

おかりな
@maron_mi_ran
2026年も読書年にする
- 2026年10月11日
春にして君を離れアガサ・クリスティー,廣野由美子実は初アガサ。旅行に来た女性がバグダッドで足止めをくらいそこで自身の半生を振り返り己の傲慢さに内省する話。旦那の夢を捨てさせたこと、娘や息子の人付き合いに口出しをしていること、知り合いや友人を見下していること、最初はそのことに気が付かなかったが徐々に自身の行動と孤独に向き合うこととなる。ただ私は彼女の言うことが間違っているのかと言われると難しいと思う。母とは目を離したらすぐ生き物を育てなければならない、その中でロマンを追いかけるか金銭を取るか天秤にかけたとき後者を取るのは真っ当だとも思ってしまう。子供たちも同様で果たしてその子達にとって本当に信頼でき傷つけない相手なのか、まだ未熟な子供はその分別が付けられるのか、口出ししたくなる気持ちもわかる。家族は母の無理解を嘆いているがいわゆる理解のある母親が本当に家族にとって良きものとなるのか、対比のようにシャーストン夫妻が出てくるが彼らの家庭は最後に崩壊したといっても過言ではない。理解はある傷つく勇気はあるがその分傷を増やす母と、理解はないが家族を省みた判断をする母と、どちらが幸せか現代の家庭にも問われる内容だった。ツイッターで話題の不登校児漫画の母を思い起こされる - 2026年10月11日
春にして君を離れアガサ・クリスティー,廣野由美子 - 2026年10月7日
半自叙伝菊池寛芥川賞と直木賞を作り自身も文壇で活躍した菊池寛の半生が書かれた自叙伝。半と着くのは40代という若さで書いたから。貧乏な家庭に生まれ育ちまた(かなり運の悪さとお人好しなところに起因するが)本人の素行の問題から幾度も転校を繰り返すという苦労した人生を歩んでいるがカラッとした性格で苦労をさほど大きく捉えすぎない文豪には珍しく流れに身を任せた生き方をしているところが印象的だった。芥川龍之介は彼と共に過ごすことでかなり人生の救いになったのではないか。 文豪達の作品が後世に残るキッカケに彼のような人情深く地に足つけた人間の功績が大きいのだろう - 2026年10月4日
月のしずく浅田次郎浅田次郎の短編集。浅田次郎作品は本当に人間関係を丁寧に繊細に描いていて素晴らしい。今回の短編集は人間の一期一会、縁にまつわる話が多い。自分にとって出会った当初は好意的でなかった人、不信感を抱いていた人、取り止めもないと思っていた人が巡り巡って自分を助けてくれたり自分の人生に大きな存在になっていたりすることがあるのかもしれない、日本語にはこうした人間関係を表す「縁」という言葉と概念があって本当に良かった。 - 2026年9月29日
カンガルー日和村上春樹村上春樹の初期短編集。高校の教科書に採択されている「鏡」も収録されている。村上春樹といえばエロスというイメージがノルウェイの森のせいで付いてしまっているけど、個人的に村上春樹といえば自分の中のもう1人の自分(それは過去の自分とか自覚してない自己とか) と対峙をするストーリーが多い印象であり、この短編はそういう村上イズムが沢山あったように思われる。鏡、高校時代に読んだときは内容が理解不能で面白さが分かってなかったけど、村上春樹を何本か読んでかなり解像度が上がり面白く読めたのが嬉しかった。ハルキストになれるかな?笑 - 2026年9月29日
悪夢喰らい (角川文庫)夢枕獏普段は読まない系統のホラー小説。折角お借りしたので。ホラー短編集で怪異的なものもあれば世にも奇妙な物語的なひとこわな話もある。半年前くらい山の遭難についての動画を見まくっていた時期があるので山にまつわる怪異が中々恐怖だった 私は幽霊も怪異も信じないしそこへの恐怖心が薄いタイプなのだけれど、山となると話は別。山という自然の脅威を前にし、しかもそこには凍傷などが付き物だと考えると通常の人間には考えられないような恐ろしい生命が見えるようになったり恐ろしい現象を体感するのかもしれないと思う。 - 2026年9月29日
