8月18日読み終わった歴代のマケドニア王が、ヘラクレスの子孫やギリシア民族であることを喧伝することで、権力の正統性をアピールしてたように、現代になっても、マケドニアを栄光を巡って争われてたのが興味深い。そんなに民族や血統が大事なんやね。 他の記述に書いてある事でもデモステネスの弁論に載ってなかったら信憑性が疑われるくらい、デモステネスのフィリッポスへの対抗心が信頼されてるのも面白い。デモステネスの影響力ってそんなにすごいんや。ヒストリエでは情けないおっさんに見えたのに。 ヒストリエと言えば、フィリッポスがマケドニア人(エウリデュケ)を妻にした謎の答えにエウメネスを持ってきた岩明先生すげーってなるし、プルタコスでは純粋な恋愛結婚のように語られてて、著者も案外そうなのかもしれないって書いてておもしれー。
- 2025年8月13日怪しい来客簿色川武大読み終わった自分は悪い方に外れてるから、世間の普通になるのは諦めた方がいい。その分、自分も普通じゃない人に寛容でいようって考えに最近到った。そしたら、この本にまんま同じようなことが書かれてて、そりゃ読んでて居心地良いよなって思いました。
- 2025年8月3日大きな鳥にさらわれないよう川上弘美読み終わった始めは掴みどころのない世界観に首を傾げながら読んでたけど、少しずつ世界が紐解かれて、穏やかな筆致に惹き込まれた。 社会も生殖も今の私たちとは異なる未来の人類。淡々と描かれる未来の私たちは、誰かを愛し憎み、去った者を偲ぶ、自由を求め、知らないことを知ろうとする。今の私たちと変わらない姿があるから、読んでると心は安らぎ、気持ちがいっぱいになった。
- 2025年8月1日痴人の愛(1)谷崎潤一郎読み終わった結果的に最高の妻を育てあげたって訳ですか。変化するナオミに譲治の嗜好も合わせて変わったのかな。白人コンプだけは変わらずに。 ナオミが馬乗りになって契りを交わす所で笑っちゃったし、西洋人の女性と会った譲治が途端にナオミを下げだすのも卑しくてめっちゃ面白かった。
- 2025年8月1日きれはしヒコロヒー読み終わった繊細な方ですよね。 私は私のままで生きてきたことと、諦めが、一貫して綴られてた。諦めはあるけど決して投げやりではなく、割り切って2本の足で立ってる印象を受けました。 『お客』『チェックリスト』読めて良かった。
- 2025年7月27日薬菜飯店(新潮文庫)筒井康隆読み終わった『秒読み』と『ヨッパ谷への降下』がめちゃくちゃ良かった。 『秒読み』は大佐の記憶が失われていく描写が真に迫ってる。使命までは忘れてなかったとわかる最後の一行が洒落てて思わず息が漏れる。 『ヨッパ谷への降下』は不思議で夢幻的な短編。2人は村から逸して、2人だけにある国家を生きていくんだね。
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