ボッコちゃん(新潮文庫)星新一星新一を読まずにこの年になったのでついに。昭和40年代にこんな話が書けるなんて星新一はタイムマシンでここに来たのか、それとも奇しくも時代が星新一の言う通りの形に追いついてしまったのか。今障害者の方が在宅でロボットを遠隔に操作して接客するレストランがあるのでまさにボッコちゃん的世界観。 「謎の青年」という話が良かった。と同時に税について切り込んだ短く誰にでも読める話が半世紀近く前に存在しているのに未だに微塵も改善された様子が見られないのは何故なのか。悲しくなってしまう。謎の青年が謎でなくなる時代が来ますようにと願うばかり。 - 2026年9月25日
シナリオエーゲ海に捧ぐ (角川文庫)池田満寿夫芸術家でもあった池田満寿夫の芥川賞受賞作。異国の地で不倫相手と一夜を共にしている最中日本で待つ奥さんから不倫を咎める電話が来て…という話。1970年代の小説ということもあり古さもあり女性への性的表現が現代のそれとは異なる感じで少しギョッとする。エーゲ海すらも女性器の比喩だと分かった瞬間はかなりゾッとした。 3編収録されているうち最後の「テーブル下の婚礼」という白痴の女性との話が個人的には好き。女性が身も心も男性に捧げていても、男が捧げるものは所詮自身のそれでしかないのか、官能的でドキドキしつつモヤモヤもする不思議な感覚の小説 - 2026年9月20日
上下巻なんていつぶりに読んだか。辻村深月の代表作の1つ。スロウハイツというとびた荘のような小さなアパートに住む脚本家漫画家小説家などの若きクリエイター達の日常を描いた作品。生み出すことを生業とした創作者たちの苦しみ・夢を追うことの残酷さ、けれどその生き方を選んだからこそ得られた絆があり創作に携わったことのない私にとって羨ましさしかない。ただ私自身かなり創作物に生かされており、それが無ければ生きていけないと思う音楽や小説や漫画がいくつかあるのでそこには共感だった。 下巻はすごく泣ける展開になっており、自分の生み出したものが誰かの人生を良くも悪くも大きく変えてしまうことの恐ろしさと嬉しさ、その両面が伏線回収のような形で描かれていて気持ちいい。そしてその創作物に触れる人が、巡り巡って創作者にお金以外の形で還元されるのもまた良かった - 2026年9月18日
- 2026年9月10日
たゆたえども沈まず原田マハゴッホ兄弟と日本人画商の交流と人生を描いた史実を交えたフィクション作品。元々東京都美術館でのゴッホ展にて兄弟の歴史を見ていたからこそ、繊細で脆くて精神を患う孤高の天才フィンセントと、そんな兄の才能を信じ翻弄されながらも献身的に支えることを選んだテオとの絆が儚く美しく痛々しく悲しくなる。そして当時印象派画家に大きな影響を与えたジャポニズムをここまで作品に盛り込んでくれたのもさすが原田マハ。浮世絵文化がとても誇らしい。 セーヌ川を描いた画家は数多くいるけれどここまでの意味合いを持つ風景なのかと知ることができたのも良かった。 芸術家は己と常に向き合い続ける苦しい人生を選んだ者だからこそ、その情熱と孤独に惹かれてしまう。美しい友情と愛の話でとても大好きな作品の1つです - 2026年9月7日
ルビンの壺が割れた宿野かほるFacebookで過去に婚姻解消となった女性を見つけ、そこからやり取りを進め何故結婚式に彼女が現れなかったのかを解き明かしていく書簡形式のミステリー。150ページ程で文体も砕けた形式なのですぐ読める。読後感は吉田修一のパレードと同じ(というとネタバレになるか!?) 最近ツイッター上で彼女が処女かどうか気になる男性の存在をよく目にする。彼女の貞操というものが男性をこれほどまでに狂わせるのか、これぞ男性版のトラウマの再演ともいえる内容。主人公を擁護する気にはなれないけれど主人公を通して見えてくる男性達にカウンセリングをという気持ちになる - 2026年9月7日
ルビンの壺が割れた宿野かほる - 2026年9月4日
コーヒーにミルクを入れるような愛くどうれいんくどうれいんのエッセイ集。サイン本が売ってたのでつい買ってしまった。結婚や退職、挫折や友情といった日常の些細な出来事を丁寧に紡いでいる。個人的に素敵だと思ったのは、それぞれのエピソードに出てくる人物の名前に説明がないこと。読み進めていくにつれて、この人はれいんさんにとってこういう関係性なのねと分かっていく。私もつい第三者の話をするときにその人の肩書きや続柄で呼んでしまうけれど、本当は1人の名前があって個性がある人なんだと言いたくて。たとえば高校の友達といってもそれぞれに名前があってさ!ってなる。これまで出会ってきた大切な人たちをそれぞれ思い出していきたい、そんなエッセイでした - 2026年9月4日
コーヒーにミルクを入れるような愛くどうれいん - 2026年8月31日
卵の緒瀬尾まいこ読み終わった瀬尾まいこのデビュー作。そしてバトンは渡されたのベースとも言える作品。正直な話、瀬尾まいこは苦手である。そんな世の中良い人ばかりではないよ、もっとドロっとした悪意がそこら辺に転がってるよと言いたくなるから。けど苦手とは興味関心があるとも言えて、瀬尾作品にまんまとハマっている自分もいる。世を穿った見方をしている私だけれど、本当は子供が子供として生きていられるように、瀬尾作品の登場人物のように子供をちゃんと慈しんでくれる優しい温かい大人ばかりになればいいのにと願ってしまうんだ。 - 2026年8月29日
流しのしたの骨江國香織読み終わった定期的に江國作品は摂取したいので。江國作品の中でもこれはかなり好きだ。4人の姉弟がそれぞれ人生を歩みつつ家族で過ごす日常を淡々と描いたもの。江國香織の柔らかく温かい手触りと有意義な無駄のある文章が本当に好き。幸せな家族像に見えるけど、長女は離婚・次女は自殺未遂や恋人の堕胎・三女はプータロー・末っ子の弟は停学とそれぞれ事情がある。けれど家族で食卓を囲み、家族特有の習慣をこなしていくあまりに自然で当たり前の日常があるだけで安心できる。我が家も下2人が家にいるととてもしっくりくるもんなやっぱり。これから形が変わるかもしれないけれど育ってきた家族は人生の基盤であり自然であり、私にとってのありのままだと改めて感じられることが出来る。 - 2026年8月27日
愛の渇き (新潮文庫)三島由紀夫恥ずかしながら逆張りしていて今更三島作品を初めて読んだ。表現力があまりに卓越していて、一つ一つ豊富な語彙を用いて繊細で緻密に描写されており脱帽。作家によって文章の癖や手触りがありその好みは私にもわかるのだけど、これほどまでに文章の上手さを感じさせる作家はいないのでは。内容は浮気性の旦那に先立たれた未亡人の悦子が旦那の実家別荘で舅と愛人関係を結びながら、その家に使える青年に恋をし嫉妬に狂っていくというもの。 若き青年三郎はその若さゆえに殺されたんじゃないかと私は考察している。悦子の嫉妬は根深く一見矛盾した行動のように思われるけど孕ませた美代のことも、自分のことも愛していないその半端な態度はあまりに苦しませる。私もかなり三郎にはかなりイラつかせてもらった。悪意のない素直さは時として大きな罪になる。けど澁澤龍彦のエロティシズムで語られていたように男は自由を求めるからこそ愛してるだの愛してないだのそうした言葉の型に嵌ることは極度に抵抗がある生き物なのかもしれない。とはいえ幸せな生き方は出来ないよねとスカッと出来ました - 2026年8月23日
82年生まれ、キム・ジヨン (ちくま文庫)チョ・ナムジュ,斎藤真理子気になる韓国の代表的なフェミニズム文学。キム・ジヨンを中心に、韓国の女性達の生きづらさや置かれている環境の過酷さをリアルに描いた作品。韓国ではつい最近まで日本以上に家父長制が深刻であったこと、その上で女性達が動いたことで環境が良くなりつつも、それでもまだ苦しみは消えない現実。日本は韓国よりも前から形の上では男女平等であった一方、未だに男女別姓が認められないなどかなり遅れを取っている。韓国ではフェミニズム文学が盛んで今読書ブームが起こっているらしいけれど、日本も稀に見る識字率の高い国だからこそ女性達がペンを取り戦わなければならないと鼓舞される気持ちになった作品。 女性の生き方を考えさせられる良き1冊でした。 - 2026年8月23日
82年生まれ、キム・ジヨン (ちくま文庫)チョ・ナムジュ,斎藤真理子
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